期待を超える決算もクラウド成長鈍化のマイクロソフト

マイクロソフト(MSFT)が2020年6月期決算を発表しました。

結果は良かったです。売上高は380億ドルで前年同期比+12.8%。アナリスト予想も超えています。Non-GAAPの調整後OPも前年比+12%と二桁成長を達成。

ただし、翌期ガイダンスがやや弱気のため時間外取引では2%ほど下落しています。また、Azureの成長率が+47%と鈍化しているのも嫌気されているかもしれません。

コロナ禍にもかかわらずトップ、ボトムともに二桁成長とはさすがですが、こんなに素晴らしい決算を出してもマーケットの反応は鈍いです。それもそのはずで、マイクロソフトの株価にはすでに高い期待値が織り込まれているからです。

現在の株価は211ドル。この2020年6月期通期の調整後EPSは$5.76。実績PERは36.7倍です。来期の予想PERでも33倍~34倍ほどもあります。一般的に言って、還元ステージにある企業のバリュエーションとしては高いです。

今からマイクロソフトに投資して今後10年で儲かるでしょうか? S&P500指数を超えるでしょうか?

それはわかりませんが、マーケットはそこそこ高い成長を前提に値付けしているので、成長が大きく鈍化してしまったらパフォーマンスも低迷するでしょう。

株の利回り(益回り)を見て納得して投資することが大切

投資は未来に賭けるわけだから確実なことは言えなくて当然。確実なリターンが欲しいなら米国債を買えばいいです。

株は損するリスクもあるわけで、それを承知で資金を投じる気持ちが大切です。もちろん、だからって損していいって人はいないと思いますが。

大事なのは自分なりの納得感だと思います。きちんと決算データと株価を見て自分の頭で考えて投資すれば、結果として儲からなくてもめちゃくちゃ後悔することはない思います。学びにもなる。失敗が次の投資判断に役立つかもしれません。

納得感を得るために絶対に外せないこと、それは益回りを見ることです。イコールPERを見るってことですが、その逆数である益回りで考える癖を付けた方がいいというのが私の意見です。

マイクロソフトのEPSは5.76ドル。株価は211ドル。買値211ドルに対してリターンは5.76ドル、つまり益回りは2.7%です。PER36倍の逆数(1/36)です。

今マイクロソフト株を買うなら、この2.7%という低い利回りを自覚しておく必要があります。予想EPSで考えてもせいぜい益回り3%です。

株価モメンタムで判断するのもありかもしれませんが、こと長期保有目的ならとにかく大事なのは利回り(益回り)です。投資とは買値のリターンのバランス、つまり利回りがすべてです。

短期的な利回りだけで判断せずに、長期的な利回りに思いを馳せることも大切。そこが固定利回りの債券と違うところです。株式投資に夢があるのはそこですよね。

この四半期のマイクロソフトの利益は前年比+12%でした。もしその成長が持続するのであれば、EPSは10年で約3倍になります。3%の利回りが9%にまで増加します。

そう考えるとPER36倍はむしろ安いくらいかもしれません。しかし、そんな二桁台の成長が今後10年続くと考えるのはちょっと楽観的過ぎるかもしれません。Azureは成長しているとは言え、伸長率は鈍化傾向です。

まあ、栄枯盛衰の激しいハイテク業界の10年後なんてわからないですよ。少なくとも私にはわからん。IBMが復活してマイクロソフトの時価総額を抜いてるかもしれないし。

わからないなりに長期的な益回りをちゃんと考えるようにしています。幸いOfficeソフトは身近な存在です。チームズはうちの会社の公式の電話会議ツールになりました。ズームは認められていません。10年でEPS3倍は無理でも、最低でも2倍は達成できるかな、とか考えてます。

2017年にアルトリアグループ(MO)を70ドル付近で高値掴みして、含み損に苦しんでいます。高配当でも埋め合わせできないほどの損失です。

でも、MOへの投資は実はそんなに後悔してないんです。自分なりに益回りをチェックして考えて投資したから。

暴落前のMOのPERは20倍ちょっとでプロクター&ギャンブルやコカ・コーラ、ペプシコと同水準でした。生活必需品セクターの優良銘柄のPERってどこも20倍超で高いなあと思ってました。

が、各社ともPL、キャッシュフロー計算書は美しい。その中でもタバコビジネスの収益性の高さに目が付きました。さすがシーゲル銘柄だと。これだけ儲かるビジネスで近年成長もしているなら(販売数量は落ちているが)、PER20倍は払う価値がある。MOはフェアバリューだと判断しました。

結果としてその判断は誤りだったわけですが、当時の自分でやれることはやったと思っています。ちなみに、MO以上に爆損を被っているシュルンベルジェ(SLB)への投資は検討が甘かったと後悔しています・・。

さてさて、マイクロソフトはこれからどうなるでしょうか。

10年後の2030年、株価は今とほとんど変わっていないかも。「マイクロソフトは2020年当時PERが40倍に迫るほどだった。投資家はコロナ禍に伴うデジタル化加速に熱狂していた。バブルだった。優良株でも買値は常に重要であることを教えてくれる。」なんて投資本に書かれているかも。

それは杞憂で株価はまだ伸び続けるかも。「マイクロソフトは2020年当時PERが40倍に迫るほどだったが、それでも株価は割安だった。投資家はコロナ禍に伴うデジタル化の進展を甘く見ていた。しかも当時は長期債の利回りが1%を割るほどの低金利だったのである。素晴らしい企業の株をそこそこの価格で買うことが大切であることを教えてくれる。」なんて10年後の投資本に書かれているかも。

ま、結局は後付けの説明なわけです。後からなら何ともで言える。未来が見えるなら苦労しません。先が見えない中で私たちは投資判断を下さなくてはなりません。仮に悪いシナリオが実現してしまったとしても、自分なりに考えてリスクを取ったと納得できることが大切かなと思います。あとはベタですが分散が大切ですね。