2009年に大学を卒業しました。社会人になってもう10年になります。早いような遅いような。上京したり転職したりと色んな人生イベントがあり、そこそこ充実した10年だったなと感じています。2020年代も良い10年になるように、健康第一で頑張っていきたいです。

株式投資家にとっても、2010年代はそこそこ良い時代だったと言えるのではないでしょうか。以下はリーマンショック後の2009年から2019年までの各年のS&P500指数のリターン(配当込み)です。2019年度は12月18日時点です。

ほとんどプラスですね。マイナスになったのは2018年の1回だけ。しかも、マイナス幅はわずかです。政治や地政学リスクで株価が大きく揺さぶられた時もありましたが、1年終わってみれば株価は上がっていた年が大半でした。なんやかんやでS&P500をホールドしておくだけで報われる10年でしたね。

2009年初にS&P500指数に100万円投資していれば、今頃433万円に増えています。10年ちょいで4倍です。2009年~2019年の複利ベースの年利は14.4%。この低金利時代にそんな運用できるものなかって思うような素晴らしい成績ですね。それが世界経済を牽引する優良企業で構成されたS&P500指数の実力です。

この調子で株価が上がり続けて欲しいものですが、現実はそうはいかないでしょう。未来の株価は読めませんが、次の10年も今のペースで米株価が上がり続けることはないということは断言できます。

「株価=EPS(一株当たり利益)×PER(株価収益率)」です。EPSが年14%を超えるペースで増えることはちょっと考えづらいです。EPSが増えないならPER上昇に期待するしかありませんが、すでに米株のバリュエーションは目一杯な水準まで来ています。2020年予想EPSに基づくPERは18倍。めちゃくちゃ高いわけじゃありませんが、過去平均と比べると割高です。今後10年のPERを予想するのは不可能ですが、せいぜい横ばいくらいに思っておいた方がいいでしょう。

2009~2019年のS&P500指数の年利は14%なわけですが、EPSがそのペースで増えたわけではありません。PER上昇に支えられた株高です。

以下は2009年から現在までのS&P500指数の実績PER推移です。

multpl.comより筆者作成)

2011年を底にPERは切り上がり続けてきました。これ以上のPER上昇が難しい以上、2020年代も年率14%という高リターンを上げるためにはEPSが年率10%超のペースで伸びる必要があります。が、それは現実的ではないでしょう。

というわけで寂しいですが、2020年代はあまり期待せずにのんびり投資を続けましょう。どれだけ神様にお願いしたところで、「株価=EPS×PER」という経済的現実は曲げようがありません。株価は勝手に上がっていくわけでありません。日々のビジネスを通じて利益を成長させることで上がっていくのです。企業のEPS成長をゆっくり待つのが長期投資の王道スタイルです。

2030年代のことなんて考えたくもないですが、2020年代はさらに次の10年に備える期間になる気がします。 2020年代は厳しい冬の10年になりそうです。2010年代より気温が下がるのは確実だと思います。 配当再投資を続けて地道に株数を増やしておきましょう。そうすれば、いつか暖かい春を迎えられるはずです。

悲観的なことを言ってしまいましたが、良いニュースもあります。それは低インフレが続いていることです。米国の失業率は下がり続けていますが、依然として物価上昇は鈍いままです。FRBは今年3度も利下げしました。利下げしてもインフレ率は急伸しないという判断です。この低インフレが常態化して、2020年代の10年も続くのであれば、実質リターンはそれなりに期待できるかもしれません。

しかし、裏を返せばインフレ率が上昇したら、現在の高いPERが剝がれ落ちて悲惨なことになります。株式はインフレに負けない資産ですが、10年レベルでは追い付けないです。

あ、また悲観的なことを言ってしまったな。まあ、なんかごちゃごちゃ思ってることを書き連ねましたが、株価なんてどう転ぶかわかりません。景気もわかりません。でも企業のビジネスは日々変わらず続いています。株価ではなく、しっかり企業決算を注視して長期投資を続けていきましょう! これからもS&P500指数への長期投資は報われると確信しています。