S&P100構成銘柄を中心に米国企業の業績、財政状態、キャッシュフロー、株主還元状況について過去10年分のデータをグラフ化しています。

データソースはMorningstarです。

今回はユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)をご紹介します。

基本情報

会社名ユナイテッド・パーセル・サービス
ティッカーUPS
創業1907年
上場1999年
決算12月
本社所在地ジョージア州
従業員数364,575
セクター資本財・サービス
S&P格付A+
監査法人Deloitte
ダウ30×
S&P100
S&P500
ナスダック100×
ラッセル1000

地域別売上構成比

セグメント情報

セグメント別売上構成比

セグメント別売上高推移

セグメント利益推移

業績

キャッシュフロー

バランスシート

資産

負債純資産

株主還元

連続増配年数

9年

過去10年の配当成長

年率+7.3%

この10年で配当は2.0倍になりました。

過去の株主リターン(年率、配当込み)

過去10年(2009~2018):+9.1%
過去20年(1999~2018):+4.3%

バリュエーション指標(2019/9/28時点)

予想PER:14.6倍 最新情報はこちら

配当利回り:3.2% 最新情報はこちら

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ユナイテッド・パーセル・サービスは世界220カ国以上で事業を展開する貨物輸送サービス企業です。1907年にシアトルで民間の配送サービス会社として設立されました。今や1日当たり2000万個を超える貨物を輸送する業界トップ企業です。

競合は米フェデックス、独DHL。日本ではヤマト運輸と提携して事業を展開しています。

開示セグメントは以下の3つ。
・米国内パッケージ
・国際パッケージ
・サプライチェーンと貨物

「米国内パッケージ」は、米国での地上及び航空でのパッケージ輸送サービスを行っています。顧客は同日、翌日、2日後、3日後から配達日を選択できます。1日あたりの平均貨物量は1450万個。

「国際パッケージ」はヨーロッパ、アジア太平洋、カナダ、ラテンアメリカ、インド、中東アフリカなど全世界220の国で貨物輸送サービスを行っています。国境をまたぐ取引としてはヨーロッパ内、米国-カナダ間、米国-メキシコ間でのサービスを提供しています。ヨーロッパが主な収益源で、当部門の利益の半分を占めます。

「サプライチェーンと貨物」はフォワーディング、ロジスティクス、トラック輸送仲介などのビジネスで構成されています。

財務データを見てみましょう。

売上高は緩やかに成長。粗利率がFY12から急減しているのは会計処理方法の変更に起因すると思われます。

FY18の売上高は718億ドルで前年比+9%。歩留まり向上と単価上昇によって3セグメントとも成長を記録。ただし、グラフにはありませんが営業利益は若干の減益となりました。変革に関するコスト(詳細不明)、年金費用の増加等が影響しました。FY18の純利益は48億ドルでほぼ前年並み。

キャッシュは比較的安定しているものの、FY17に営業CFが大きく減少しフリーCFがマイナスになっています。年金関連の支出が78億ドルあったためです。FY18は営業CF、フリーCFともに回復しています。

バランスシートを見てみましょう。流動資産:固定資産=3:7という割合。固定資産は主に有形固定資産です。757-200や767-300などボーイングの航空機を所有しています。リース契約もありますが、現在の会計基準はリース物件もオンバランスを求めます。バン、トラクターなどの地上車両も多く保有しています。

負債純資産を見ると、純資産が薄くFY18末の自己資本比率は6%しかありません。レバレッジのかかった資本構成です。継続的な自社株買いで純資産を削ってきた影響もあります。

DPS(一株当たり配当)は毎年上昇しており、この10年で2倍に成長。既述の通り自社株買いも積極的です。概ね純利益の全額を株主に還元しています。