米国はコロナ禍に負けず強い株価回復を遂げています。ナスダック総合指数に続いてS&P500指数も年初来高値を超えました。

日欧に比べてコロナパンデミックの被害が大きいにもかかわらず、米株が好調な一番の理由としてWSJは財政出動を指摘しています。

以下は各国のコロナ禍に伴う財政出動額のGDP比です。

(ウォールストリートジャーナルより)

米国はGDP比で12.3%の財政支援を実施。日本のそれは11.3%で2位です。

アメリカや日本がこれだけの経済支援を行えるのは、強い通貨を持っているからこそです。

トルコやブラジル、南アフリカなどの新興国は、このコロナ禍で大幅に通貨安が進んでいます。

なぜこれらの通貨がすぐに下落しちゃうのかと言えば、経常収支が慢性的な赤字で外貨準備も十分に持っていないからです。要するに経済力が弱いのです。こんな国が日米みたいに紙幣を刷ったら、あっと言う間にインフレが起きます。

トルコなんて平気で10%近く物価が上昇しています。頼りの観光産業もコロナで打撃を受けているのが痛いです。

アメリカや日本はこれだけ紙幣を刷っているのに、今のところ大きなインフレの兆しはありません。長期金利はこれから上がっていくと予想する向きもありますが、どうでしょうか。個人的には低インフレ、低金利が続きそうな気がしています。少なくともトルコみたいに二桁のインフレは先ず起きないでしょう。

アメリカはGDP世界トップ、日本は第3位です。ともに経済大国。低金利は豊かさの証とも言えます。

ベーシック・インカムの実験ができるのも強い通貨を持っている国だけ。通貨が弱いと、他国からテクノロジーを購入することもできないし、最悪食糧難にも繋がります。

強い通貨を持っていると、今回の様な有事の際に財政で経済を支えることができます。それが結果として株価の回復を促します。通貨が強い国に投資しておけば、円評価額が急に下がることもありません。

これは長期投資を考える上で重要なポイントだと思います。米株は相対的にPERが高く割高で、新興国株を推す声も聞かれます。しかし、米株には高いPERを支払うだけの価値があると私は思います。いくら割安に見えるとしても、長期保有目的で新興国株に手を出そうとは思わないです。