米国株ないし世界株へのインデックス投資は、たとえ長期投資といえども必ず儲かるわけではない。これまでは経済発展と共に株価も右肩上がりが続いてきたけど、これからも右肩上がりが続く保証はない。S&P500ETF(ないし投資信託)を長期保有しても今までほど高いリターンを得られる保証はない。
こういう意見を目にすることがあります。
Market HacKの広瀬氏はこのようなことをおっしゃっています。
インデックス投資の弱点は「マーケットは長期では右肩上がりである」ことを前提にしている点です。
(中略)
万年低成長が定着し、今後も当分の間、高い成長が見込めないこんにちの状況では、投資成果に対する期待は控え目に考えたほうがよいでしょう。
『Market Hack流米国式投資の技法』より
確かに人口増加ペースも鈍くなっていきますし、2100年頃にはピークを迎えるかもしれません。経済成長率も徐々に下がっていく可能性があります。高齢化が進んで株式資産の取り崩しが加速すると言われます。
でもだからって、株式投資、特に市場全体に投資するインデックス投資のリターンは乏しくなるのでしょうか?
S&P500に30年以上も積立投資し続けたけどリターンはしょぼかったよ。トホホ(泣)
↑
こんなことは起こり得るのでしょうか?
投資に限らず何でも100%断言することはできません。未来は不確実ですから。だから100%とは言えませんが、う~ん99%くらいにしましょうか。
S&P500へ長期投資していれば、これからも99%の確率でリターンを得られると思います。たとえ経済成長率が低いとしても。たとえ人口増加率が下がるとしても。そこは株式リターンの本質ではありません。
株式投資家の利益=企業の利益。
よって企業が利益を上げ続けるなら、必ず株主は報われる。
私はS&P500やNYダウへ長期投資すれば、今後もそれなり(過去平均と同じくらいは)のリターンが得られると強い自信を持っています。
なぜか?
これまで米国の株価は常に右肩上がりだったから?
違います、将来の株価なんて予測できません。
(まあ、これからも米株価は右肩上がりとは思っていますけどね。)
S&P500への長期投資で(ほぼ)必ず儲かると思う理由は、S&P500構成企業がこれからも社会に貢献する製品・サービスを提供し続けて、高い利益を上げ続けると思うからです。もっと言えば、その利益を株主に還元し続ける仕組み(コーポレートガバナンス)も整っているからです。
株式投資の本質は、この図ですべて説明できます。
投資家が企業に出資する
↓
企業はビジネスでお金を稼ぐ
↓
稼いだお金を出資者たる株主に還元する
これが株主がリターンを得るまでの一連のフローです。もちろん、途中で株を売却する時はその時の株価がいくらかという問題が生じます。ですが、仮に永久保有を前提とすれば、株主の利益はすべて企業からの利益分配(=配当)に集約されます。
長期投資=永久保有ではありませんが(私たちの人生は有限)、株の保有期間が長くなればなるほど、投資リターンは永久保有のパターンに近似してきます。つまり、総リターンに占める配当の割合が増えます。企業が稼いだ利益が忠実に株主利益になっていきます。
あなたが保有しているS&P500ETFはデジタルな金融商品である一方で、その裏にはリアルな企業がたくさんあって、実際のビジネスがあります。日々働いている人がいます。株式とは決してペーパーアセットではありません。経営者、従業員の日々の泥臭い地道な仕事があるからこそ、株式はリターンを生みます。
S&P500を構成する企業を思い浮かべ下さい。
・・・
・・・
アップル
マイクロソフト
アマゾン
バークシャー
JPモルガンチェース
フェイスブック
ジョンソンエンドジョンソン
エクソンモービル
アルファベット
バンカメ
ファイザー
ビザ
ユナイテッドヘルス
AT&T
シェブロン
ウェルズファーゴ
ホームデポ
ベライゾン
インテル
シスコシステムズ
ボーイング
プロクター&ギャンブル
マスターカード
メルク
シティグループ
ウォルトディズニー
コカコーラ
ペプシコ
ネットフリックス
オラクル
アッヴィ
IBM
ウォルマート
メドトロニック
フィリップモリス
マクドナルド
アボットラボラトリーズ
スリーエム
アクセンチュア
ユナイテッドテクノロジーズ
ナイキ
クアルコム
ブリストルマイヤーズスクイブ
キャタピラー
ロッキードマーティン
CVSヘルス
・
・
・
(時価総額が高い順にガーっと並べてみました)
とこんな感じで、世界経済を代表する優良企業ばかりです。
ここで、あなたに一つ質問があります。
「上記に掲げた企業で直近決算が赤字だった企業はありますか?」
・・・
・・・
って、んなこと急に聞かれても知らんですよね。
私も知らんです(笑)。
う~ん、どうでしょうね。銘柄分析記事を結構上げていますが、上記の企業の中で税引後利益がマイナスだった会社はあまり記憶にないです。ゼネラルエレクトリック(GE)くらいかな・・。GEは事業再編中ですから。ああ後、エネルギー企業の中には赤字になっている企業があったかもしれません。原油安の影響で。
ただS&P500の主要企業の大半は利益を上げています。それも大抵は高収益です。間違いないです。実際に財務データを見ているので、それは断言できます。
少なくとも、過去10年平均で利益が赤字の会社はゼロだと思います。
このようにS&P500総体としては必ず利益を上げています。上で掲げたような米国大企業が継続して赤字に陥るようなことは考えづらいです。それこそ、資本主義経済が崩壊するような事態でも起きない限り想定できません。その時は、もはや株式投資のリターンどうこう言ってる場合じゃないとも思います。
これです。これが私がS&P500への長期投資がこれからも株主のお財布をホクホクにしてくれると思う一番の理由です。S&P500を構成する企業はこれからもお金を稼ぎ続ける。だから、S&P500企業の株主もお金を稼ぎ続けることができる。
(長期投資では)株主の利益は企業の利益である
↓
S&P500構成企業はこれからも利益を上げ続ける
↓
よって、S&P500に投資している人はリターンを得られる
シンプルな理屈です。何も難しいことは言ってません。てか私は投資について難しいことはわかりません(会計ならわかりますが)。ただの個人投資家ですから。投資・金融なんて学生レベルにちょっと毛が生えた程度です。
こんな簡単な理由からS&P500への長期投資に楽観的です。超楽観的です。NYダウも同じ理屈で楽観的です。
これから人口成長率が鈍化するから、インデックス投資は儲からなくなる?
これから経済成長率が鈍化するから、もはやインデックス投資はオワコン?
こういう発想をしてしまうのは、結局のところ株価しか見えてないからです。
これまでの右肩上がりの株価推移だけを拠り所に投資をしているものだから、「もう今後は株価は右肩上がりじゃなくなるかもしれない。そしたらインデックス投資はオワコンだ。」と不安になってしまうのだと思います。
そして、私はその気持ちがよーーくわかります。自分が株式投資を始めた時は、株価しか見てなかったですから。S&P500ETFの分配金なんておまけくらいにしか思ってなかったです。てか別に分配金なんて無くてもいいやって感じでしたね。株価が右肩上がりなら、それでOKという心境でした。
でも、当時の自分の発想は正しくなかったです。
見るべきは株券ではなく企業のビジネスでした。企業のビジネスがこれからも社会に必要とされ続ける限り(=利益を上げ続ける限り)、そのビジネスの所有者は富を得ることができます。それが資本主義のルールです。
買い値は重要だけど、投資対象が優良企業なら時間が解決してくれる。
とは言え、S&P500ETFの保有期間が10年~20年くらいだと、最悪投資利益がマイナスになるリスクはあります。その20年間常にS&P500構成企業が利益を上げ続けても、株主利益はマイナスになる可能性があります。
それが起こるのは、あまりに高値で投資してしまった場合です。
理論価格よりも高値で株を買うということは、高値で株を売り抜けた株主にお金を貢ぐことを意味します。株主間の富のバランスの問題です。そうなれば、貢いでしまった金額を回収するまで投資リターンはお預けになります。
ただ時間分散で投資していれば、こういう高値掴みのリスクは回避できます。
また、仮に高値掴みしてしまっても、長期で保有し続ければいずれは貢いでしまったお金を回収できます(投資対象が優良企業であることが大前提。ここ超重要)。投資タイミングをミスって、優良企業への長期投資ならいずれは利益ポジションになります。
買い値は常に大切です。
ですが、買い値よりも投資対象が優良であるかどうかの方がもっと大切です。
投資対象が常に利益を上げ続けるからこそ、仮にタイミングをミスっても長期では資金を回収できます。
S&P500は間違いなく投資対象として優良です。なぜなら、S&P500を構成する企業群が全体として利益を上げられない姿など、とても想像できないからです。
S&P500インデックス投資は21世紀も富を生みます。私はそう確信してます。保有しているだけであなたをお金持ちにしてくれるはずです。私は趣味も講じて個別株投資をしていますが、S&P500インデックス投資よりも効率的、というか確度の高い投資法は他にないと思っています。
こんにちは。
S&P500は、最強の矛と最強の盾を備えた天下無双のインデックスの一つだと感じます。
東証ETFではS&P500に軸足置いてますが、精神的な負担など感じ無いのが一番好きな理由です。
ハズレくじを引く誘惑……これが投資で一番厄介ですが……S&P500の天下無双を信じて淡々とこの先もずっと分散投資していきます。
S&P500…コンテスト優勝の美女達に囲まれるハーレム状態…こんな妄想も楽しめる、凡人投資家向きな選択肢だと私も思ってます。
いつも楽しい記事、有難うございます
おはようございます。
S&P500と言えども株式である以上、株価ボラティリティはあります。
そこを避けることはできませんが、インデックスの内容を見れば見るほど長期で損することはないだろうなと確信します。
株式とはビジネスである、ということを冷静に考えればもはやフリーランチにさえ見えてきます。
こんな高級ランチを低コストで頂けるのが不思議でなりません。
証券業の世界は顧客からむしり取る「陰」の面がある一方、顧客をお金持ちにしてくれる「陽」の面も合わせ持っていますね。
その「陽」には自分で気づく必要があるのが難点ですが。
S&P500を軸に置いていると、他でちょっと冒険もできます。S&P500が安定していますから。
今後、マーケットが右肩上がりかどうかは分からないし、万年低成長かもしれないという広瀬氏の意見、賛成です。だから、私はSPYではなくVYMで配当金再投資派です。
経済の成長率は徐々に下がっていきそうです。
たとえ株価の伸長率が過去平均より落ちるとしても、実質株主リターンは過去と変わらないくらいにはなるだろうと予想します。
若干下がる可能性はありますが。
VYMは私も好きなETFです。
私も資産の半分を1557にしてます。3/4はドル建てです。リスクは自分の年齢にもよるのではないでしょうか。60歳だったらここまでしないかも。
為替リスクもほとんど気にしてません(円高になれば、他の日本人よりは損するかもですが、世界的に見て自分の購買力が落ちているとは思いませんので)。さすがに120円/ドルを超えると、ためらいますが…。
アメリカは生産年齢人口が増えるなど、まだ十年単位で盤石だと思います。
現在だと、さすがに、PBRも高めとは思います。なので、値下がってきた米国債を買う割合を増やしたりしていますが、それでも20年後に見たらS&P500の利回りの方が勝っていそう。
1557いいですね。
私も昔カブドットコムのフリーETFで積立してました。
おっしゃる通り、リスクは年齢や投資家の性格によって人それぞれだと思います。
アメリカの国内市場も強いですし、何より米国大企業はグローバルでビジネスをしているので新興国の成長も取り込めます。
SECやFDAの厳しい規制も米国マーケットに安心してお金を預けられる点です。
規制は時に株価急落を招きますが、そういった規制機関にリソースを投じれる国は投資家として安心できます。
PERなど数値で見れば、米国株は世界的に見ても割高ですね。
短期的には新興国株クラスは魅力的かもしれません。