FRBは今月利下げする可能性が高いようです。そんな緩和的な金融政策にも支えられてか、米国株は順調に上がり続けています。今から株を買うのは高値掴みになるのでは?という不安があるかもしれません。

確かに、米国株は割安とは言えません。

が、かと言って債券がいいかと言えば、債券は株式以上に割高に見えます。米国債はまだマシな方で、日本を初め世界各国でマイナス利回りの債券が大量に流通しています。金融投資と言えば株と債券なわけですが、今選ぶべきは株式だと思います。消去法的に株式です。

株か債券かってシンプルに利回りで比較して考えていいと思うんですよ。

現在の利回りは以下。
S&P500指数の益回り:5%~6%
米10年債利回り:2.0%

株式の方がリスクが高いとは言え、利回り格差はまだ大きいです。

株式の銘柄選別では単に利回りで選ぶのはダメです。IBMの益回りは9%(PER11倍)、アマゾンの益回りは2%(PER50倍)。IBMの方が高利回りだから、アマゾンではなくIBMに投資すべき、とは当然なりません。

あくまで株式全体(S&P500指数)と債券(米国債)とを比較する時の話です。

債券は長期で株式をアンダーパフォームするというのはよく知られた事実ですが、だからって即債券を長期投資のポートフォリオから外す必要はないと思います。状況に応じて株を売って債券を組み込むことも合理的な戦略です。

たとえば、1999年後半から2000年あたり、10年債利回りは6%前後ありました。知っての通り、当時株価は高騰しておりS&P500指数のPERは30倍に達していました。PER30倍とは益回りで言えば3%ほどです。

S&P500指数の益回り:3.3%前後
米10年債利回り:6.3%前後

債券利回りの方が3%も高かったのです。今と真逆ですね。

その後のマーケットはご存知の通り。ITバブルが崩壊しハイテク企業を中心に株価は暴落しました。FRBは利下げを余儀なくされ、2001年初に6%あった政策金利(FF金利)は年末には1.75%まで引き下げられました。急激な金利低下です。

金利が下がるということは、既発債の価格が上昇するということです。2000年当時債券を買っていれば、6%の利息のみならず多額のキャピタルゲインまで得ることができました。

もちろん、これは結果論ではあります。2000年にバブルが崩壊して株価が暴落し、そして債券価格が上昇したというのは今だからわかることです。当時の雰囲気は知りませんが、まあいつの時代も高いバリュエーションを正当化する専門家の意見が出回るものです。当時のIT技術の発展が現在の生活を一変させたのは紛れもない事実ではありますし。

債券の方が利回りが高いからといって、すぐに株を売って債券を買うべきとまでは思いません。しかし、一般的にはビジネスリスクを抱える株式の方がそのリスクを反映して高利回りになるものです。確定利息の債券の利回りが株式の利回りより高いなら、債券への投資を検討する価値もあると思います。

どんな利回りだろうと30年、40年と長期保有するなら債券が株式をアウトパフォームする可能性は低いと思います。でも別にそんな長期間保有する義務なんてありません。割安な時に債券をいくらか買って、後で株式に乗り換えればいいだけです。底値買いは難しいだろうけど。

マーケットの歴史を勉強すると、 株式よりも債券の方が魅力的だと思える時期があることを知りました。長期では株は債券より強い。それは事実ですが、鼻っから債券を投資対象から外す必要はないと思います。短期金利や10年債利回りくらい意識しなくても情報が入ってきますよね。金利が上昇してS&P500指数の益回りを大きく超えるようになれば、ポートフォリオの一部に債券を組み込むことも検討したいです。

でも今じゃない。今は債券より株式の時代。そう確信しています。これからの10年で、米国債がS&P500指数を超えるリターンをもたらすとは到底思えません。

いま債券を買うとしたら暴落に備えた保険としてくらいかな。まあ、私なら保険目的で債券買うくらいなら現金を持ちますけどね。

債券には注目しています。私が生まれた1987年当時、米国債の利回りは8%~9%もありました。以来、債券相場は右肩上がりの強気相場が続いています(利回りは低下続き)。そろそろ潮目が変わっても不思議じゃない。

いつか債券利回りが上昇して、1980年代後半や2000年前後のような状況になる時が訪れるかもしれない。心の準備をしておかないと、そういう時に株を売って債券を買うことは難しい気がします。

『敗者のゲーム』など有名な投資本をたくさん読んでいると、「長期投資は株式が最強だー!」という知識が刷り込まれます。それは間違いじゃないんだけど、債券という選択肢も常に頭の片隅に置いておきたいところ。今は株より債券ってタイミングもきっとあるから、長い投資家人生の中で。今じゃないけどね。