アメリカは12月決算企業が多いですが、日本は3月決算企業が多いですよね。4月が新年度という慣習に沿ってのことかと思います。うちの会社も3月決算です。
経理部は季節商売でして、3ヵ月に一度の決算の度に繁忙期が訪れます。特に3月の本決算は有価証券報告書の注記量も多いし、外部内部から求められる分析のレベルも高くてしんどいです。4月に入ると「いよいよ本決算が来たぞー!」という雰囲気になります。
4月1週目~2週目の半ばにかけて単体決算を締め、2週目後半から連結決算が始まります。4月下旬から5月中旬の決算発表に向けて、IR資料の作成やアナリストの質問に備えて財務分析を行います。同時並行で6月の有価証券報告書提出に向けて、注記資料の作成や監査法人対応を行います。その他、細かい雑務が山のようにあります。
そんなわけで、特に4月と5月の残業時間がどうしても増えてしまいます。3月も決算準備という名目で地味に忙しいです。6月はちょっと落ち着くかな。
うちの会社は当月の残業代が翌月の給与に反映されます。3月の残業代は4月支給です。1年で3月~5月の残業がもっとも多いので、4月~6月の給料が他の月よりかなり多くなります。これが厄介なんです。
なぜだかわかりますか?
社会保険料が上がってしまうからです。厚生年金や健康保険などの社会保険は標準報酬月額を基礎に算定されますが、その標準報酬月額は4月から6月の3か月間の給与等の金額で決まります。
年収で決まるのではなく、4月~6月の四半期間の収入で社会保険の額が決まります。この期間がもろに私の繁忙期と被るんです。経理部の前にいた監査法人もそうです。同じく3月~5月が会計監査の繁忙期です。
なので、社会保険料が毎年めちゃくちゃ高いです。もうこれのせいで、ただでさえ上がっている控除率がさらに上がります。金額は仮ですがイメージとしては、標準報酬月額は50万円なのに普段の月収は30万円って感じです。月収30万円なのに、社会保険料は月収50万円をベースに計算されるということです。8月、9月など閑散期で残業が全くない月の手取りはめちゃくちゃ少ないです。「俺は新入社員か!」って思うくらいです。
2020年度の密かな目標があります。働き方改革で残業を減らす風潮もあるし、来年度こそは標準報酬月額を抑えたいです。つまり、3月~5月に残業をし過ぎないということ。決算だからさすがにノー残業は不可能ですが、なるべく早帰りを心掛けます。
もう搾取されるのは嫌です。まあ、社会保険料をたくさん納付すれば将来たくさん返ってくるという理屈なので「搾取」とは言えませんが、国家財政に全幅の信頼は置けません。あとそもそも将来の金なんて要らないから、今の手取り収入を増やして欲しいです。んで、それを自分で投資に回したいです。結局、将来の投資に回すんかい!って突っ込まれそうですが、国家に運用してもらうよりも自分で運用したいです。
これって3月決算企業の経理部あるあるだと思ってるんですがどうですかね。あと、監査法人あるあるでもあるな。てか会計業界あるあるかな。
おまけ(豆知識)
ご存知だったら失礼。標準報酬月額に関するちょっとした豆知識のご紹介。
標準報酬月額は4月から6月の給与等をベースに決まると言いましたね。この「等」の中には交通費も含まれます。交通費って普通は実費精算ですよね。遠くに住めば住むほど、支給される交通費が増えるかと思います。逆に会社近くに住めば交通費支給額は減ります。どちらにしても、出勤のために掛かった経費を精算しているだけで損得はないと思うかもしれません。
しかし、遠くに住んで交通費をたくさんもらっている人の方がちょっと損です。なぜなら、交通費も標準報酬月額の計算に含まれるので、交通費が多いと社会保険料が増えてしまうからです。
これちょっと驚きじゃないですか? 私は初めて知った時ちょっと驚きましたよ。交通費って給与所得上は非課税扱じゃないですか。でも、ちゃっかり社会保険料の計算には織り込まれるんです。
以上、豆知識でした。
はじめまして。ブログいつも楽しく拝見しています。
釈迦に説法というやつかもしれませんが、標準報酬月額の算定時期である4月~6月が繁忙期となり、残業代が著しく増加する場合(二等級以上の変動がある場合)、
申し立てをすることで過去1年間の平均報酬額によって算定することが出来たと記憶しております。
自分の職場も季節商売のような側面があって、毎年、年間報酬の平均で算定する申立をしています。
とっくにご存知かなとも思いましたが、少し気になったのでコメントしました。
今後もブログ楽しみにしています。
はじめまして。
はい、格差がある時は調整される仕組みがあることは知っております。
一度人事部に相談したことがあるのですが、「うちの会社でそんな申し立てした人はいない」と跳ね返されました。
それ以降、申し立てはしてなくて。。
確かに、そこをきちんと確認してもう少し突っ込む価値はありそうですね。
ありがとうございます。
2等級も差が出ないように残業しない方向で進めたいです。
こんにちは。いつも勉強させていただいています。
社会保険料、高いですよね。税金と合わせて(私は社会保険料も税金と思ってます)引かれて、手取りは8割もないです。
定時決定を年間平均で算定する制度があります。
①通常の方法で算定した標準報酬月額と年金平均で算定した標準報酬月額に2等級以上差があり
➁この2等級以上の差が例年発生し
➂本人が同意している
時に認められるようです。
人事部へ問い合わせしてみてはいかがでしょうか?
安くなると良いですね!
これからも楽しくてためになる記事をお待ちしてます。
こんにちは。
いつもお世話になります。
最近、冬の賞与が支給されましたが手取り率は75%を割っていました。
げんなりです。。
サラリーマンの宿命だと諦めています。
標準報酬月額の件、アドバイスありがとうございます。
ひのもりさんからも同様のコメント頂きましたが、人事部に過去問い合わせて跳ね返されました。
多分、申告業務が面倒なんだろうなあと推測します。
はじめまして。れいとと申します。
いつも参考にさせていただいております。
質問なんですが
標準報酬月額が4〜6月の3ヶ月で決まるのは認識していましたが、年末調整で払い過ぎた分は毎年返ってくると思ってましたが、社会保険料を払い過ぎたら将来返ってくるって事は、年末調整では返ってきてないのですか?
はじめまして。
年末調整は所得税の調整なので、おそらく社会保険料の還付等はないかと思います。
あまり税金詳しくないので、間違っていたらすみません。
こんにちは。いつも楽しく読んでおります。
私は公務員で昨年まで給与の仕事をしており、給与も3~5月が繁忙期なので共感してしまいました。
また標準報酬も仕事柄深くかかわっていたので思わずコメントしてしまいました笑
標準報酬については、4~6月の報酬で決定(定時決定)されますが、他の方もコメントしているとおりいくつか条件を満たせば、年間の平均報酬で決定(保険者算定)することができます。
ちなみに公務員の場合は制度としては存在していたのですが、システムが対応していないとの理由で行っていませんでした。(それは理由になるのかと担当者として疑問を抱いておりましたが笑)
ただ最近動きが変わり、国のほうから積極的に保険者算定をするようにとの通知が出ているようです。
それに伴い、私の職場も今年から保険者算定のシステムを導入したようです。
ただ、現在実際に保険者算定された話は聞いておりません。
条件がまあまあ厳しいのと、申請が「個人」ではなく「所属」なので所属長(管理職)の決済を受けなければならず、皆さん敬遠しているようです。管理職は時間外が出ないので、等級が変わることもなくただ手続きが面倒なだけですからね。
(公務員の保険は共済組合なので、民間の制度がどうなのかわかりませんが・・・)
私個人としては給与にいた知識を活かして、あとちょっと時間外をしたら等級が上がる場合には、残業をしてもあえて時間外をつけていませんでした。おそらく年間ベースでみるとそっちのほうがお得なので。
またこれもご存知かもしれませんが、定時決定以外にも随時決定というものがあります。
これは毎月の固定報酬に変動があった場合(昇給、扶養手当、住居手当等の適用or取消しor額変更)に行うものです。
詳細は省きますが、随時決定で定時決定より等級が下がる場合はよほどのことがない該当しないです。逆に上がる場合が多いです。
お金を搾取するようにうまく作られていると感心してしまいます。
あと通勤手当のカラクリは盲点ですよね。今の職場は新幹線通勤する人が多くいて、よく「新幹線代も全額出るからお得」と言っていますが、内心冷ややかに見ています笑
本当は教えてあげたいのですが、あまりにも満足気な人が多いので、空気を読んでそれも言えず、、、
住居手当もそうですが、あらゆる手当も課税されるので気をつけたいところです。(課税されないのは旅費と児童手当くらいか?)
住居手当を満額もらうために家を決めるのではなく、家を決めて結果として住居手当もらいました的な。
収入を増やすのは難しいので、控除される金額を減らすしかないですし、意外と簡単なのに、周りを見ていると出ていくお金に関心がない人が多い印象を受けます。
ありがとうございます。
専門的なコメントで大変勉強になります。
やはり条件を満たしても、標準報酬月額を下げるのは難しいのですね。。
うちの会社も多分面倒だからという程度の理由で、私の申請を拒否したんだろうと思います。
4月~6月だけ異常に給料が増えるのは経理部の連結決算チームくらいですから。
うちの会社も社会保険に詳しい人は、敢えて残業申請をしないで等級をコントロールしていました。
(確か奥さんが人事部で詳しかったとかで)
私は不勉強でそこまでわからない、というか調べるのが面倒で、素直に全額申請していました。
随時決定とは初耳です。
本当は税金も社会保険もしっかり勉強して自己防衛するのがあるべき姿勢なんだと思います。
サラリーマンは源泉徴収されることもあって、思考停止で済んじゃので勉強をサボっちゃうのが正直なところ。
勉強しない私は搾取されて当然ですね。
その分、たくさん勉強した金融投資で搾取されないように頑張っていきたいですw。
そうそう、手当も課税後で考えたいですよね。
「住宅手当5万円だから、家賃12万円でも実質7万円だなあ」とか言う人が周りにいますが、違いますね。いちいち指摘しませんが。
そういう意味では住宅手当よりも会社の寮に住む方が経済的ですね。