少し長い文章で恐縮ですが、今日(2018年8月25日)のWSJの記事の一節を引用させて下さい。
個人的にめっちゃ興味深い内容です。

FRBは物価が持続的に上昇した1970年代と、90年代半ばの景気拡大期を参考にしているとし、既存のモデルでは失業率が低下すると物価の押し上げ圧力は強まるが、90年代には当時のアラン・グリーンスパンFRB議長が物価圧力をあおらずに経済成長が加速する可能性があると他に先駆けて認識したため、インフレは落ち着きを保ったと話した。

FRB当局者は自然失業率や、景気を刺激も冷やしもしない中立金利といった仮説を重視しがちだ。だがパウエル氏はこの日「星の位置は認められるところからほど遠いこともある」と語り、そのような姿勢に疑問を呈した。

さらに、FRBは70年代に「星についての不正確な見積もりを重視し過ぎて」失策を犯したが、90年代にはその二の舞を避けられたと語った。

ウォールストリートジャーナルより
※文字の強調は私が勝手にやったもの。

 

1970年代~80年代前半、米国のインフレ率は高かったです。パウエル議長が語っている通りFRBの失策が原因です。OPECの原油減産がリセッションをもたらす可能性があるとして、過度に流動性を供給してマネー量が増えて通貨価値が著しく減価しました。

インフレ率が高まると、株価も後追いで上がるもんです。株式は短期ではインフレに勝てませんが、長期はインフレに勝ちます。勝つというと語弊がありますが、まあインフレに追いつく、インフレに中立と言ったほうが正確かな。

90年代はインフレなき上昇相場でした。インフレなきは言い過ぎですが、物価上昇は緩やかなのに株価はグングン上昇しました。パウエル議長はそれはグリーンスパン議長(当時)の金融政策がのおかげだと語っています。

しかし、これは勝手な持論ですが、1990年代の大上昇相場は1970年代のインフレの反動でしかないと思います。

以下1990年~現在までのNYダウチャートです。赤枠が1990年代。

 

確かにグリーンスパン議長のかじ取りが巧かったことが、90年代のインフレ率以上の株価上昇をもたらした面はあると思います。でも僕は、この90年代の上昇相場は70年代~80年前半の高インフレに追いつくための期間だったように見えてなりません。

そうやって、長期では株価(=業績、配当)はインフレに追い付いて、株式の実質リターンは7%前後で落ち着きます。

これから相場がどう動くか予見できませんが、S&P500のリターンは長期では実質7%くらいに落ち着く可能性が高いだろうと思います。少し下がるかもしれませんが。

この過去の歴史から学べる教訓があって、それは物価上昇と株式リターン上昇が相殺されて、帳尻が合うのに30年もかかった時期があったということです。1970年~2000年のことです。

長期投資の「長期」ってどれくらい?って聞かれたら、30年が一つの目安かな~と思います。30年持てば、インフレ率が(実質)リターンに与える影響をほぼほぼトントンにできそうです。

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