今年はついに金利が上がってテック株の人気に陰りが見られます。この流れは当面続くとして、テクノロジー株から生活必需品株に乗り換えるべき、という意見がWSJなどで散見されます。

特に反対ではないものの、メッセージの本質をきちんと掴む必要があるかなと思っています。別にすべてのテクノロジー株がダメというわけではないので。

「テックから生活必需品へ」をより抽象化して言うと、デュレーションの長い銘柄から短い銘柄へ入れ替えるべき、ということです。

デュレーションとは投資回収期間という意味です。より早く投資回収できる銘柄を選ぶべき、ということです。

こう言われるのは金利が上昇しているからです。

デュレーションが長い商品ほど金利上昇に弱いです。株で単純化して言うと、デュレーションが長いとはPERが高いということです。

確かにテクノロジー株はPER高めです。

とはいえ、年初からの急落でナスダック総合指数の予想PERは20倍前後まで下がっています。S&P500に比べて明らかに割高というわけでもありません。また、生活必需品セクターもPERは結構高いです。

金利が上がると成長に対するマーケットの評価が下がります。不確実な成長を期待して資金をベットするくらいなら国債で3%の利息で満足、という話になるからです。

でもだからって、成長に価値がないわけではないです。特に長期投資では、それなりにPERが高くとも持続的にEPSを伸ばしていける銘柄を辛抱強く持つことが重要になってきます。

今避けた方がいいのは、テクノロジセクターの中でもワイドモートを確立できていない新興企業です。こういう企業はデュレーションがとても長いです。

今現在赤字ないし黒字でも利幅がとても少ない、でも5年後10年後には営業利益率20%になっている!(と期待されている)、20年後には今のGAFAになってやる(と意気込んでいる)!

こういう銘柄こそ本当の意味でデュレーションの長い銘柄です。投資資金を回収するのに何十年かかるか見えません。デュレーションが長いというか、もはや算定不能みたいな感じです。

PER25倍のA株とPER20倍のB株、今は金利上昇局面だからデュレーションがより短いB株を買おう、というのはちょっと安易かなと感じます。

こうやって20倍台のPERで比較できる時点で、長期目線ではバリュエーションに大差はないと言えます。50未満のPERで評価できるのは、それなりに成熟している証です。

こういうケースでは表面的なPERよりは、A株とB株とでどちらがよりEPSを伸ばし続けることができるか、という企業の潜在能力を評価した方がよいと思います。

金利がどうあれ、PERとはEPS成長とのバランスで見るべきものという原則は変わりません。

アップル、マイクロソフト、アドビ、エヌビディア、ビザマスター、アプライド・マテリアルズなど、すでにしっかり利益を出しており、かつ長期展望も有望なテクノロジー株から、コカ・コーラやペプシコ、P&Gといった生活必需品株にローテーションすべきかと言われれば、それは違うんじゃないかって思います。

金利上昇で須らくテックが売られ続けるなら、一部の銘柄にとっては魅力的な買い場になるかもしれません。私たちにとっては円安がネックですが。。