リーマンショック以降、米株式相場を牽引するのは大手ハイテク企業。FANGなど。

リーマンショック以降、米株価を引っ張るのは大手ハイテク企業です。FANGという単語が一般化しましたね(少なくとも米国株投資家の間では・・)。あと、FAAMGという似た単語もあるようです。

F:Facebook
A:Amazon
N:Netflix
G:Google

F:Facebook
A:Amazon
A:Apple
M:Miscosoft
G:Google

FAAMGはFANGからネットフリックスを取り払って、アップルとマイクロソフトを加えたものですね。まあ、こういう単語の意味は別にどーでもいいですw。言いたいのは、上記で挙げたハイテク大手がここ数年の米国株式相場を先導しているということです。

(ウォールストリートジャーナルより)

最近フェイスブックの株価が暴落しましたが、そうは言っても今年4月頃の水準に戻っただけです。

今年もFANG、FAAMGは好調です。以下は大手ハイテク銘柄とS&P500の2018年YTDトータルリターン(8月7日現在)です。

FB フェイスブック 0.8%
AMZN アマゾン 55.9%
NFLX ネットフリックス 78.3%
GOOGL グーグル(アルファベット) 17.5%
MSFT マイクロソフト 27.3%
AAPL アップル 23.7%
S&P500 6.4%

グラフにしてみます。


こう見ると歴然ですよね。フェイスブックの除く5銘柄はどれもS&P500を大きく上回るパフォーマンスです。ネットフリックスは最近株価が小暴落しましたが、それでもまだトップを維持しています。

 

FANGを始めとする高収益なハイテク企業に一切投資しないのはリスキーだと感じている。

これら大手ハイテク企業をポートフォリオに入れていた投資家は報われています。未実現の含み益かもしれませんが、利益は利益です。逆にFANG・FAAMGを避けてきた投資家が、市場平均を超えるパフォーマンスを達成することはかなり困難だったはずです。

私は後者です。

つまり、上記IT企業をポートフォリオに一切含めていません。2018年(2017年も)の投資パフォーマンスは今のところ市場平均を下回っていると思います。細かく計算してないのでわかりませんが、少なくとも、S&P500平均を大きく超えてないのは確実です。

私は自分のポートフォリオながら、FANG・FAAMGに全くアプローチできていないことをリスクだと感じています。本当に今のままでいいのだろうか?って疑問を抱きながら投資を続けています。S&P500連動ETFでも保有していれば、まだ少しは上記ハイテク銘柄にも投資できますが、今はS&P500にも一切投資していませんから。

ここ数年のFANG達の爆上げを受けて、「2000年代のハイテクバブルを彷彿とさせる。FANGバブルはいつか崩壊するぞ!」という意見を聞くこともあります。しかし、私はそうは思いません。

2000年頃はまだ遊びたい盛りの中学生だったので、当時のマーケットと実際に対峙したわけではありません。が、大人になって書籍等で勉強する限りは、どうやら当時は赤字にもかかわらず、時価総額が数百億円も付くような新興企業がたくさんあったそうです。利益の裏付けのない幻想の価値が生まれていました。

しかし、今は違います。ネットフリックスこそまだフリーCFはマイナスですが、その他の企業はめっちゃ儲かっています。フリーCFも営業利益も莫大です。利益率は旧来の優良企業の比ではありません。フェイスブックの営業利益率は40%を超えています。

21世紀になってビジネスのルールがちょっと変わったなーって感じてます。社会に価値あるサービス、製品を提供して利益を上げるという基本は変わってませんが、顧客への価値提供方法がかなりダイレクトかつ低コストになっていると思います。

人が価値を感じてお金を払ってもよいと思うのは、自分の感情がポジティブに動くとき、ないしネガティブな感情を減らす方向に動く時です。「楽しい」、「嬉しい」、「痛くない」、「便利だ」、「かわいい」など。

で、思うのは、20世紀はこれらの感情を引き起こすために物理的なモノが必要な場合が多かったけど、21世紀になってモノじゃなくて情報が主役になってきたなということです。

「価値=人の感情」というのは不変だと思うのですが、そのアプローチ方法が変わってきた印象を持ってます。

●20世紀型企業の価値創出イメージ

●21世紀型企業(FANG等)の価値創出イメージ

かなり抽象論で申し訳ないですが、こういうイメージを抱いています。

FANGに代表される現代のNY市場を牽引するハイテク企業の価値の源は目に見えない情報です。アップルはまだまだデバイスが主な収入源ですが、最近はサービス売上が拡大しています。

情報は一度創り上げると複製が簡単かつ低コストという特徴があります。よって、利益率が高くなります。工場で大量生産という概念がありません。インターネットというインフラを活用することで、ローコストでビジネスにレバレッジを掛けることができます。規模拡大が旧来の製造業より遥かに低コストかつ容易です。

 

シーゲル流投資=ハイテク銘柄を外す、ではない。今の大手ハイテク企業は高収益だしバリュエーションも適性。

ジェレミー・シーゲル氏の『株式投資の未来』には感銘を受けました。

この書籍には成長の罠にはまった企業の例としてIBMが取り上げられていました。20世紀後半、IBMへの長期投資はそれなりに報われましたが、IBMの利益成長力、株価上昇率の割に株主リターンは高くなりませんでした。それは、IBMへの期待が常に高く配当再投資の効率が悪かったからです。

シーゲル氏の研究によれば、20世紀後半にハイ・パフォーマンスを叩き出した銘柄は生活必需品セクターとヘルスケアセクターに多く存在しました。具体的には、タバコのフィリップモリス(PM)や飲料のコカ・コーラ(KO)、医療機器(当時は製薬もあったが)のアボット・ラボラトリーズ(ABT)などです。

これらは非常に参考になる研究結果なわけですが、これを見て、「じゃあ21世紀も生活必需品セクター、ヘルスケアセクターを中心に投資すれば儲かるってことよね。ハイテク銘柄は成長の罠にはまりやすいから危険なんだな。」って安易に捉えるべきではありません。

結局大事なのは、あまりに高いバリュエーションを避けながら、高収益な優良企業に投資し続けることです。投資額当たりの利益・配当を最大化することが目的です。20世紀後半にその目的を達成できた銘柄が、生活必需品やヘルスケア関連の銘柄だっただけです。今後も同じシナリオになるかはわかりません。

今のハイテク大手を見てどう思いますか?
成長の罠に嵌っているほど過熱しているように見えますか?

私はNOだと思います。全然です。

PER200倍近いアマゾンはちょっと置いておくとして、他はバリュエーションは妥当に見えます。
各社の予想PERは、
フェイスブック:21倍
アップル:15倍
マイクロソフト:22倍
アルファベット:26倍
です。

表面的なPERだけを見てバリュエーションは判断できませんが、意味不明なめちゃくちゃなPERでないことは確かです。どの企業も世界トップクラスの収益性を誇ります。赤字でキャッシュを生んでいないにもかかわらず、株価が上がりまくっていた2000年前後のITバブルとは全く状況が異なります。

長期投資では「とびっきり素晴らしい優良企業の株を、ほどほどの適正価格で買う」ことが大切ですが、今のハイテク大手はその条件を満たすと思います。めちゃ高収益な優良企業だし、株価もまあまあ適性値に見えます。フェイスブックなんて割安に見えるくらいです。

私は今、FANG・FAAMGには一切投資していません。それは、私がシーゲル流の投資法を実践しているからではありません。シーゲル流の投資だからって、FANG・FAAMGへの投資が否定されるわけではありません。「永続する会社が本当の利益をもたらす」のです。FANG・FAAMGは永続する企業でしょう、、恐らく。

私がFANG・FAAMGに投資していないのは、どの銘柄も配当利回りが低いないし無配だからです。私は今すぐ貰える配当をかなり重視しています。将来の増配を待てません。せっかちな性格なんです。この配当利回りへの執拗なこだわりは、シーゲル流でもバフェット流でもない、単なるHiroの好みです。

そんな自分の性格、投資方針が長期的な投資リターンを悪化させないか懸念しています。自分のポートフォリオの短期的なアンダーパフォームは別に気になりませんが、長期的にも市場平均に負けるリスクがあると思っています。こんなブログまでやって投資に時間を割いているわけですから、やはり何とか市場平均程度のリターンは達成したいものですが・・。

シーゲル氏の『株式投資の未来』を表面的に解釈すると、生活必需品セクターやヘルスケアセクターを中心にポートフォリオを組めばいいんだろって思うかもしれませんが、その解釈はちょっと安易です。今のハイテク大手を無条件に投資候補から外すのはもったいないと思います。