自宅購入は実需とは言え、どうせなら売る時に高値で評価される資産性の高い物件を持っておきたいところです。

一般的には坪単価の高い都心エリアの方が値崩れしづらいと言われます。日本全体では人口減とは言え、都心部は再開発も活発でまだまだ人口は(少なくとも世帯数は)増加すると見込まれます。

ちなみに、再開発エリアでぱっと思い付く場所としては新宿西口、東池袋、中野駅周辺、八重洲、虎ノ門とかですかね。

とは言っても、とにかく背伸びして都心の高額物件を買えばOKというわけではありません。また、郊外でも資産性の高い物件は普通にあります。どこのエリアで買うにしろ不動産(ここでは特にマンションを前提にしている)は買値がすべてと言えます。

マンションに限らず株式でも、投資で成果を上げるには買値が重要ですが、特にマンション投資では買値にこだわる必要があります。

なぜなら、マンションはどんな高級物件であれ、住むという価値を提供する点は変わらないからです。

あらゆる投資商品の時価(理論値)は将来キャッシュフローの割引現在価値の合計です。

マンションの理論価値とはそれが将来生み出す(帰属)家賃に依存します。もちろん、この10年のように低金利が価格を押し上げることもありますが、将来家賃そのものは急激に上昇することはありません。下落することもありません。

アップルはiPhoneの爆発的な普及により時価総額世界一になりましたが、今はiPhoneの売上高は横ばいでサービス収入の割合が増えてきました。また、チップ内製でPC売上が復活してきました。将来は自動車関連やヘルスケアが大きな成果を生み出すかもしれません。

このように、企業は非線形に収益を伸ばすチャンスがあります(収益を失うリスクもある)。なので、一見割高な価格で投資しても、結果として報われることもあります。

しかし、不動産ではそういうチャンスはほぼありません。再開発の恩恵を受けて少し家賃相場が上昇するくらいはあるかもしれませんが、住む場所を提供するという自宅不動産の基本的な価値は不変です。

不動産は高額な割に超ローテクな商品ということです。

70㎡で20万円だった家賃が10年後に50万円に急増している可能性は少なくとも日本では考えられません。

将来収益の大幅な変動が想定できないということは、割高を掴んでしまうとそれを取り戻すチャンスはほとんどないことになります。10年20年と長く住んで、帰属家賃を積み重ねることで取り戻すしかなくなります。

マンションの家賃とは株式のEPSに相当します。株式価値=ΣEPS/金利。マンション価値=Σ家賃/金利。

EPSは自社株の買い戻しも含めて10年で2倍3倍に成長する可能性を秘めていますが、家賃が10年で2倍3倍になることはありません。

なるべく早めにローンを走らせることが肝要である一方で、買値は慎重に見極めないといけません。特に新築は割高な物件が散見されます。

・周辺中古と比べて明らかに割高ではないか?
・家賃と物件価格から算出される利回りは妥当なレベルか?

この2点を抑えておけば合格点は取れると思います。利回りは都内であれば4%が目安です。

私が去年購入した新築マンションは周辺中古よりも安く、かつ想定利回りも5%前後ありました。これは割安だろうと判断し、妻も「新築いいの!」と喜んでいたので購入を決断しました。