※2020年9月期決算データ反映、コメント刷新

S&P100構成銘柄を中心に米国企業の業績、財政状態、キャッシュフロー、株主還元状況について過去10年分のデータをグラフ化しています。

データソースはMorningstarです。

今回はクアルコム(QCOM)をご紹介します。

基本情報

会社名クアルコム
ティッカーQCOM
創業1985年
上場1991年
決算9月
本社所在地カリフォルニア州
従業員数41,000
セクター半導体
S&P格付A+
監査法人PwC
ダウ30×
S&P100
S&P500
ナスダック100
ラッセル1000

地域別情報

地域別売上構成比

地域別売上高推移

セグメント情報

セグメント別売上構成比

QCT(Qualcomm CDMA Technologies):半導体事業
QTL(Qualcomm Technology Licensing):ライセンス事業

セグメント別売上高推移

セグメント利益推移

割愛

セグメント利益率推移

割愛

業績

キャッシュフロー

バランスシート

資産

負債純資産

株主還元

連続増配年数

10年

過去10年の配当成長

年率+13.4%

配当はこの10年で3.5倍に増加しました。

過去の株主リターン(年率、配当込み)

過去10年(2010~2019):+14.2%
過去20年(2000~2019):+4.3%
過去30年(1992~2019):+21.5%

バリュエーション指標(2020/12/13時点)

予想PER:26.6倍 最新情報はこちら

配当利回り:1.7% 最新情報はこちら

コメント

クアルコムはスマホ用の半導体で圧倒的なシェアを持つファブレス企業です。製造自体はTSMC等に委託しています。クアルコム(Qualcomm)という社名は、QualityとCommunicationを掛け合わせて造った言葉が由来だそうです。

クアルコムの成長はスマホの普及抜きに語れません。スマホが世界中で年々広まっていくにしたがって、クアルコムの業績も右肩上がりで成長してきました。主要顧客はアップル、サムスン電子、シャオミ等の大手スマホメーカーです。

特許使用料としてロイヤリティを得ています。近年アップルやファーウェイと訴訟合戦を繰り広げていましたが和解に至りました。が、アップルについてはチップを内製するという報道もあります。

競合企業はブロードコムやインテル、村田製作所など。

自動車向け半導体で世界トップのオランダNXPセミコンダクターズを470億ドルで買収する見込みでしたが、米中貿易摩擦の犠牲になり破談。NXPに20億ドルの解約手数料を支払いました。

飽和化するスマホ市場に焦りを感じている半導体メーカーはクアルコムだけではありません。クアルコムを買収しようと名乗りを上げたのがブロードコム。ブロードコムは1株82ドル(1210億ドル)でクアルコムの買収を提案しました。がしかし、これもトランプ大統領の鶴の一声でディール中止となりました。

財務データを見てみましょう。

FY20(2020年9月期)の売上高は235億ドルで前年比▲3%。5G、IoT関連の需要は堅調なものの、COVID-19の影響を受けて減収。

FY20の純利益は52億ドルで前年比+19%。ファーウェイとの特許を巡る紛争で和解し、18億ドルの和解金を受け取った影響がおおきいです。なお、アップルとも2019年4月に和解しています。

FY17に流動資産が急増しFY18に減少しています。NXP買収のために資金を借入しFY17末に一時的に預金過剰になりましたが、買収破談となり自社株買いで株主に還元して現預金が減少した結果です。

NXP買収のために巨額借入をしましたが、借入資金はそのまま自社株買いに使われました。銀行から借りた金でそのまま自社株買いしたので、自己資本比率は下がっています。これは仕方ないです。そのまま銀行に返すわけにもいかないでしょうから、買収に使うはずだった資金は株主に返すしかありません。

配当はこの10年着実に増えています。NXP買収資金の件を割り引いて考えても、自社株買いは多い方だと感じます。総還元性向は概ね100%です。