リスクは前回とは異なる思わぬところから訪れるとは思っていました。2008年の金融危機を教訓に、FRBによる銀行経営の監視は厳しくなり、各行バランスシートは健全に。不動産バブルの兆候もありませんでした。米株のPERは高いものの、不動産が引き金を引くことはないだろうと思ってました。では何があり得るだろうか。突然のインフレ率上昇がそれかもな、なんて思ってました。

そしたら、突然同じアジアの大国からブラックスワンが舞い降りてきました。まさか、新型のウイルス蔓延が株式相場を崩壊させるなんて想像もできません。この記事を書いている2020年3月9日深夜時点でNYダウは1,800ドルほど下落しています。インデックス投資の時期を含めると2013年から株式投資をやっていますが、率としても額としても1日の下落としては最大だと思います。朝起きたらどうなってることやら・・。

ウイルスはさすがに予想できません。レオ・ダリオもバフェットも予想不可能だったでしょう。長期投資に暴落は付き物と受け入れるしかないと諦めています。

「アメリカがくしゃみをすれば、世界中が風邪を引く」なんて言われますけど、この慣用句は主語を中国に変えても通用するみたいです。感染症学としての新型コロナウイルスの深刻さはわかりかねますが、これが世界中の人々の心理、行動に影響を与えているのは疑いようがありません。アメリカも多くの企業が在宅勤務を実施しています。各種イベントが中止になり、それに伴ってホテル宿泊、渡航のキャンセルも相次いでいます。世の中の金回りが悪くなっています。

個人的に驚いたのは、母親から久しぶりにLINEが来たこと。年に1回は実家に帰省していますが、それ以外は親とのコミュニケーションはほぼゼロです。先日、数カ月ぶりに母親から連絡がありました。その内容が「買い占め起こっているけどトイレットペーパーとか大丈夫か?あと株は大丈夫か?」というもの。

さすがに笑いましたねw。投資、経済金融なんてちんぷんかんぷんな母親から株式投資の心配をされるとは。それくらいマーケットの状態は深刻ということでしょうか!?

こういう時、不安ですよね、やっぱり。私は不安ですよ。ネット証券なんて絶対にログインできません。ポートフォリオ全体ですでに含み益を食いつぶしているのは確実です。過去の累積配当を加味してもマイナスリターンかも。特にやばいのはエネルギー株ですね。エクソンモービル(XOM)、シュルンベルジェ(SLB)。さっき我慢できずにiPhoneのアプリで株価をチラ見したら、SLBの株価が33%も暴落してたのでそっと閉じました。見なかったことにします・・。

こういう暴落時のために昔こんな記事を書きました。

もしS&P500が暴落したらこの記事を開いて下さい。

この記事で言ったことは、株価ではなく投資先企業の利益を見ようということです。株主になるとは企業の所有権の一部を保有することです。企業が持つ資産、抱える負債、ネットとしての純資産にアクセスすることが株を持つということです。企業の利益が継続してプラスであれば、その所有者たるあなたの利益もプラスにならないとおかしいです。理屈として。

ウイルスの問題でS&P500を構成する企業の業績が多少は落ちるにしても、2020年度もプラスの利益を上げるでしょう。企業全体として利益がマイナスになるなんて、リーマンショックの時でさえ起こってません。

株価が暴落して不安になった時は、過去のS&P500指数のチャートを見るというのも一案ですが、個人的には企業の決算書を見た方が落ち着きます。主要企業の過去の10年の業績を米国株銘柄分析で紹介しているので、良かったらどうぞ。

ただ、これは逆に言うと、これから業績がすこぶる悪くなればS&P500指数への長期投資でさえ報われない可能性もあるということです。

たとえば、NY市場で時価総額トップのアップル、マイクロソフト、アマゾン、ウォルマート、アルファベット、ジョンソンエンドジョンソン、ビザ、JPモルガンチェース、プロクター&ギャンブルなどが、今後赤字を垂れ流し続けるようなことがあれば、S&P500の投資価値は消え失せるでしょう。

でも、そんなこと起こると思いますか?

それはわかりません。2020年度の決算が出てくるまで確かなことは何も言えません。が、多少のへこみはあれどそれなりの決算を出してくると思いませんか。仮に2020年の利益が減るとしても、2021年にはそこそこ復活している可能性の方が高いと思います。需要の後ずれで2021年の利益が跳ね上がればなお良し。

最近の相場に不安を覚えるけど、米株の未来には楽観的です。米国企業の決算データを収集してきたから自信を持ってそう言えます。あ、でも、だからって目先の株価がすぐに復活するかどうかは何とも言えません。企業利益がどうであれ、株を売る人が大勢いれば株価は下がっちゃうからです。企業がどれだけピカピカの決算書を出しても、誰かが株を売るのを止めることはできません。

次の3月期決算ではまだそれほど影響は出ないかもしれません。6月、9月と開示される決算、会社が公表する業績予想の変更などをウォッチしていきましょう。数字が全て。

もしS&P500が暴落したらこの記事を開いて下さい。