ETFなどの金融商品で選びではまずコストが重要です。リターンはコントロールできませんが、コストはコントロールできます。特に毎年かかる信託報酬が重要です。バンガードのETFには経費率が年0.1%を切る商品もたくさんあります。ETFなら高くても0.3%~0.5%には抑えたいところ。1%とか論外です。

コストが最重要なのですが、ETF選びで盲点になると思う要素が一つあります。それが売買回転率です。そのETFがどれくらい頻繁に銘柄を入れ替えているかを示す指標です。たとえば回転率100%なら、1年間でファンドの中身がすべて入れ替わることを意味します。

売買回転率は低い方が望ましいと思います。以下は、最近ウォールストリートジャーナルに掲載されていた資料です。

2004年に1万ドルをS&P500指数に投資して保有し続けていれば、2018年末には3万ドルを超えました。15年で3倍。悪くない結果です。しかし、値上がり上位10日を逃していたら、それだけでリターンは半分になります。15年ということは5,475日もあります。その中で株価が上昇したたった10日間相場を留守にするとリターンの半分を逃すのです。恐ろしいですね。

株式のリターンは年率7%などと言われますが、それはあくまで平均値です。株価は日々大きく上下します。年単位で見ても+40%の年もあれば▲30%の年もあります。将来の利益、インフレ等を株価が織り込む瞬間があります。それはほんの一瞬です。チャールズ・エリスは「稲妻が輝く瞬間」と表現していました。

コロコロ銘柄を入れ替えていたら、稲妻が輝く瞬間に相場に居れない可能性が高まります。私は売買回転率が60%近いブラックロック社のHDVというETFを3年近く保有して、ウォッチを続けていますが、銘柄入替が上手くいくケースは少ないと感じます。安値で売って高値で投資することが多い気がする。全部じゃないですけどね。たまに良いタイミングで買ってくれる時もあります。

ETFは機械的に銘柄を入れ替えており感情に左右されません。人間が相場を読んで売買するよりマシかもしれません。しかし、頻繁な売買が超過リターンをもたらしてくれることは稀だと思います。HDVの構成銘柄やセクターは気に入っていますが、銘柄入替があまりに多いので、保有割合を落としている最中です。ポートフォリオの10%までは少なくとも落とします。 最近はVIGの方が好みになりました。

ETFの売買回転率はあまり注目されない指標かもしれませんが、結構重要だと思います。回転率はMorningstarなどで検索すればわかります。