帰属家賃≠賃貸生活の家賃相当

帰属家賃という概念があります。

自宅を購入した場合、賃貸していないので家賃収入はありません。しかし、見方を変えると自分で自分に賃貸していると考えることができます。購入したマンションを仮に賃貸に出せばいくらの家賃が取れるか。それを帰属家賃と呼びます。

たとえば、5000万円の自宅用マンションを買ったとします。利回り4%と考えると想定年間家賃は200万円(月額16.7万円)。これを帰属家賃と考えて、投資額5000万円に対するリターンとしてカウントします。

この帰属家賃の考え方、概念自体はもっともだし、否定するつもりはありません。しかし、注意した方がいいところもあります。

というのは、帰属家賃は賃貸生活を続けた場合の家賃節約額より高額になることが多いと思うからです。

たとえば、独身で一人暮らしの人が将来の財産形成を考えて2LDK60㎡で5000万円のマンションを買ったとします。二人暮らしはもちろんのこと、子供が小さければ4人家族でも暮らせる広さの家に一人で住むことになります。贅沢ですね。

利回り4%と仮定すると、このマンションの帰属家賃は年200万円でしたね。

なんですが、果たしてこの200万円(月16.7万円)という帰属家賃をリターンとして捉えることは本当に合理的でしょうか?

私はちょっと違うかなと感じます。というのも、もしマンションを買わずに、賃貸生活を続けていれば、一人暮らしなら家賃は都内でも16.7万円もいかないからです。せいぜい10万円くらいでしょ。

もし賃貸を続けるなら家賃17万円もする2LDKを借りることはないはずです。一人暮らしなら1Kか贅沢するにしても1LDKくらいではないでしょうか。

帰属家賃は、もし賃貸を続けたら発生したであろう家賃の節約相当という意味合いがあります。しかし、購入マンションの帰属家賃と、賃貸マンションの想定家賃とは必ずしも一致しません。往々にして「購入した場合の帰属家賃>賃貸を続けた場合の想定家賃」となりがちです。

結婚して二人暮らし、ないし子持ちで上記マンションを買うなら帰属家賃として月16.7万円をカウントするのは問題ないかもしれません(それもケースバイケースだが)。でも、一人暮らしなら月16.7万円を帰属家賃とみなすのは微妙かなと思います。

本来の定義としては帰属家賃は物件毎に決まるものです。が、帰属家賃を賃貸を続けた場合の家賃節約相当と捉えると、それは物件毎に一律に決まるものではなく、人それぞれ状況によって異なるとも言えます。

私にとっての帰属家賃

自分の話をさせてください。

私はいま世田谷区在住で、家賃15万円弱の1LDKに夫婦二人で住んでいます。

今後もし家族が増えてもっと広い家を借りることになったとしても、払える家賃は20万円が限界です。妻に6~7万負担してもらって、私が13~14万払う。これ以上の家賃を負担するのはちょっと抵抗があります。

つまり、月20万円(年240万円)が住宅購入時の私たちの家賃節約額の最大値ということです。

なので、私はどんな高額なマンションを買うことになろうとも、帰属家賃は月15~20万円と計算するように心がけています。

私の属性で引き出せるローンは最大で8000万円と見込んでいます(そこまで借りるつもりはないが)。可能性は限りなく低いけど、8000万円のマンションを買った場合、帰属家賃は利回り4%だと年320万円(月26.7万)です。

でも、この月26.7万円を帰属家賃として自分の住宅投資のリターンの計算に織り込みたくはないです。仮に賃貸を続けていた場合に発生したであろう家賃という意味合いで帰属家賃を捉えると、月26.7万円は高すぎます。

どんなマンションを買うとしても、私にとっての帰属家賃は月15~20万円(年180~240万円)と考えたいです。つまり、なるべく安い住宅を買った方が利回りは高くなると言えます。

マンションの勉強をして感じていることは、下手に安い物件を狙いすぎると資産価値が脆弱なことが多いということです。いくら安値で買っても将来の売値が大幅に下落したら本末転倒です。株と一緒。

資産価値が維持できる良い立地にある、住環境も快適、お値段もほどほど、という物件が理想です。都合がいいのは承知していますが。

具体的な金額を言うと6000万円くらいですかね。坪単価350万円、18坪で6300万円。これくらいが狙い目に感じています。

ちょっと高過ぎるかもしれませんが、資産価値が維持されやすい物件の坪単価は300万円以上する印象です。まだ勉強中なので間違っているかもしれませんが。

6000万円に4%かけると240万円。帰属家賃がちょうど私の家賃節約額の最大値と一致する水準でもあります。この辺りの価格帯で探したいなあと思っています。