私はシーゲル教授の『株式投資の未来』という本に深く感動しました。ブログにアップする内容も必然的にこの書籍の思想の影響を強く受けています。

シーゲル教授の投資戦略とは、比較的配当利回りが高い、成熟優良銘柄を長期で保有して配当再投資を繰り返すという投資戦略です。

私は今でもこのシーゲル教授の投資法が長期投資では最良と確信しています。だから今後も、投資銘柄こそ今と違うことはあっても、投資戦略の根底にある考えは大きく変わらないと思います。

今はETF中心ですが、今後は個別銘柄中心に変わるかもしれません。ETFでも今はHDVが主力商品ですが、購入するETFを今後は変更するかもしれません。

でも、比較的高配当な黄金銘柄を長期で保有するという投資戦略は変わらないと思います。

短期投資に手を出すこともあるかもしれませんが、投資金額の10%~15%程度が限界だと思います。あくまでもポートフォリオのメインはシーゲル流長期投資法を基礎に置きます。

ここまで言っておいて何ですが、私はすべての投資家にこのシーゲル流配当再投資戦略をおすすめできるとは思っていません。

私はこんなブログを開設していることからもお分かりの通り、株式投資について考えるのが大好きです!三度の飯より株好きです、いや株が好きというかファイナンスとか経済とか金融とかそういう言葉に弱いんです。

変わっているでしょ?うん、よく変わっていると言われますから(笑)。

あなたはそうではないでしょ?

99%の人にとって、株式投資はお金をたくさん得るための手段でしかないはずです。株式投資について考える、検討する時間なんてなるべく少なくしたいし、そんなことに時間をとられるくらいなら家族との時間を増やしたり、ゲームしたり、本読んだり、友達と遊んだりしたほうが楽しいでしょ。

そういう普通の人にはやはりインデックス投資がお勧めです。

バフェットもS&P500連動のインデックスを推奨していますよね。私も、普通のサラリーマンにはS&P500ETFを買って放置することが最良の投資法だと思っています。

あなた(99%の普通の人と想定)にシーゲル流配当再投資戦略をお勧めしない理由は3つあります。

  シーゲル戦略をお勧めしない理由

①配当を再投資できない可能性がある

シーゲル教授の投資戦略は長期で高いリターンが期待できますが、それには大前提があります。

それは配当を必ず再投資することです。

投資信託ではなく個別株やETFの場合、配当金や分配金は一旦自身の証券口座等に入金されるはずです。それを消費に使わずに再投資に回すことがシーゲル流投資で成功する上での前提です。

それって実は結構難しいんです。

なぜ難しいか、配当金で美味しいディナーに行ったり欲しかった洋服を買ったりするから?

はい、確かにそれもあると思います。誘惑に負ける場合ですね。人間誰でも快楽に負けることはあると思います。

でも、僕が配当再投資が難しいと思う一番の理由はそこではありません。

配当再投資が困難だと思う最大の理由は、私も含め投資金額の少ない人は1回当たりの配当金額が少なくて都度再投資しにくいことです。

私は1000万円以上を株式に投じています。

1000万円株式を保有していてその配当利回りを3%と仮定すると年間配当30万円、四半期毎の配当金額は約7万円です。米国株は四半期毎の配当が多いですよね。

1000万円って大金ですよね!?
レクサス買えますよ!
僕は年間家賃72万円(1カ月6万円)ですが、1000万円あれば14年弱も今の家に住み続けることができます。

でも1000万円相当の株式を持っていても、3か月毎の配当金は10万円未満なのです。厳しいですがこれが現実です。3%という高配当利回りを前提に計算してもこうなります。

米国株はネット証券でも購入手数料がそこそこ高いです。たったの7万円の配当金を都度投資に回していては手数料負けしれしまうのです。そこで、次の配当金まで再投資は待とうとか、次のボーナスと合わせて再投資しよかという考えに至ります。

そうやって投資機会を先延ばしにすることで、機会損失が発生します。理想はよほど高バリュエーションでもない限りは、配当を貰ったら即再投資です。

サラリーマンは毎月の給料からの投資の方が多いと思いますが、給料からの投資に配当金が混ざってしまい、果たして自分が配当再投資ができているのか、単に給料を投資しているのかわからなくなることも個人的にはあります。

お金に色はないですからね。

このように投資金額が数百万円~1千万円程度の場合は1回当たり配当金額が小さ過ぎて、再投資がしづらいという問題があります。

②短期的な損失に耐える精神力が必要

逆説的ですが、シーゲル流の株式投資を実践しているくせに短期的(~10年)な損益が市場平均を大きく上回っていた場合、それは長期では市場平均を下回る可能性高いことを意味します。

配当込みのトータルリターンならまだしも、あなたが購入したが銘柄の株価自体がS&P500平均の成長率を超えているとしたら、あなたの配当再投資戦略は失敗に終わる可能性が高いです。

1900年代後半、最も投資パフォーマンスが高かったのはフィリップモリスですが、その高リターンの理由はフィリップモリスの株価が長期的に低迷したからでした。

株価の長期低迷にも関わらずフィリップモリスの将来を信じて配当を再投資し続けた投資家が、最後に大きな成功を収めたのです。

投資初期は株価が低迷して高い配当利回りが維持されることが、配当再投資戦略で最も成功するパターンです。

これは言うは易し、行うは難しです。

想像してくださいよ。
自分が信じて投資した銘柄の株価が全く上がらないのですよ、NYダウは最高値をグングン更新している時に。
そんな状況耐えることができますか?

自分だけ置いてきぼりです。

ましてや、あなたが投資資産をブログで公開していると想像して下さい、私のように。
耐えることができますか?

きっとブログ読者はこう思いますよ。
「このブロガー残念な奴だなー、シーゲル流投資とかドヤ顔で言っておいて市場平均すら越えられないじゃん、馬鹿じゃないの!!、普通にインデックスファンド買っておけばいいのに。」ってね。

長期投資志向のあなたも、日々の株価変動や為替変動に一喜一憂しませんか!?
それは普通だと思います。自分の大切なお金なんですから。

短期的に市場平均を下回る(特に株価ベースでは)ことに我慢できそうにない人には、シーゲル教授の配当再投資戦略はお勧めできません。

③時間がなくなる

インデックス投資も色々種類がありますが、基本的には一度決めたらあまり迷うことなくその商品を買い続ければいいんですよね。

たわらシリーズのインデックスファンドを買うとか、バンガードのVTを買うとか、S&P500ETFの”1557″を買うとか。

配当再投資戦略でも、高配当ETFのHDVやVYMのみ買い続けるとか、自分が決めた高配当な個別銘柄のみ買い続けるとか、投資方法を貫徹できる人はいいかもしれません。

でもね、多くの人は「あの銘柄は最近配当利回りが高くなっていいな!」とか「あのETFはより配当利回りが高くてよさそうだな」とか色々考えてしまうものです。

そうやって投資についてあれやこれや考えることが悪いことではありません。

私は考えるの好きですから。

でも、多くの人は投資にそんなに時間を取られたくないはずです。

株式投資に充てる時間をなるべく少なくしたいと思っている普通の投資家に、シーゲル教授の配当再投資戦略はお勧めできません。

  S&P500で十分

人生のQOLまで考慮すれば、必ずしもシーゲル教授の言う配当再投資戦略が絶対に正しい方法とは言えません。

投資金額やリスク許容度など、投資をする前提は十人十色です。

あなたが、自分自身に合った投資法を見つけることが必要なんだと思います。

株式投資が趣味でも何でもない普通のサラリーマンにとっては、S&P500ETFをコツコツ買い増していく投資法が最も合理的だと私は思っています。

シーゲル教授の配当再投資戦略が本当に有効なのか気になる人は、私のブログを見るだけで十分かもしれません。