みなさん、1週間の中で好きな曜日はあります?
サラリーマンの方は、やっぱり土日が楽しみという方が多いでしょうか。
私も土日は楽しみです。
でも、一番待ち遠しい日は火曜日です。
なぜかってそれはバロンズ。バロンズの記事が更新されるのが毎週火曜日です。
バロンズはアメリカの投資家のバイブルとも言える週刊金融専門誌です。毎週火曜日のお昼休みは誰に誘われても絶対に外食には行かず、デスクでパンかじりながらWSJのサイトでバロンズ読んでます。
(ちなみに、WSJ有料購読しなくても主要ネット証券で口座開設していれば誰でも読めます。)
バロンズの記事題名に「高配当」や「生活必需品セクター」とかあると、キタ――(゚∀゚)――!!って一人興奮しています(笑)。
さて、先週のバロンズ記事に『価格が妥当な高配当銘柄を探せ』という記事が掲載されました。こんな記事見つけたら無我夢中で読んでしまいます。
年初から債券利回りが低下する中、債券の代替として高配当銘柄は買われており公益事業セクターを初めバリュエーションは高めだと言われ続けています。そんな中、厳選して割安な高配当銘柄を探すことは大切なのかもしれません。
『価格が妥当な高配当銘柄を探せ』は割安な銘柄の探し方を紹介して、具体的な銘柄も教えてくれている記事でした。
素人若輩の私が権威あるバロンズに意見申すのは大変恐縮なのですが、ちょっとこの記事の内容には賛同することができませんでした。
なぜか?
バロンズ推奨の割安高配当銘柄
PEGYレシオでスクリーニング
割安な高配当銘柄をどのようにして探すのか?
ルーソルド・グループのオプサル氏という方は、その方法として「PEGYレシオ」なる指標を考案しています。
株価収益率PERを予想EPS成長率で割った指標をPEGレシオと言いますが、それに関連した造語です。
PEGYレシオとは、PERを予想EPS成長率と配当利回りの合計で割った数字とのことです。
PEGYレシオ = PER / (EPS成長率 + 配当利回り)
例えばコカ・コーラ(KO)でこの指標を計算してみましょう。
PER:25倍
EPS成長率:4.5%(過去10年平均を便宜上使用)
配当利回り:3.2%
KOのPEGYレシオ=25 / (4.5+3.2)=3.2
コカ・コーラのPEGYレシオを計算したところ、3.2となりました。
PEGレシオは一般的には1未満であれば割安と言われるので、PEGYレシオも1未満でないと割安はと言えないのかもしれません。1~2で標準です。
コカ・コーラのPEGYレシオは3.2だから割高になるのでしょうか?
私は違うと思っています。
バロンズ推奨銘柄
このPEGYレシオを参考にしてバロンズが割安と言っている推奨銘柄は以下です。
ティッカー | 銘柄名 | PEGYレシオ | 配当利回り |
BA | ボーイング | 0.81 | 3.40% |
TRV | トラベラーズ・カンパニーズ | 1.08 | 2.40% |
ANTM | アンセム | 1.18 | 2.10% |
LOW | ロウズ・カンパニーズ | 1.19 | 2.00% |
COF | キャピタル・ワン・フィナンシャル | 1.2 | 2.30% |
AXP | アメリカン・エキスプレス | 1.21 | 1.80% |
CVS | CVSヘルス | 1.22 | 1.90% |
KR | クローガー | 1.42 | 1.60% |
UNH | ユナイテッドヘルス・グループ | 1.43 | 1.90% |
HD | ホーム・デポ | 1.44 | 2.20% |
DIS | ウォルト・ディズニー | 1.45 | 1.50% |
PSX | フィリップス66 | 1.48 | 3.30% |
僕がバロンズに反対する点2つ
PEGYレシオが考慮できていない信用力
PEGレシオもPEGYレシオも割安判断の参考として使う指標として有効だとは思います。
そもそも、この指標はPERが適切に将来の利益成長や配当利回りを織り込んでいるのかを調査するための指標だと考えています。
PERが50倍とか高くても、将来の利益が高成長だったら高いPERも妥当と言えるよねという発想です。
でも、PERは将来の利益成長だけでなく、将来の利益予見可能性も織り込んでいるはずです。
将来はいつも不確実です。すべての投資家はいつ暴落が訪れるのではないか、ウェルズ・ファーゴのような優良企業の不祥事が発生するのではないかと将来を不安に思います。
そのような将来のキャッシュへの不確実性、投資家のリスク認識は株価に織り込まれているはずです。
つまり、例え将来の利益が低成長であったとしても、利益率が高水準でかつ将来の利益がほぼ確実だと思われている銘柄というのはEPS成長率の割に相対的にPERは高めになるはずです。
コカ・コーラのPEGYレシオは3.2と一見高めですが、コカ・コーラは米国企業の中でも飛びぬけて高収益で、また10年後も20年後もコカ・コーラのブランド力、高収益体質が継続している可能性は高いので、コカ・コーラの将来キャッシュの予見可能性は高いです。
だからたとえコカ・コーラのPEGYレシオが市場平均より高くても、それを以ってコカ・コーラは割高とは言えないと思います。
僕は言いたい、PEGYレシオでもまだ足りない、そこには将来キャッシュへの信用力の差が考慮できていないと。
将来キャッシュへの信用力なんて数値化てきないから仕方ないかもしれません。
ただPEGレシオやPEGYレシオには欠点もあることを理解したうえで、これらの指標を使用すべきです。
この指標のみで銘柄をスクリーニングするのは危険だと思います。
あくまでも参考値として使用すべきです。
先ずは永続した収益力があるかが大切
バリュエーションは確かに大切です。割安で買えば長期投資リターンが上がることは間違いないです。
でも、長期投資で大切なことは割安割高の前に、その企業が今後30年以上も高収益体質であり続けることができて、株主利益に貢献し続けることができるか否かです。
高配当銘柄に限定している時点で、短期投資ではなく長期投資が前提になるはずです。
別に短期投資が悪とかでは全くなく、割安銘柄を探して短期で売り抜ける投資は立派な投資戦略です。でも、短期投資がしたいなら別に高配当に限定する必要全くないし、むしろ高配当銘柄は成熟企業が多くボラティリティも相対的に低いので短期投資には不向きです。
高配当銘柄に限定=長期投資が前提、なのに割安割高を最初に議論する点に違和感を感じます。
長期投資であれば、その企業が長期でキャッシュを稼ぐことができるのか、長期で株主利益に報いてきた実績が過去にあるのかをまず見るべきです。
バロンズが推奨銘柄トップにボーイング(BA)を挙げていますが、これを見て即決でボーイングに投資するのは危険だと思います。(そんな人いないと思いますが。)
先ずはボーイングが長期投資にふさわしい黄金銘柄なのかを判断することが、割安割高を考える前に考えるべきことです。
バロンズおすすめです
生意気にもバロンズの記事を批判しましたが、バロンズの記事はとても勉強になります。
米国株に投資している方はすでにお読みの方も多いとは思いますが、読んでいない方は是非読んでみることをお勧めします!
最初に言いましたが、WSJを有料購読しなくてもネット証券(口座開設は必要)のサイトで読むことができます。
「私も土日は楽しみです。
でも、一番待ち遠しい日は火曜日です。
なぜかってそれはバロンズ。バロンズの記事が更新されるのが毎週火曜日です。
バロンズはアメリカの投資家のバイブルとも言える週刊金融専門誌です。毎週火曜日のお昼休みは誰に誘われても絶対に外食には行かず、デスクでパンかじりながらWSJのサイトでバロンズ読んでます。」
Hiroさんは、良い意味で株式投資の中毒ですね。
ここまでのめり込んだなら、インデックスETFの投資中心から自力で個別株を発掘する投資へシフトすることをお勧めいたします。
多少の失敗はあるかもしれないが、それが良い勉強になりますよ。勿論、授業料と思える程度の損失に抑えておくのがポイントですけどね。(これが難しい。)
出すぎた下名の発言をお許しください。
ところで、バロンズは投資アイデアのヒントを捕まえるには、最高ですね。
勿論、最後は10Kの裏付け確認と自分の決断力が必要ですけどね。
手前味噌になりますが、下名がmsftを拾った(買い増しした)キッカケもバロンズ記事でした。おかげさまで、大金を拾いました。そして今も保有中。
———-以下’13年の記事
Q:マイクロソフト(MSFT)はどうか。
A:PER上昇の初期段階にあると思われるグループの一角だ。1990年代にさかのぼると、マイクロソフト、シスコシステムズ(CSCO)、ファイザー(PTE)、インテル(INTC)などはPERが50~70倍だった。マイクロソフトは60倍付近だったが、現在は約12倍だ。現金を除くと10倍未満だ。配当性向は35%足らずで、向こう10年間に大幅に増配できる。現在32ドルの株価は40ドル台半ば、またはそれ以上に上昇する余地がある。物言う株主であるバリューアクト・キャピタルの存在によって、最高経営責任者(CEO)のスティーブ・バルマー氏の行動が注目される。同社は研究開発費など大幅なコスト削減の余地がある。株式は10年間休眠状態だが、企業の価値は現行の株価よりはるかに高い。
——————以下’12年の記事
Q:フリーキャッシュフローの状況はどうか、それを投資にどう利用できるのか?
A:企業は現在、政府や消費者よりもはるかに良い状況にある。企業は歴史上最も深刻な2度の不況にもかかわらず、良好な利益とキャッシュフローを生み出し、現金はバランスシートに大きく積み上がっている。例えば、年末時点で予想されるネットでの余剰キャッシュを見てみると、マイクロソフト(MSFT)では時価総額の18%、ファイザー(PFE)では26%、シスコシステムズ(CSCO)ではほぼ40%、エクソンモービル(XOM)は10%、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J、ティッカーはJNJ)は約17%に達しており、極めて高水準だ。2005年から2010年までの期間において、マイクロソフトは現在の時価総額の41%に相当する自社株買い戻しを行っている。エクソンモービルでは40%、シスコシステムズは53%、ヒューレット・パッカード(HP、ティッカーはHPQ)は97%だ。株数でもHPは22%、ロッキード・マーチン(LMT)は20%、小売りチェーン大手のターゲット(TGT)でも20%、エクソンでは18%、マイクロソフトは16%減少している。
これらの企業の大半は、依然としてバランスシート上にネットキャッシュを有しており、膨大なキャッシュフローを生み出している。製薬業界を見ると、サノフィ(SNY)、メルク(MRK)、ファイザーが今後5年間で生み出すフリーキャッシュフローは企業価値の85~95%に達する。企業が過去10年間と同様に今後10年間も増配すれば、エクソンモービルの配当利回りは6~8%、J&Jは12%、キンバリークラーク(KMB)は10%、コカ・コーラ(KO)では7%になる。10年物国債の2%の利回りに対して、われわれの上位20の保有銘柄の配当利回りは3.6%だ。これらの銘柄が過去と同じペースで今後10年間増配すれば、国債と同じリターンになるには株価は40%下落する必要がある。
■ 推奨銘柄
Q:これらの株のバスケットを買い持ちすることを推奨するのか?
A:一部の最大級の優良銘柄は割安だ。米国でトリプルA格付けの企業はエクソンモービル、J&J、マイクロソフト、給与計算代行サービスのオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)の4社しかない。これに20年間増配している企業を組み合わせて買う。実際、企業価値でみれば株価は80年代初頭と同等に割安だ。われわれは極めて安心して市場で「リスクを取って」いる。
————-
こんにちは。
はい、毎週火曜日は楽しみにしています。
お昼は会社の外に食べにいくことも多いのですが(それくらいしか楽しみがないw)、火曜日は必ずデスクで食事しています。
お昼休みの一時間でバロンズの記事を読み込むためには、外に食べに行って戻ってから読むのじゃ時間が足りませんから。
バロンズはとても勉強になります。たまに難しすぎてパスすることもありますが。
バロンズが割安と宣言した銘柄は、実際にその後上昇するケースが多くていつも驚かされます。
かつてAT&Tの株価が明らかに割安だとバロンズは言っていました。
「AT&Tの株価は将来の利益成長がゼロでないと正当化出来ない株価水準だ。いくら成熟企業のAT&Tでもそれはないだろう」という理屈でした。
その後、AT&Tの株価はスルスルと上昇していきました。
最近だとブリストルマイヤーズスクイズの株価が割安だと主張していて、実際に上昇しました。
IBMも割安だと言っていたので、IBM投資家の自分としては2018年のパフォーマンスに期待しています。
まあ、あまり株価を気にし過ぎても仕方ないと思ってはおりますが。
マイクロソフトは2000年~2010年の10年間はパフォーマンスが冴えなかったので、2012年頃はきっと投資家も不安感を持っていたのだと推測します。
そんな中マイクロソフトに注目できるのはさすがバロンズですね。
誰もが見れる公開ニュースの情報で短期的な利益を得ることは難しいですが、長期では話は別ですかね。
バロンズの情報は大変参考になります。
ところで、2012年の記事引用のところにありますが、1990年代はファイザーのPERまで60倍近くもあったのですね。
驚きました。
当時はハイテク以外のバリュエーションは普通だと聞いたことがありますもので。
最近米国株は割高だと言われることが多いですが、PERで見るとそうでもないな~と思っています。
最近のバロンズにあったのですが、過去20年の平均PERは19.3倍だそうです。
今のS&P500の予想PERと同じくらいです。
業種に依りますがPERが40倍とか60倍にまでなればさすがに警戒感が必要でしょうが、今はそれほど危険水域には見えません。
それもすべて金利次第かもしれませんが。
金利というかインフレ率でしょうか。
賃金上昇の兆しが見えてきましたが、過度なインフレには繋がらないだろうと思います。
テクノロジー、AIの発展は人の労働の需要を減らすと思います。
昔のバロンズの記事ありがとうございます。
とても参考になりました。