労働収入の価値が低く感じることがある

サラリーマン投資家あるあるかなと思うのですが、会社から頂く月収や賞与、残業代と株式収入(キャピタルゲイン・ロス、配当)を比べて一喜一憂することってないですかね?

私は結構あるんですよね。

最近は米株市場はやや軟調です。オミクロン株、インフレ懸念、歳出法案への抵抗などが株価を押し下げています。

個人的にもっとも恐れているのはインフレです。もうこれ次第かなと思いますね。債券市場はあまりインフレを恐れてないようで、それだけが安心材料です。

最近の株安で冬のボーナス分くらい軽く吹っ飛んだ投資家も多いのではないでしょうか。私もその一人です。現在の運用額は4千万円弱ですが、3%も動けば100万円変動するわけで、株安と円高が重なれば1回の賞与くらい余裕で持っていかれます。

新会計システムが稼働したばかりで残業が多い日々が続いています。幸い残業代はきちんと支給されるので、それだけを励みに労働に勤しんでいます。

しかし、10時まで4時間残業しても残業代は1万ちょい。1万なんてその日の夜の株式時価変動にかき消されるほどの小さな額だなと思っちゃいます。いや、1万円は大金なはずなんですが、気持ちとしては、なんかもうそんな小金はいいからさっさと帰りたいと思うことがよくあります。

リスクが異なる収入を、表面的な名目金額で比較してはいけない

こうやって労働収入と株式収入を比べて一喜一憂することはあるのですが、自戒を込めて言いますが、両者は同じ土俵で比較できるものではないです。

というのも、リスクがまるで違うからです。

日本の給料が上がらないのは安定した雇用とのひきかえだとよく言われます。私もその通りだと思います。

安定した仕事は稼げないもんです。なぜなら、その安定を求めて多くの人が集まり、需要と供給のバランスで収入が低く抑えられるからです。

1か月所定の日数働いたら30万円稼げる。1時間残業したら3千円稼げる。これは法的な労働債権なので、ほぼ確実に回収できます。万が一会社が倒産しても労働債権の弁済順位はかなり高く、きちんと保護されています。

労働って会社に価値を生み出したからお金をもらえているわけではないです。雇用契約に則って労働力を提供して、その見返りとして労働債権が発生し、毎月給料としてその債権を回収しているだけ。その繰り返しです。

だから、労働のクオリティがどうであれ、出社さえしてれば給料がもらえます。賞与の評価は差が付きますが、日系企業であれば2倍3倍と差がつくことはありません。

1ヶ月働いたら100%確実に30万円もらえる。1時間残業したら100%確実に3千円もらえる。その絶対的安定は非常に価値あるものです。

一方で、当然ですが株式収入に安定もクソもありませんよね。ボロ株を掴んで株価が半値以下になるくらい日常茶飯事。優良成長企業の株でも、インフレ金利上昇懸念にやられて暴落します。

株で稼ぐ100万円と労働で稼ぐ100万円を同列に扱うことはできません。

運用額が4桁になってくるあたりから、労働が段々と馬鹿らしく思えてくることもあります。特に上昇相場の時はそうです。

でも、労働の経済的価値を軽んじない方がいいと思います。労働債権ほどリターンが確実な金融商品はほかにありません。その安全性たるや国債をも凌ぎます。

金融資産1億円程度ではとてもリタイヤする気にはなれない

人生観は様々。FIREという単語も一般的になりました。

が、本当に労働債権を手放していいかどうかはよーく考えた方がいいかなと思います。ま、別に一度会社を辞めても、働きたくなったらまた復帰すればいいだけかもしれませんけどね。

個人的な感覚で恐縮ですが、運用資産1億円程度ではとてもリタイヤしようとは思えないです。1億円に利回り7%かけても700万円です。

ローリスクの給与収入で700万円なら価値は高いですが、相対的にハイリスクな株式収入で700万円ではちょっと心もとないですかね。

収入は名目額を見るだけではその本当の経済的価値を測れないところがあります。リスクで割り引かないと。収入額が同じでも、リスクが低いならそれはより価値が高いと言えます。

給与収入700万円に相当する株式収入はいくらか?

リスクは目に見えないし個人の主観にも依存するので絶対の答えはありませんが、個人的な感覚としては3倍は見ておきたいです。

株式収入が年2100万円くらいあれば、それは給与収入700万円に匹敵する価値はあるかなあと。運用額で言えば3億円~です。繰り返しですが、なんの根拠もない私の勝手な感覚です。