2021年、米株価は何回最高値を更新しているのでしょうか。100回以上ではないでしょうか。5%程度の調整はあっても、結局はグングン株価は上がっていきますね。ダウ、S&P500、ナスダックいずれも。

ただ、アメリカ人投資家の購買力はそれほど向上していないかもしれません。というのも、インフレが起きているからです。アメリカの10月の消費者物価指数は前年同月比+6.2%でした。エネルギー、食品を除くコア指数でも+4.6%。

ここまで上がると、実生活でも値上がりを実感できるでしょう、きっと。「あ~、この商品1年前はもっと安かったよなー」と気付くレベルだと思います。アメリカで生活してないので実際のところはわかりませんが。

今のところはインフレ率以上に資産価格が上がっているので、投資家の購買力が低下しているわけではありません。が、派手な株価上昇ほど購買力は高まっていないのは事実です。ましてや非資本家クラスはしんどくなるばかりです。時給も上がっているとは言え。

翻って日本はどうでしょうか。日本でも個別商品の価格上昇のニュースを見聞きすることはありますが、実生活の中で大きなインフレを感じることは私はありません。

あ、マンション探しでは感じましたけどね。「2年前はこのマンション今より1000万円も安かったのかー」とか。

普段の買い物で物価上昇を感じることはあまりないです。お菓子の容量が少しづつ減っているなどのサイレント値上げが多いから気付かないだけでしょうか。少なくとも、米国ほどのインフレが起きていないことは間違いないですよね。

私たち日本人投資家が保有する米国株も当然値上がりしているわけですが、国内物価が横ばいのため購買力の向上という点では日本人投資家は米国人投資家よりも優遇されています。米株価が上昇した分、そのまま購買力が高まっている感じです。

さらに為替まで円安に振れましたから、日本人米株投資家はウハウハではないでしょうか。

しかし、そんな美味い話が本当にあるのだろうかと疑いの目を持ってます。

短期的にドル高円安が進むのはわかります。アメリカは利上げを検討するフェーズに入りつつありますから、金利上昇を見込んでドルが買われるのは教科書通りと言えます。

しかし、これほど日米のインフレ率に差があるなら、やはり中期的には円高方向に動くリスクを無視するわけにはいきません。米株高と円安で潤っている私たちですが、不意な円高進行でしっぺ返しを食らう時が訪れるのではと心配しちゃいます。

JPモルガンの佐々木氏は、実質実効為替レートで見れば、今は歴史上もっとも円が過小評価されていると先日ロイターに寄稿されていました。

その記事がロイターに掲載された後、ドル円は114円台から112円台に下がりましたが、11月13日現在は114円付近まで円安が進んでいます。

米株高と円安というダブルエンジンが吹き続けるなんてことは今だけ、そう思っています。

同じ米国株に投資している以上、長期的にはその投資がもたらす追加購買力は日本人もアメリカ人も同じはずではないでしょうか。日本でも米国並みのインフレが起きるか、あるいは円高ドル安が進むか、どちらかが起きないと説明が付かないような気がしてなりません。

それとも、低インフレの「安い国」日本から成長国アメリカに投資している私たちは特別なチート環境にいるのでしょうか。それであればいいな。

でもそんな甘い話は投資の世界ではあり得ないはず、くらいに思っておいた方が丁度いいか。