バフェットがアップル株を爆買いしています。
2016年末で5700万株だった保有株は、現在は1億3300万株にまで増加しています。
保有時価総額は180億ドル(約2兆円)でこれはアップルの発行済み株式数の2.5%に相当します。

アップルは世界で一番時価総額が大きい企業です(サウジアラムコを除く)。現在の時価総額は約80兆円あります。
80兆円って敢えて数字で書くと、80,000,000,000,000円です。
そんな超巨大企業の2.5%もの持分をバークシャーが持っているわけです。

バフェットはITバブルの時、ハイテク銘柄に一切投資をせず上昇相場に乗れませんでした。
周りからは「もう年だし、バフェットも終わったな」って馬鹿にされていました。

バフェットの言葉。

ハイテク企業やベンチャー企業は高い成長を達成するでしょう。
でも、私としては非常に良い結果をもたらす不確かなものよりも、ほどほど良い結果をもたらす確かなものを選びます。

ご存知の通り、バフェットの判断は正しかったです。
ITバブルはガタガタと音を立てて崩れ落ち、ハイテクセクター企業の株価は急落しました。テクノロジーセクターETFであるXLKはITバブル崩壊から20年弱が経ち、さらにトランプ相場で盛り上がる現在でもITバブル時の最高値に届いてません。

バフェットは言っています「潮が引いたとき、はじめて誰が裸で泳いでいたかわかる」と。

ITバブルという潮が引いた時、しっかり海パンはいてシュノーケル付けて泳げていたのはマイクロソフトやグーグル、アップル、シスコシステムズなどごく一部の企業の株主だけでした。

バフェットは当時、まだ潮が満ちていたときのIT業界という大海をカモメのようにじっくり見ていたんじゃないかなと思います。
じ~と観察していたのでは。

でも結局わからなかった。
長期で保有するに足るビジネスを持っている「素晴らしい企業」がどの企業かわからなかった。
なんとな~くわかったかもしれないけど、いまいち確信が持てなかったのかもしれない。
だから買わなかった。

当時のテクノロジー企業の中から優良企業を見つけ出すことは、すぐ横に30センチのハードルがあるにも拘わらず、敢えて目の前の2メートルのハードルを飛び越えるようなものだったということです。投資で成功するために飛び越えるべきハードルは30センチで十分だとバフェットは言っています。

バフェットは売買タイミングよりも、長期的な競争力のあるクオリティ株を投資対象にすることを重視しています。バフェットはアップル株をクラフト・ハインツ株などと同じレベルのクオリティ株だと判断したようです。もちろんタイミングとしても割安と判断しているから、アップル株をこんなに買い進んでいるのでしょうけど。

アップル株はバフェットにとって2つ目のハイテク銘柄です。
最初は2011年に投資したIBMでした。

IBMはシーゲル教授の書籍では、20世紀後半に高成長だったけどその割に株主リターンが低かった銘柄として紹介されています。成長期待が高い銘柄は株価が割高に留まりがちで配当再投資の効率が悪いというのが理由。

シーゲル教授はこう言っています。

投資家がIBM株に支払った価格は、一言で言うと、高すぎた。

しかし、今は状況が異なるのでしょう。

バフェットが買った後にそれに追随して称賛するのは都合がいいかもしれませんが、やはりIBMは長期で高いリターンが期待できる銘柄なのだと思います。それはIBMのキャッシュフロー計算書や、株主還元の姿勢を見ていても強く感じます。

ハイテク・テクノロジー業界は、もはや先進的なビジネスではなくなりつつあるということでしょう。

ITやシステムが世の中を動かすことは当たり前です。上場企業の連結財務諸表なんてSAPやオラクルのシステムが半自動で作り上げてくれます。

ソフトバンクの孫さんによれば、 IQが1万近くある超スマートロボットの数が30年以内に数十億になり、世界の人口を上回るとのこと。あなたが定年を迎えることには、そこら辺に当たり前のようにロボットが歩いているかもしれません。

ITが日常生活の中で当たり前の存在になっているとは言え、ハイテク銘柄が相対的に設備投資を必要とする事業である点は変わらないと思うので、投資家としては慎重に対峙すべきだと思います。

バフェットはそんなハイテクセクターのアップル株を大量に買ったわけですが、それについてこんなコメントを残しています(WSJより)。

「人々が驚くほど忠実だ」

「iPhoneの継続性がすさまじく、iPhoneが人々の生活に入り込んでいる度合いもそうだ」。

これはバフェット先生の深~いご発言だなと思いました。

iPhoneの継続性がすさまじく、、とは。

忠実+継続性ってワイドモートを一言で表すいい言葉だなと思いました。

忠実と継続性はセットがいいですね。セットになると本当の威力を発揮するのか。

忠実な顧客によって継続して収益を上げれる状態とは、たいていその事業継続に大きな設備投資は不要になります。だって顧客が忠実だから、製品コンセプトを買えてしまうほど投資し過ぎるのはむしろダメですよね。いい意味で現状維持が大切です。

最低限のマイナーチェンジ投資だけで済むということです。
それでも買う人がたくさんいるんです。

なぜなら、人々が驚くほど忠実だからです。
忠実に買ってくれる。
ロイヤルカスタマー。

もうiPhoneは絶対的なブランドを確保したITガジェットになっているということです。
人々の生活に入り込んでいるとは、、もはや生活必需品だということでしょうかね。

この報道を読んで私は思いました。
「ああiPhoneのコカ・コーラ化だな~」、「iPhoneは21世紀のコカ・コーラなのか~」って。

絶対的なロイヤルカスタマーを抱えた商品を持っている。
しかもその商品はブランド力で販売しているので、粗利率がべらぼうに高い。

iPhoneのコカ・コーラ化が進んで、iPhoneの毎年の新製品がパッとしない従来品と大きく変わらないものになればなるほどアップルの株価は適正水準で維持されると思います。ハイテク銘柄だからって割高になる可能性は低いと思います。

バフェットが買ったら推奨するってのはバフェット・バイアスに掛かっていると言われるかもしれませんが、歴史的な投資成績を収めているバフェットの行動を真摯に真似る(学ぶ)姿勢も大事かなと思います。

アップル株は超有望だと思います。

世の中にあるどんな奇抜に見えるアイデアも情報も、真にオリジナルなものなんて存在しません。グーグルがここまで情報を整理してしまった現代ネット社会、情報氾濫社会。ウェブ上にない情報はほぼないでしょう。

自分流のオリジナリティ溢れる投資法なんて考える必要ないんじゃないですかね。

バフェットを真似る投資法は決して恥ずかしいものではないと思います。

思いっきりパクっていいと思います。