iPhoneなどのアップル製品が20%ほど値上げになりましたね。円安を反映したもので、やむを得ないものと感じます。アップル株主としてはむしろ安心したくらいです。

一方で、同じ米国大資本の商品であるビックマックは価格据え置きです。

ビックマック指数とは購買力で為替レートを測る有名な指標ですが、そのビックマックの価格はこれほどの円安を受けても変更なしです。米国ではなく日本マクドナルドに決定権があるとは言え、少しは値上げしてもいいのではという感じもします。

しかし、スマホとハンバーガーには大きな違いがあります。スマホの方が為替を反映して値上げをしやすい理由があります。

それは裁定取引の容易さ、合理性という観点からです。

iPhoneは比較的高額なわりに、軽くて丈夫で輸送しやすいです。なので、日本で売られているiPhoneがあまりに安価だと、日本で大量のiPhoneを仕入れて、それを米国等に輸送し高値で転売するという行為に経済性が生まれやすいです。

裁定取引が成立しやすいのに価格を据え置くということは、みすみす収益機会を逃していることを意味します。

また、高級スマホメーカーとしてのブランドを確立しているアップル製品が、非公式な転売市場に大量に流通するのはアップルとしては好ましいことではありません。

もちろんドルベースの収益を維持するために円建ての価格を上げるだけの価格交渉力がある、それだけアップル製品の人気が高い、というのが値上げできる一番の理由ではあります。

が、iPhoneは製品の特性として裁定取引の対象になりやすいという点が、強気な値上げ判断を後押ししたのではないかと思います。

一方で、ビッグマックでそれをやるのは不可能です。軽くて輸送しやすいのはiPhoneと同じですが、そんなことしてる間に腐っちゃいます。

仮に腐らないように何らかの対処を施したとしても、単価が安いので大量に取引したとて経済合理性が生まれづらいです。転売ヤーの関心は引かないでしょう。

日本に旅行にきてビッグマックを食べるのも一案ですが、100個食べたところで片道の旅費すら回収できません。

そんなわけで、iPhoneは今後も為替を反映して迅速に価格が変わる可能性が高いと思います。ビッグマック指数ならぬiPhone指数で購買力平価を測るのがいいのかもしれません。