資本主義はなぜ成功したのか

米国では上位1%の富裕層が持つ金融資産が中間層のそれを上回ったそうです。凄まじい経済格差をもたらす資本主義という仕組みは、100%完璧とは言えないけどベターな制度です。少なくとも社会主義よりは上手く回っています。資本主義でなければ便利なスマホも生まれてないはずです。

資本主義とは他者利益に貢献することが自己の利益を増やすという考えを前提とします。ビジネスを通じて経済全体のパイが増大します。プラスサムの世界ですね。

金持ちになって豊かになりたい。良い家に住みたい、高級な車に乗りたい、美女にモテたい、世間から注目を浴びたい。そういった欲望が資本主義の原動力になったことは間違いありません。幼い頃コンプレックスを抱えていた人ほど、ビジネスで成功するという話も聞いたことがあります。見返してやる!という気持ちでしょうか。

資本主義では自己の欲望を追求することは社会にとって良いことです。なぜなら、他者利益あっての自己利益だからです。社会の役に立たないと、お金は稼げない仕組みです。

お金という動機は分かりすいし、汚いことでも何でもありません。ただ、特にある程度経済的に成功を収めた人は、もはやお金のためだけに動いているわけではないです。社会をもっと良くしたい、困っている人の手助けをしたいという動機の方が強い人もいます。

人間そういう気持ちって誰しもあると思います。社会の役に立ちたい、人の悩みを解決したい。そうやって他人に喜んでもらうことで自分の存在価値を認識し、自己肯定感を持って充実ある人生を送りたいというのは自然な発想だと思います。というか、そういうビジョンが先行しないとお金も付いてこないはずですし。

ニンジンをぶら下げたことだけが資本主義が成功した理由ではないと思います。困っている人がいたら助けたい、世の中をより良くしたいという社会的動物としての人間の本能に即した制度だから上手くいったんじゃないでしょうか。

話題に尽きないソフトバンク

ソフトバンクがビジネスニュースの話題を独占してますね、最近。良くも悪くも。

悪いニュースとしてはウィーワークの件です。すでに50億ドル近い投資の減損を計上しています。投資額は90億ドルで、さらに追加の救済資金95億ドル投入してるので、損失はさらに膨らむ可能性もあります。ビジョンファンドの巨額な資金が非効率なビジネスに注がれたのは紛れもない事実。ウィーワークだけでなく他にもあります。孫さんの圧力がある中、1000億ドル規模のファンドのガバナンスを効かせるのは相当に難しいことだと思います。

良いニュースとしては、ソフトバンクグループのヤフーとLINEの統合です。メッセージアプリ国内圧倒的No.1のLINE、圧倒的なマーケティング予算で電子決済市場を支配したPayPayを抱えるヤフー(PayPay株式会社はソフトバンクとヤフーの合弁)。そして何よりソフトバンクは通信キャリアを持っています。この2社が統合したら、どんなサービスが生まれるんでしょうか。楽しみです。

最近、iPhone11を購入しまして、その際にUQモバイルを解約してソフトバンクのキャリアに変更しました。通信費は諸々込みで8~9千円もします。高いですよね。通信費という固定費はなるべく抑えるのが、サラリーマン投資家のあるべき姿かもしれませんが、今回は奮発しました。

きっかけがありまして。ホリエモンが「スマホくらい高くても最新の端末を買え。今の時代、情報こそが命。情報を取得するのに小銭を惜しむな。」的なことを書籍で言っておりまして、確かにそうだよな~と妙に納得し、契約を変更しました(すぐに人に影響される性格です)。1ヵ月50ギガ使えるので、Wi-Fiがない環境でもニュース、動画、音楽、好き放題使ってます。

大手通信キャリアはソフトバンク以外にもau、ドコモが選択肢としてありますが、何となくソフトバンクにしました。コスト比較はしてません。何となくソフトバンクの方が、面白いサービスを考えそうだし、ソフトバンクのキャリアを使っていたら何かと恩恵があるかなと思い。そしたら、今回のヤフー&LINE統合のニュースで仰天しました。

ところで、ヤフーとLINEの統合についてはNewsPicksの解説記事がめちゃくちゃ分かりやすいです。ビジュアル豊富で。作ってる人尊敬します。私はNewsPicksの回し者ではありませんが、月1500円の価値はありますよ。プレミアム会員登録してみて良かったです。

熱血経営者は株主利益よりも社会の利益を優先しているように見える

で、話を戻すと、ソフトバンクは買収などのニュースが途切れることなくありますよね。ゾゾも買収しましたし。消費者、ユーザーとしてはソフトバンクを応援しているし、今後の動向に注目していきたいです。ただ、投資家としてソフトバンクにアプローチしたいとはあまり思いません。

孫さんの今の野望はAIで社会を変革することだと思います。だから、ウーバーやリフト、滴滴出行(ディディチューシン)、犬の散歩代行アプリのワグなどソフトウェア会社に大量の資本を投下しています。

孫さんは自分がこれ以上お金持ちになりたいなんて気持ちはさらさらないと思います。もちろん、ビジネスが成功した結果としてのお金を稼ぐ必要性は強く感じているでしょうが、自分の経済的成功そのものは二の次でしょう。それよりも、いかに社会を変えるかという一点のみを見つめている気がします。

社会を変えて、顧客の体験価値を高めることができれば、結果として会社も儲かります。経営者である孫さんも儲かります。社会、顧客の利益を追求することと、会社の利益(株主利益)は別に相反するわけではありません。

しかし、株主利益の犠牲の上で社会が豊かになることがあるのもまた事実です。現在海中に張り巡らされたケーブルネットワークは、ハイテクバブルで大量の資本が集まったからこそできたものです。その時の投資家のリターンは散々でしたが、当時の投資損失があったからこそ、今のインターネット社会があるとも言えます。誰かの損失は誰かの利得というわけです。

イノベーションは株主から消費者への所得移転を引き起こしがちです。なぜなら、イノベーションにかけたコストを、そのまま顧客には転嫁できないからです。競争が激しくなって値下げが起こるし、そもそも庶民はそんなにお金を持ってないから高額だと買えません。

ソフトバンクグループの財務データをしっかり見たことはありません。定量的な情報を見ずに投資判断は下せません。ただ、雰囲気レベルでソフトバンクへの長期投資はちょっとリスキーだと感じます。ただの直感ですけどね。孫さんは株主利益よりも社会の利益を優先させる人に見えます(両者は必ずしも相反するわけではないが)。

そんなわけで、ソフトバンク株には投資しません。が、消費者としてはすごく応援しています。孫さんの決算プレゼンは凄いですよね。熱意を感じます。携帯キャリアはこれからもソフトバンクを使います。多少高くてもソフトバンクがいいや。応援している企業のサービスを使いたいです。