日米の政策の違いが、円高ドル安をもたらす

今日は為替の話をしようと思います。

10月から消費税が8%から10%に引き上げられましたね。今はキャッシュレス還元が行われているから、増税前よりむしろ安く買い物できるケースもあるみたいです。しかし、還元は来年2020年6月までです。財源が尽きてもっと早く終了する可能性もあるかも。

これから徐々に増税による消費減退が統計データに表れてくるかもしれません。私個人としては8%でも10%でも別に消費行動は変わりませんが、マクロで見れば消費増税が消費に悪影響なのは間違いないでしょう。

消費税は逆進性が強く、低所得者ほど負担が相対的に重くなります。低金利、低インフレの日本で庶民をいじめる消費増税がなぜ必要なのか理解に苦しみます。私は消費増税には反対です。が、決まったことはしゃーない。税制は資本主義というゲームのルールの一つとして受け入れます。今のルールのもと、どう行動するのが自分にメリットがあるのか考えます。

で、今日は消費増税に絡めて為替の話。

消費増税は円高要因です。増税のせいで、みんな消費を減らしてお金を貯め込もうとします。その結果、需要が縮小します。それでも企業は商品を売らなくてはいけませんから価格を下げます。デフレですね。このタイミングで消費増税を決断するような日本でインフレが進む可能性は低いです。 物価の下落とはつまり通貨価値の上昇(円高)です。

為替は相対的なものなので、ドル円のレートを予想する時は、円だけではなくドルの動向も把握する必要があります。米国は保護主義に傾ています。ラストベルトなどに住む困窮化した白人層の支持を得たトランプ大統領の方針です。経済政策やイデオロギーの善悪を語る資格は私にはありません。保護主義、ポピュリズムの良い悪いを語るつもりはないです。この記事では為替の話をしたいだけ。

米国の保護主義的政策はドル安要因です。なぜなら、関税などで米国企業の生産性が低下するからです。企業のコストが上がれば物価は上がります。良い物価上昇とは言えないけど、とにかく結果として物価を上昇させる政策です。米国の物価上昇は米ドルの価値下落、つまりドル安を意味します。FRBは昨年から一転利下げに傾いており、金融政策もドル安を後押ししています。

アメリカの政策が今後どう変わるかはわかりませんが、日本の政策は大きくは変わらない気がします。日本に住んでいると何となくわかりますよね。社会保険料、税金は上がる気配しかしない。手取り収入が増える気は全くしない。これは私だけが思っていることではないはずです。サラリーマンみんなそう思ってるでしょ。この停滞した元気のない感じが一番の円高要因です。精神論を語っているわけではなく、需要が増えないから円高(=低インフレないしデフレ)ってことですね。

というわけで、中長期的には円高ドル安の未来しか私には想像できません。ドルの方向性はいまいち自信ないですが、円は相対的に高くなるばかりだと思います。ほどよく円が安くなることを願いますが、そういう政策が採用される見込みは薄いです。金融政策を除いて。

投資家としてどう対応すべきか

円高ドル安は為替差損をもたらします。
米国株投資家としてどう対応すべきか?

長期投資が前提なら気にせず投資を続けるのみです。確かに円高が進めば名目利益は小さくなります。ドルベースで株価、配当がグングン伸びても、それを円に換算する時に目減りするからです。

しかし、それは実質的には損失ではありません。なぜなら、日本の物価が安いからです。物価が安いので為替差損で目減りした後の利益でも、十分な実質リターンを確保できます。為替とは所詮は通貨と通貨の交換比率でしかなく、投資の実質リターンには中立です。

ただし長期で中立なだけで、短中期的には影響を及ぼします。短期的な為替変動リスクを回避したければ、為替ヘッジを組む必要がありますがそれもタダではありません。やはり長期投資が前提なら余計なことはせず、淡々と米国株を保有しておくのが良いのではと思います。

最初に言ったことですが、税制や法律はルールとして受け入れる他ないと思っています。政府の決定を覆すようなデモなんてやる気ありません。何とかデフレから脱出した日本ですが、インフレ率は低迷したままでしょう。金利も低いままでしょう。そういう環境でどういう行動を取るのが最良なのか、自分で考えるしかありません。

物価が上がらず通貨価値が減価しないのだから、日本円で貯金を続けるのは悪い選択肢ではありません。株を買うなら日本より海外に目を向けた方がいいと思います。国内株で選ぶなら内需に頼らないグローバル企業の方が有望でしょう。