大学2年の途中から会計士試験の勉強を始めて、4年の時に無事1発で合格できました。大手予備校の1年半コースに通ってました。学費は貧乏大学生にはしんどかったですが、監査法人の最初の給料で元は取れました。

自分で言うのも何ですが、全国トップクラスで合格した自信があります。少なくとも上位5%には入っていたと思います(開示できないから実際は知らないけど)。模擬試験でも上位常連でいつも成績優秀者に名前が載ってました。

あ、ちなみにこれはペーパーテストという「ゲーム」が得意なだけであって、決して頭が良いわけではありません。そんなに頭の回転早いほうではないので。凡人です、私。

凡人の私が経済系最難関と言われる公認会計士試験になぜ1発で上位合格(自称)できたのか。それは自分なりの勉強メソッドにあると思っています。それを紹介します。なお、あらゆるペーパーテストに応用できると思います。

メソッド① リアル講義には出席しない。DVD講義を1.5倍速~2倍速で見る。全く見ないのもあり。

私は大手予備校の福岡校に在籍していたのですが、そこにいる講師のリアル講義か東京の有名講師のDVD講義かを選択できました。迷わずDVDを選択。リアル講義なんて時間の無駄だと思ったからです。しかもDVDは評判の良い有名講師なわけだし。

リアル講義、というか講義全般に言えることですが、一通り聴いてしまうとそれだけで勉強した気になってしまうのがデメリットです。簿記や財務会計論の1つの講義で2時間ほどあったと記憶していますが、ただ授業を聞くだけで2時間も使うなんて私には耐えられません。

膨大な試験範囲を限られた時間の中で効率的に頭に入れる必要があります。そのためには問題をたくさん解くというアウトプットが重要です。インプットである講義に割く時間は極力短縮した方がいいです。

ただ完全に講義を無視して自己流でやり過ぎると不安もあります。全くDVD講義を視聴しないのは、特に最初は心もとない。そこで、1.5倍速ないし2倍速でガーっと流すようにしてました。自分がわからないところだけはゆっくり聴いてましたが。最後の方は講義は無視することも結構ありました。

講義は勉強とは思ってませんでした。わかった気になってるだけで、実際に試験問題を解けるようにはなってませんから。自分でテキスト読み、そして問題集を解く中で理解が深まっていきます。脳ミソに汗かいて自分で考える時間をたくさん確保することが大切です。

たくさん問題を解くことで計算スピードも上がります。これも大事。少なくとも私が受験した時代は計算問題のボリュームが膨大で時間との勝負でした。今もそんなに変わってないのかな。最近の試験は知らなくって、すみませんが。

直前期は模擬試験の解説講義とかもありますが、あんなの馬鹿正直に全部見る必要ないです。自分がわからない所だけかいつまんで見ればいいです。真面目にやろうとするとホントに時間がなくなります。

監査論という科目で「監査は効果的かつ効率的に実施しなくてはならない」と学びます。会計監査の仕事の現場では限られたリソースで、クライアント企業の財務諸表をチェックしなくてはなりません。

それは会計士になるための試験勉強も同じです。監査を効果的かつ効率的に行えるか試すために、あんな膨大な試験になっている面もあると思います。これだけ膨大な勉強量でもちゃんと効果的かつ効率的にやれるよね?、そのスキルが実務で必要なのよ、って金融庁にテストされているわけです。真面目にすべての講義を聴いて、テキストにカラフルなマーカーをたくさん引いてるような非効率な人は要らないってことです。

メソッド② 言えることは書ける。日本語だもの。

試験の半分は論述です。財務諸表論、監査論、会社法あたりですね。たくさん文章を書かされます。その場で考えることもありますが、ある程度は暗記しておく必要があります。独特の言い回しってあるじゃないですか、その業界の。そういうのはちゃんと暗記していたほうが、採点をする試験委員にも好印象です。

暗記って辛いですね。私は大嫌いでした。計算問題は楽しくやれてましたが、暗記は苦痛でした。理論的なことを学ぶのは好きですが、一言一句ただ暗記するだけというのはしんどかったです。まあでも、ペーパーテストをパスするためにはある程度の暗記は避けられません。

暗記のコツ、それは書かないことです。書く時間がもったいないです。

たとえば、以下の文章を暗記するとしましょう。

純利益とは、特定期間の期末までに生じた純資産の変動額(報告体の所有者である株主、子会社の少数株主、及び前項にいうオプションの所有者との直接的な取引による部分を除く。)のうち、その期間中にリスクから解放された投資の成果であって、報告主体の所有者に帰属する部分をいう。

財務会計の概念フレームワークより

このブログでも米企業の純利益を紹介していますが、厳密にはこんな定義になってるんです。「リスクから解放」とかなんか抽象的でわかりづらいですね。でもこういう用語、というか概念は専門家としては知っておく必要があります。別に投資家は知らなくてもいいけど。

こういう文章を覚えるために、紙に何度も何度も書き続ける人をよく見かけました。予備校の自習室に行くと「みんなどんな勉強してんだろうな~」って気になるんですよね。私、予備校でも相変わらず友達ゼロのぼっちで、試験に関する情報交換全くできなかったのでよく観察していましたw。

暗記すべき文章を紙に一生懸命書き続けてる人が大勢いましたが、私は疑問でした。英単語なら書かないとアウトプットできない面はあると思うんですが、なんで日本語をわざわざ書いて覚える必要があるんだろうかと。頭の中で諳んじればいい。あるいは、自宅で一人なら口に出して言えばいいと思うんですよね。

私はそうやって暗記を乗り切りました。言えることは書ける、だって日本語だもの。英語はそうはいかないですけどね。「イッツ ディフィカルト・・・」って覚えていても、”difficult”のスペルが出てこないリスクがあります。だから、英単語は私も書いて覚えてました、中高生の頃の話ですが。でも、母国語である日本語は言えれば書けます。漢字を忘れたら最悪ひらがなにすればいい。

ここでも言いたいのは効率性の話です。紙に書いて覚えても全然問題ないのだけど、それだと時間がかかるし、体力も消耗します。あと危険なのが、紙に書くことで勉強した気になることです。

紙に書いていたのは計算問題だけですね。それも丁寧に計算プロセスを残すためではなく、ただ計算するためだけです。もちろん問題が終わったらソッコーで捨てます。必要なのは紙に残すことではなく、自分の頭に残すこと、そして試験でアウトプットできる状態になることです。その目的を見失わないことが重要だと思います。勉強した気になるという快感を得る方向に逃げないことです。

勉強法というより攻略法

主にこの2つかな、大事なところは。会計士試験って難関と言われますが、実際ちゃんと勉強して試験に臨んでる人ってそんなに多くいません。ちゃんとやることやっていれば、合格率の低さを過度に恐れる必要はないと思います。

ペーパーテストって「ゲーム」ですね。学術的な勉強と思わない方がいいです。試験と直接関係しない重厚な書籍は、受かってから好きなだけ読んで勉強すればいいです。試験は「ゲーム」と割り切って、必要なところ重要なところだけしっかり理解して覚えておけばいいです。

勉強法というタイトルに書いちゃいましたが、攻略法と言った方がよいかも。勉強するというより上手く攻略するという視点の方が必要かなと思います。