家賃とは移住オプション料

持ち家派の人は「家賃を払い続けるのはもったいない」とよく言いますが、それは違うなあと思います。

生活する上で家は必須です。住居サービスを得るためにお金を支払うのはごく普通の経済活動です。家は高額なので簡単に買えるものでもないし。

私は賃貸の家賃とは一種のオプション料だと思っています。

あまり不動産の勉強をしていなかった昔から、毎日使う家は借りるより買った方がきっと得なんだろうと思っていました。それでも賃貸生活を続けていたのは、独身だったからというのもありますが、いつでも転居できる自由な状態でいたかったからという理由の方が大きいです。

オプションとは取捨選択の自由、選択権という意味ですね。何か一つにリソースを突っ込むのではなく、他の選択肢も取れる状態にしておいた方が人生に柔軟性が出ます。ただ、その分コストがかかるのが普通です。金融の世界でも一定の価格で株を売買できる権利を買うにはお金がかかります。

日々の生活はオプションに満ち溢れています。

出勤する朝は晴れているけど、天気予報によると夕方から雨が降るかもしれない。傘を持っていくべきか否か。持っていくと荷物が増えるけど、万が一雨が降っても安心。持って行かないと荷物は軽くて済むけど、雨が降ったら濡れちゃいます。

傘を持っていけば、雨が降るケース、雨が降らないケース、どちらにも対応可能です。つまり傘を持っていく労力はオプション料と言えます。

あなたは傘を持っていく派ですか? 私は常に折り畳み傘をリュックに入れています。リュックが重くなるのが嫌だけど、常に入れてます。絶対雨が降らないと思われる快晴の日にも無駄にオプション料を支払っていると言えます。

複数の選択肢を残すためにお金を支払う。私はこういうお金(リソース)の使い方が好きな性分です。えいや!と決断できない男らしくない感じですねw

だから賃貸派でした。家賃とローン支払いの損得計算がどうこうではなく、いつでも移住できることの自由さに賃貸の魅力を感じていました。そのために家賃というオプション料を払い続けるのは私にとって「もったいない」ことではありませんでした。

持ち家でも移住オプションは得られる

しかし、最近マンションを買いました。家賃というオプション料の支払を来年から止めることを決めました。

なぜなら、私にとっての賃貸で得られる移住の自由というオプションの価値が下がったからです。

というのも、持ち家でも普通に引っ越し可能と知ったからです。売ればいいだけと。35年ローンを組んで家を買っても、その家に一生住み続ける必要はないし、むしろそういう人は稀だと知りました。

うちの父親はそろそろ35年ローンを払い終えます。一度も引っ越しはしてません。家を買うとは住む場所を固定することを意味する。自分の親を見てそういう先入観を持っていました。

それは間違いでした。

もちろん好きなら一生同じ家に住み続ければいいのですが、家族構成の変化や気分転換で引っ越したくなったら持ち家でも転居可能です。流動性の高い資産性のあるマンションであれば、価格が適正なら3ヶ月くらいで売却可能です。そして売却資金で残債を返済できれば、また新しい家を買うことができます。

買い替えなんてそんな簡単にやれるものなのか?

私も実際に経験はないので何とも言えませんが、数件マンションを買い替えている人は実際に多くいます。

とは言え、家探しは時間がかかるし手数料も高いので、持ち家は賃貸ほど柔軟に住む場所を変えることはできません。でも、やろうと思えば買い替え引っ越しは可能です。

この事実を知っただけで、私にとっての賃貸の価値が下がりました。持ち家でも移住オプションが持てるなら、家賃を払って移住オプションを持っておく必要はないのでは、という発想に至りました。

そういう意味でも、私にとっての家選びは資産性がかなり重要でした。自宅で儲けたいという気持ちがないと言えばウソにはなりますが、それよりも移住したい時に早期に売却できることの方が重要です。

賃貸は漏れなく移住オプションが付随してきますが、持ち家は選択を誤ると移住オプションを失います。そこは大きな違いです。

移住オプションが付いたマンションなら買うのも全然ありだな。そう考えました。