WSJ(ウォールストリートジャーナル)が高配当銘柄の株価下落リスクに警鐘を鳴らしています。

全体的に2016年もアメリカ株価はさえない感じでしたが、NYダウ・S&P500ともに7月にようやく最高値を更新しました。

株価を牽引したのが高配当銘柄。

債券価格の高騰(利回りの低下)が続く中、利回りを求めて債券代わりに高配当株式を買う動きが広がっています。

高配当ETFである、バンガードVYMやブラックロックHDVはともに配当考慮外でS&P500を2016年初来でアウトパフォームしています。

このように高配当銘柄の株価が順調に上昇しているため、高配当銘柄は配当利回りが低下し株価は高値圏にあると言われています。

    JNJとTで確認

年初来から特に配当利回りの低下が著しい銘柄が、ジョンソンエンドジョンソン(JNJ)とAT&T(T)。

もちろん、これは減配ではなく株価が大きく上昇したからです。

JNJは年初来+16.7%、AT&Tは+19.2%と市場平均を大きく上回っています。

VYM_SPY_JNJ_T

これは4つの銘柄の2016年初からの株価推移

上から順に、
紫:AT&T
赤:ジョンソンエンドジョンソン
青:VYM(バンガード米国高配当株ETF)
緑:S&P500

高配当ETFのVYMはS&P500を上回っています。配当を加味すればさらにVYMのリターンが勝ちます。

そのVYMの遥か上を行っているのがジョンソンエンドジョンソンとAT&Tです。

AT&Tは配当利回りも5%弱あるので、総株主リターンはさらに良いです。

しかしながら、当然それに伴って配当利回りも低下しています。

銘柄名 FY15予想配当利回り 直近の配当利回り
ジョンソンエンドジョンソン 2.84% 2.67%
AT&T 5.00% 4.68%

 

これは、ジョンソンエンドジョンソンの直近5年間の配当利回り推移。

JNJ配当利回り

確かに低下傾向にあり、直近5年では最低水準になっている。

 

こちらはAT&Tの直近5年間の配当利回り推移。

AT&T配当利回りAT&Tの配当利回りも過去5年で最低水準です。

WSJが言うように確かに高配当銘柄の株価は上昇し、配当利回りは低下しています。

  高配当銘柄はまだまだ魅力的

それでも、私はJ&JやAT&Tなどの米国の優良高配当銘柄への投資にそれほど悲観的になる必要はないと思っています。

そう思う理由は2つ。

1つ目は圧倒的な過去の実績と信頼

J&JやAT&Tは過去数十年に渡ってキャッシュを稼ぎ続け、株主利益に報いてきた実績がありそのビジネスモデルは簡単に崩れるものではありません。

いずれは増益増配によって配当利回りも過去の平均水準に戻ることが期待されます。

それくらい楽観的に考えてもいいくらい、この2社には輝かしい実績があります。

ジョンソンエンドジョンソンの連続増配年数は53年。
AT&Tの連続増配年数は31年。

これからもきっと増配は続くはずです。

 

2つ目は超低金利

過去5年間で配当利回りが低下していることは事実ですが、それを遥かに超えるペースで国債利回りは低下しています。

今の10年米国債の利回りは1.58%ですよ!

10年国債と株式を比較するのはずるいですか?

では30年米国債の利回りはというと、たったの2.29%です。

これほど低金利が進んだら、高配当銘柄の株価が上昇して配当利回りが低下するのはある意味当然です。

高配当ETFのVYMやHDVの分配金利回りはまだ3%超ありますよ!
30年米国債の利回りが2.3%だというのに。

配当だけで債券クーポン収入を余裕で超えるわけです。

超低金利である現在の経済状況を鑑みれば、年初来から下落していたとしても高配当銘柄の配当利回りはまだまだ魅力的な水準だと思います。

WSJの警告を真摯に受け入れる姿勢も大事だとは思っています。

J&JやAT&Tは確かに割安とは言えないでしょうから、個別銘柄投資で強気にドカッと購入するのは控えるべきかもしれません。

バリュエーションはどんな時でもどんな銘柄でも大切ですから。

ですが、両者とも長期投資にふさわしい超優良銘柄なので、30年超保有して配当再投資を続ける意思があるなら購入は全然有りだと思います!

個別株が怖い人は、私みたいにHDVやVYMなどのETFを使って投資するのも全然ありだと思います。

1970年代のニフティフィフティが再来する可能性はゼロとは言えませんが、今はまだまだそんなバリュエーションとは思えません。特にこのクソ低金利を考えると。

賢明な長期投資家は、メディアの脅し文句に屈することなく、でも慎重さは忘れずに地道に米国優良企業の株を買い増すべきです。