擬人法って知っていますか?
中学生の時、国語の授業で習いましたよね。
人間以外のものを人間に見立てて表現する修辞法。「鳥が歌う」「風がささやく」の類。
(デジタル大辞泉より)
「あぜ道を歩いていると目の前には、暗い洞窟が大きな口を開けて待っていた」
「母なる大地」
「非正規率が上昇し若者の自殺率が上がっているのは、社会が病んでいることの証だ」
「キンキンに冷えた缶ビールが、仕事帰りの疲れた私を笑顔で出迎えてくれた」
とかとか、適当に書いた例文で恐縮です。
ちょっと話変わりますが、聞いているこっちが恥ずかしくなることってたまにありませんか?
友人が文化祭でコントをしてるのを見て、聞いてるこっちが恥ずかしくなる。
音楽の授業で同級生が歌っているのを聞いて、聞いているこっちが恥ずかしくなる。
はいここまで余談、ここから本題。
今日帰りの電車でルーティンのヤフーメール確認をしてると、月一のバンガードニュースレターが届いていました。
バンガードは独自の組織構造で全米トップクラスの低コストで優良なETFなどの金融商品を提供している偉大な会社で、私も大変お世話になっています。
今回のバンガードニュースレターは擬人法を使った読んでるこちらが恥ずかしくなる、そんなお手紙でした。
結構満員だった帰りの電車の中でニヤニヤしてしまいましたよ、恥ずかしい。
もしお時間あったら、読んでみて。
お誕生日おめでとう、バンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI)!君は2001年5月24日、当時運用資産残高240億ドルという世界第二位の規模を誇る投資信託だったバンガード・トータル・ストック・マーケット・インデックス・ファンドの子供として生まれましたね。ETFクラスとして誕生した君は、わずか4,000万ドルの運用資産残高でした。
(以下省略)
バンガード初のETFとはVTI(バンガード・トータル・ストック・マーケットETF)のこと。
ちなみに、このVTIはこちらの記事でもご紹介しました。
「バンガードETF 長期投資にふさわしい銘柄を独断でセレクト 」
そうなんですね、VTIってバンガード初のETFなんだ。
15歳ってまだまだ若い!
バンガードという会社は若い会社なんですね。
こういう資産運用業界でトップクラスに立つ若い会社が存在することが、いかにも資本主義大国アメリカって感じがします。
日本だとまずあり得ない。
VTI君の15歳の誕生日を祝して、ちょっとVTIについて調べてみることにしました。
VTIとはこんなETF
VTIは米国株式市場の投資可能銘柄のほぼ100%を対象にした指数に連動するETFで、組入銘柄数は3,682。
S&P500がアメリカの主要大企業のみを集めた指数なのに対して、このVTIは中小企業も含めた米国に存在するほぼすべての株式会社に投資しています。
基本データ
ティッカー | VTI |
名称 | バンガード・トータル・ストック・マーケット ETF |
ベンチマーク | CRSP US Total Market |
投資地域 | 米国 |
組入銘柄数 | 3,682 |
純資産 | 587億米ドル |
経費率 | 0.05% |
過去10年リターン | 7.05% |
売買回転率 | 3.5% |
分配金利回り | 2.02% |
設定日 | 2001年5月(生誕15年!) |
経費率は0.05%と激安です。
純資産規模も大きく流動性に問題なし、売買回転率も3.5%と問題なく、分配金利回りも2%ありインデックス投資としては十分。
過去10年リターンは7%確保できており、これぞTheインデックス投資といった感じてインデックス投資のお手本のような商品です。
VTIに30年超投資して損する可能性はほぼないでしょう。
資本主義が崩壊しない限り。
上位構成銘柄
上位構成銘柄は当然S&P500と被るわけですが、一応復習のつもりで掲載します。
銘柄名称 | 構成比率 |
アップル | 2.6% |
アルファベット | 2.0% |
マイクロソフト | 1.9% |
エクソンモービル | 1.6% |
ゼネラルエレクトリック | 1.4% |
ジョンソンエンドジョンソン | 1.4% |
バークシャーハサウェイ | 1.3% |
フェイスブック | 1.1% |
AT&T | 1.1% |
アマゾン | 1.0% |
上位10銘柄合計 | 15.4% |
私が大好きなエクソンモービルやゼネラルエレクトリック、ジョンソンエンドジョンソン、AT&Tといった大型バリュー銘柄から、アルファベット、フェイスブック、アマゾンなどのグロース銘柄まで幅広く存在します。
米国のすべての会社に投資しているので、幅広くて当然なのですが。
バリュー銘柄の安定高配当を享受しつつ、グロース銘柄の力強いキャピタルゲインを期待できます。
セクター別比率
セクター | 構成比率 |
金融 | 18.6% |
テクノロジー | 16.3% |
消費者サービス | 14.1% |
ヘルスケア | 13.1% |
資本財 | 12.6% |
消費財 | 10.7% |
石油・ガス | 6.2% |
公益 | 3.5% |
通信サービス | 2.5% |
素材 | 2.4% |
あらゆるセクターに幅広く分散投資できます。
高配当ETFなどに比べると、エネルギーセクターが少ないのが印象的。
金融、テクノロジーの割合が高いこともアメリカ経済の特徴をよく表しています。
過去のリターン
過去10年間のリターンは7%。
アメリカの株式市場は長期で見ると平均して約7%のリターンを株主にもたらしました。
直近10年のリターンはその歴史通りの結果となっています。
平均への回帰を考えると、直近1年のマイナスリターンは直近5年の11%という高リターンの反動だと考えると自然な気がします。
こちらは、VTIが2001年におぎゃーとこの世に生を受けてから現在に至るまでの15年間の株価チャート。
VTIは基本的にS&P500と大きな乖離はないので、いつもの見慣れた米国株価指数のチャートとなります。
2000年初頭のITバブル崩壊と2008年のリーマンショックを経験して、逞しく右肩上がりに成長し続けています。
S&P500との比較
VTIに投資しようとする人が必ず悩むのがS&P500指数との比較。
どちらが高いリターンが期待できるのか?
S&P500指数に連動するバンガードのVOOはまだ若すぎて直接比較できないので、S&P500指数そのものと比較。
1年間リターン | 3年間リターン | 5年間リターン | 10年間リターン | |
VTI | -0.45% | 11.11% | 11.00% | 7.05% |
S&P500 | 1.72% | 11.06% | 11.67% | 7.41% |
やはりほぼ同じ。
過去10年で見るとS&P500がやや優勢でしょうか?
VTIの方が小型株効果があるかなと思いきや、意外にも大型株中心のS&P500の方が最近は強いようです。
ただ、ここはVTI君の15歳の誕生日ということで彼にポジティブなニュースもお伝えさせてください。
確かに直近10年で見るとVTI君はS&P500に負けています。
しかし、VTI君が生まれた2001年から両者を比較すると彼が勝っています!
青がVTI、赤がS&P500
まだまだ若い、これから本領発揮!
VTIは2001年に誕生してから、長期できちんと株主に報いてきました。
利上げ、ジョージソロスの中国不安扇動、ブレグジット問題、サマーズの長期停滞論などなど、投資家の不安心理を煽るニュースは毎日山のように積まれて、消費されています。
確かに短期的な調整はあり得るでしょうが、マーケットや景気の予想なんて不可能です。
普段は短期的なニュースに心を左右されるのは感情ある人間として仕方ないこと。
でも、ここはVTI君の15歳の誕生日ということで彼のまだ短いですが15年の軌跡を見てあげてください。
2000年代初めの現在のアメリカ株式市場は歴史的に見ても豊穣の時期とは言い難いです。
90年代のITバブルの後処理、リーマンショックという二つの大ショックをわずか15年間で抱えているのです。
それでも基本は右肩上がりなのがアメリカ株式市場の強いところ。
私は最近はシーゲル教授流のバリュー銘柄配当再投資にハマっていてこの投資法に自信を持っています。持っていますが、このVTIを凌駕するリターンを達成できるかと言われたら、100%できますとは言えません。
それくらいアメリカ株式市場全体に投資する方法は合理的な投資法です。
過去の歴史から学ぶとすると、アメリカ株式市場は2010年代後半から2020年あたりから一気に上昇する可能性を秘めています。2000年~2020年はアメリカ株式冬の時代だったと後世の人々は語っているかもしれません。
VTI君を信じて、彼に長期投資する価値はあると思います。
仕事のできる成熟したカッコイイ色気のある40代に成長していることを期待しています!
Congratulations Mr. VTI for 15 years birthday !!