米国の消費者は世界貿易の基盤であるからだ。デロイトのデータ(2017年)によれば、米国は世界の最終消費支出の約27%を占める。中国は11%程度にすぎない。

ウォールストリートジャーナルより(太字は筆者による)

このニュース記事を読んでで、へ~ってなりました。世界の最終消費に占めるアメリカの割合は27%もあるとのこと。

普段話題になりがちなのは消費ではなく生産つまりGDP(国内総生産)ですよね。アメリカはGDP世界トップです。が、中国に年々追いつかれています。

以下は2020年のGDPランキング

順位 国名 単位(百万US$)
1   米国 21,433,225
2 中国 14,731,806
3 日本 5,079,916
4 ドイツ 3,861,550
5 インド 2,868,930
6 イギリス 2,830,764
7 フランス 2,715,818
8 イタリア 2,001,466
9 ブラジル 1,839,077
10 カナダ 1,736,426

(ソース外部サイト:ELEMINIST

グラフにします。

アメリカのGDPは21.4兆ドル、中国は14.7兆ドル。GDPで見ると、アメリカは中国の1.5倍弱に過ぎません。

いやいや、豊かさを測るには一人当たりGDPを見るべきだよ、というご意見はごもっともで、一人当たりGDPで見ればアメリカは遥かに中国よりも豊かです。

それは一旦置いておいて、今回は生産ではなく消費という側面で見ようという話です。

三面等価の原則という言葉をご存知でしょうか。GDPは生産、支出、分配のいずれの面から算出しても同一値になるというものです。

生産(付加価値)は誰かの消費によって生まれます。売り手がいれば必ず買い手もいます。

世界のGDPを生産面から見ると上記グラフの通りになるわけですが、消費面から見るとどうなるか。

ウォールストリートジャーナルによると、世界の総最終支出の割合は以下です。
アメリカ:27%
中国:11%
日本:6%
ドイツ:5%
英国:4%
フランス:3%
イタリア:3%

ELEMINISTにあった各国のGDPを全部足すと87.6兆ドルでした。総生産=総消費なので、この世界GDP総額に上記の%を掛けると各国の総支出が算出できます。

各国の総消費を計算してグラフにしてみました。

生産力ではアメリカは中国の1.5倍ほどですが、消費力は2.5倍もあります。

なんせアメリカは生産<消費になってるくらいですからね。逆に中国は生産>消費です。他国は生産≒消費です。

こう見ると、アメリカ人は消費を満喫してるな~と感じます。世界のGDPを生産ではなく消費の側面で見るって、個人的には今まであまり経験なくちょっと新鮮でした。こんなグラフまで作っちゃいました。

コロナ禍での政府支援でアメリカ人の貯蓄は急激に増えており、今後この消費力はさらに高まると思われます。

だから米株が有望だとかそういうことが言いたいわけでもないです。ただ生産ではなく消費という側面から、世界のGDPを見てみるのって面白くないですかって話がしたかっただけです。

中国市場の成長も注目に値しますが、世界経済に与える影響が大きいのはまだまだアメリカ人のお財布です。

アメリカで生産よりも消費の方が大きいということは、それだけドルを刷る余裕があるからとも言えますかね。ドルが基軸通貨だからというのもありますが、やはり低金利を維持できるだけの国力があることが大きいと個人的には思います。

強い通貨を持っていることはその国の経済力の象徴だと改めて感じました。