バークシャー株主宛の年次書簡の中で、バフェットは以下の表を掲載しています。

バークシャーが保有する主な上場株について、2019年度に受け取った配当と税引き後利益(配当控除後)です。一般的に”Retained Earnings”とは「利益剰余金」という意味でストック概念ですが、ここでは配当控除後の税引き後利益という意味でフロー概念として使われています。

バフェットは何を言いたいのか?

それは、株式投資における株主リターンとは、受け取った配当と企業の利益によって決まるということです。株のリターンはインカムゲインとキャピタルゲインに分けられると言います。つまり配当と値上がり益です。言います、というかそれは事実です。ですが、バフェットはインカム(配当)とアーニングス(利益)こそがリターンの本質だと心得るようバークシャー株主に訴えています。

バフェットはこのように言っています。

明らかに言えることは、私たちがこれら上場株投資から得られる会計上の利益は、”Retained Earnings”と対応していないという事実です。

バークシャー株主宛の年次書簡(2019年度)より

配当を収益認識するのはいいとして、株価変動によるキャピタルゲイン(ロス)まで損益認識されているから気を付けて決算書を見なさいということです。バーグシャーの上場株投資ビジネスにおける四半期、年間の(会計上の)利益は無視するよう株主に促しています。

平たく言うと、株価に惑わされず配当(Dividends)と利益(Retained Earnings)を見なさい、ということです。この表を刮目せよと。ミスターマーケットに振り回されていはいけないと。

これはバークシャー株主だけが受け取るべきメッセージではありません。私たち長期投資家も肝に銘じておくべきことです。株価を無視すべきとまでは言いませんが、大事なのは企業の利益です。どれだけマーケットが恐怖に覆われていようと、持続的に利益をあげている企業の株価はいつか必ず回復します。

株価は利益と連動します。株価=EPS(一株当たり利益)×PER(株価収益率)。短期的にはPER変動によって不安定なキャピタルゲインorロスが発生しますが、長期的にはEPSがすべてです。EPSとは”Earnings Per Share”です。バフェットが言っている”Retained Earnings“はEPSと読み替えても問題ありません。

「この銘柄の配当と利益は持続的に増加するだろうか、永続性はあるだろうか」長期投資家が銘柄を選ぶ際にもっとも重要な視点です。