『銃・病原菌・鉄』が面白すぎる
最近ジャレド・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』を読んでるのですが、面白すぎて止まらないです。おかげで寝不足です。今日で読了しそうです。
『サピエンス全史』に通ずるところがありました。私どうもこういうジャンルが好きみたいです。人類史というのか進化生物学というのか。
人類の祖先が誕生して700万年くらい経ちます。狩猟採集をやめて、徐々に農業などの食料生産を開始したのは今から約1万年ほど前。
とても想像がつかない時間軸だけど、自分の祖先がどんな暮らしをしていて、そして何がトリガーになって現代のように技術が発達して豊かな社会が生まれたのか、すごく興味があります。宇宙誕生とかになると、あまりに現実味がなさすぎてちょっと興味が薄れますね。
大昔の人類と言っても、数万年前であれば身体的にはほぼ現代人と同じだと言われます。だからこそ、親近感を持って当時の生活に思いをはせることができます。
人種による能力の差はない
なぜユーラシア人は人類発祥のアフリカや、アメリカ大陸の先住民よりも技術的に優れていたのか?
なぜスペインは15世紀に圧倒的多数のインカ帝国を滅ぼすことができたのか?
それは決してユーラシア人が特別に優秀だったわけではありません。一言で言うと単なる環境要因です。
あ、ユーラシアってヨーロッパから中国までの広大な大陸ですね。念のため。
ユーラシア大陸には栽培可能な植物がたくさんあり、また牛や馬、水牛、羊、犬といった家畜化可能な動物がたくさん生息していました。家畜は食料としてだけでなく、農業や荷役にも使われました。
家畜が増えたことで、動物由来の病原菌に対する耐性もできました。この病原菌がアメリカ大陸の先住民の大半を殺戮することになるとは、ユーラシア人は夢にも思わなかったでしょう。
農業が発展すると、食料を生産し備蓄することが可能になります。定住生活も始まります。各地を移動しながらその日暮らしをする狩猟採集とは大違いです。
食料をたくさん確保できると多くの人口を養うことができます。その中には、食料生産に直接従事しない者も出てきます。武器職人や僧侶など。食料生産に従事しない人をたくさん養える集団ほど、農業器具、武器、宝飾品など生きるのに必ずしも必要ない物資を生産することができ、結果国家が強くなります。文字も生まれます。
ユーラシア大陸のメソポタミア地方が、狩猟採集をやめて食料生産を開始した最初の地域と言われていますが、それはその地方の住人が優秀だったからではありません。上記の環境に恵まれていたからに過ぎません。
ジャレド・ダイアモンドは人種による能力差なんてないと結論付けています。すべては環境要因だと。
ユーラシア大陸の環境が特別で、その環境に合致した遺伝子が大量に生き延びることで人口が増え、徐々に技術を高めていき、他大陸を圧倒するようになったわけです。人種や民族によって能力差があったわけではありません。
要はユーラシア大陸に住んでいた人は運が良かっただけということです。
いま私が書いたくらいではすべてが環境要因であることの納得感はないと思いますが、本を読めば納得です。調査データが山ほど詰め込まれています。
究極のリベラル
アメリカの高学歴層を中心にリベラルな思想を持つ人が増えています。すべての個人が自由に生きれるよう、国家が適切に資源を再配分すべきという考えです。
で、このリベラルにも程度があるんです。
もっとも極端なリベラル思想になると、努力すら個人の報酬の根拠とは認められないんです。努力できること自体が一種の遺伝子のおかげに過ぎないという考えです。
たとえば、東大に合格して在学中に司法試験に合格したとします。有名な弁護士事務所に入って企業弁護士として活躍し、年収2000万円をもらえたとしましょう。
年収2000万円もあれば、都内でもかなり贅沢な生活ができます。タワマンに住んで、毎日美味しいもの食べて、外車を乗り回し、美人と結婚できるんじゃないでしょうか。超激務だろうから、それが本当に幸福かは知らんけど。
この年収2000万円に文句を言う人はいないと思います。周りが遊んでいるときに、人知れず努力してたくさん勉強して、東大合格そして弁護士資格を勝ち取り、それで高給を得ているわけですから。
しかし、究極のリベラル思想はこの年収2000万円を個人の報酬ではないと主張するんです。それだけ努力できて知能も高い人間として生まれてこれたのは偶然に過ぎないと。要はラッキーなだけだと。
逆に勉強もせず遊びほうけて、低所得になってしまった人は、それは本人の責任ではなく偶然、つまりアンラッキーなだけと言います。
努力して獲得した資源はあなた個人のものではなく、社会全体のものだ。年収2000万円のうち1500万円は中央に収めなさい。そして、低所得な人に広く配分しましょう。
こんなの納得できるわけないですよね?(笑)みんな勉強のやる気なくしちゃって、社会が衰退すること間違いなしです。
当然に納得はできないけど、努力できることも遺伝子ガチャの結果に過ぎないというのはその通りなのかもしれません。コツコツ勉強すれば報われる現代の環境に適した遺伝子を持っていただけと。
『銃・病原菌・鉄』を読んでそう思いました。
すべて遺伝子ガチャ、親ガチャ
すべてが先天的ではなく後天的な親、家庭の教育環境も影響しているでしょうが、子どもは親を選ぶことはできません。親、家庭環境も子どもの立場からすれば遺伝子と同じくガチャ、運です。
見た目はもちろんのこと、性格や能力もすべてガチャの結果に過ぎない。
いま幸せに生活できているなら、それはきっと運がよかったからです。今の社会環境に適応する遺伝子で生まれてきているんですよ。偶然に。
今の社会が生きづらくて不幸に感じるなら、それは運が悪いだけ。そう思った方が楽なことって多いかもしれません。
私も人類史を分野横断的に捉えた本が大好きです。サピエンス全史きっかけで私もハマっています。暴力と不平等の人類史、テクノロジーの世界経済史も分厚い本ですがオススメです!
ご紹介ありがとうございます。
少しググってみましたが、特に「テクノロジーの世界経済史」が面白そうだなと思いました!
買ってみます。
私も去年サピエンス全史と銃病原菌鉄を読んでめちゃめちゃ面白かったです。
それと同時に、知人友人から最近面白かった本を聞かれてこれらを挙げると、どんな内容かと聞かれるので、「昔スペインのピサロがインカ帝国を侵略したじゃん?」と言うと、いわゆる難関大学出身の人でも???となる人が多かったので、受験生時代の世界史や地理の知識というのは、自分が思っている以上に、大半の社会人にとっては忘却の彼方に追いやられているのだと感じました。笑
世の中全体から見ると、サピエンス全史や銃病原菌鉄を読んで知的好奇心が惹起されるという人はかなり少数派なのかもしれませんね。
受験のためにいやいや覚えたことは、すぐに忘れちゃうもんですよね。
私も人のこと言えず、いろいろ忘れていると思いますw
人類史なんて興味を持ったのはここ数年ですし。
だから、大人になってからあの時もっと勉強しておけばよかったと思うのですよね。
子どもの頃は受験のための勉強になるのはやむを得ない気もしますが。
「サピエンス全史」面白すぎですよね。