株価下落の要因はEPSかPERか

株価=EPS×PERです。

つまり、相場が崩れて株価が下落しているということは、
・EPS見通しが低下した
・PERが低下した
のいずれか、もしくは両方が起こっていることになります。

株価が急落するとついつい買い場だと思って資金を投入しがちです。しかし、もし株価下落がEPS見通し低下によるものであれば、それは安値を拾ったとは言い難いです。将来得られるキャッシュが減るんだから、そのキャッシュを得る権利の値段は下がって然るべきです。

一方で、株価下落がPER低下によって引き起こされている場合、その株はお買得になったと言えます。なぜなら、将来キャッシュは変わらないのに、それを得る権利の値段が下がっているからです。ただし、PERが下がるということはマーケットのリスク認識が高まっているということであり、周りが恐怖に慄く中で果敢に資金を投じる胆力が求められます。

EPS見通しの低下による株価下落は計算に基づく冷静な判断によるもの。PER低下による株価下落は恐怖心に負けて株を手放したり、機関投資家が運用するアルゴリズムが機械的に株を売却したりすることで起こります。

計算で売られているのか恐怖で売られているのか。どちらかを見極めて、後者の場合にのみ落ちるナイフを掴みたいところです。

と、ここまでいかにも理屈っぽいことを言いましたが、「んなもんわかるかい!」って思いますよね。ですよね。自分で言っておきながら何ですが、私もわかりませんw。

株価が下がるのは誰かが株を売っているからです。誰がどんな理由、心理で株を売っているのかなんて外から分かるわけありません。100歩譲って、すべてのお金がデジタルマネーになって、キャッシュの動きをリアルタイムに捕捉できれば、ちょっとは株価下落の理由を合理的に説明できそうな気はします。まあ、そんな未来のテクノロジーの話は置いておいておきます。今は無理。

ボーイングの株価が下がっているのは、737MAXの受注が減ることによるEPS低下を反映しているのか、それとも将来の不確実な見通しを嫌気して売られているだけなのか。いや、まあ両方でしょうね。EPSかPERか一つの要因に限定されることはほぼありません。あと、繰り返しですが株価下落がどちらの要素に起因するのか客観的に判別することはできません。

株価下落の要因なんてわからないですよ。わかったら苦労せずに余裕で市場平均をアウトパフォームできます。私は凄腕投資家ではなく凡人投資家です。三國無双で言う雑魚歩兵です。マーケットの動きを冷静に分析することはできません。

でも、できないなりに、大した能力も実績もない雑魚歩兵なりに、考える努力はしています。無理やりにでも考えるんです。自分なりに。

新型コロナウイルスでマーケットが荒れていますが

新型コロナウイルスが世界経済を停滞させるという懸念から、株式相場は荒れていますね。為替も円高に振れていることから、米国のリスク資産から資金を引き揚げている人が大勢いることが推測されます。

この株価下落はEPS見通しの低下か、PERの低下か、どちらでしょうか。いや、両方なのですが、どちらの方がより強くマーケットに作用しているでしょうか?

コロナウイルスの件が企業利益に影響を与えることは間違いありません。一部のコンサートやスポーツ試合がキャンセルになっているし、渡航制限も出ています。原油などエネルギーに対する需要も落ちます。家にいる時間が長くなるからネット通販は伸びるかもしれませんが、総体として経済に悪影響があるのは火を見るよりも明らかです。

じゃあ、その利益マイナス要因が株価に与える影響ってどれくらいが合理的でしょうか。ダウ平均はすでに最高値から10%下落しています。これはファンダメンタルズを反映した冷静な計算によるものでしょうか。それとも、恐怖や職業義務によって売られ過ぎているのでしょうか。

答えはわかりませんが、売られ過ぎている可能性も十分考えられます。企業利益にマイナスなのは事実だとしても、単に需要が後ろ倒しになっているだけかもしれません。確かに同じ利益額でも、その獲得が後になればなるほど割引現在価値は小さくなるから、株価にはマイナスに働きます。しかし、現在は低金利ですから、1年2年くらいキャッシュ獲得が後になってもその影響は軽微です。

他人のお金を預かっている機関投資家はインデックスに追随するため、相場急落時に嫌でも株を手放す必要に迫られます。機関投資家がマーケットを支配する現代において、売りが売りを呼ぶのは構造的な問題です。

久しぶりの大きな調整で怖くてネット証券には一切ログインしてませんがw、私は株を売るつもりはありません。FRBが利下げしてくれると期待しているからではありません。アップルやコカ・コーラなど投資している企業のビジネスが新型コロナウイルスに負けることなく、これからも繁栄を続けると信じているからです。一時的な低迷はあったとしても。

最近読んだとある書籍に「悲観は感情、楽観は意志」という言葉がありました。人間は感情の生き物だから生きていれば嫌でも悲観的なることもあるけど、楽観は自らの意志によって生まれるもの。

というわけで、私は新型コロナウイルスで混乱するマーケットを目の前にしても、米国株の未来には楽観的であろうと思います。根拠ある楽観です。根拠とは過去の数字、レコードです。

ただし、ネット証券にログインする勇気はありません。長期投資だから目前の含み損を見る必要はないんです! あ、でももうすぐ月末だからポートフォリオ記録のためにやむを得ずログインすることになるか。はー、週末は辛い作業になりそうや。