私は長期投資家です

FXなどのトレーディングではなくS&P500など優良株への投資は、基本的に長期間続けることが成果を上げる前提になります。

最近はハイテク中心に米株安、米金利上昇、急激な円安とマーケットは慌ただしい感じですが、これも30年後、50年後にチャートを振り返れば、ほんのさざ波に過ぎません。

アップルは日本のiPhoneの価格は20%近く上げましたね。円安が理由とは言え、予告なしであれほどの値上げができるのは企業として対消費者交渉力があるからです。

強い企業に投資しておけば、インフレに負けることもなく長期的には7%前後の実質リターンが今後も期待できると思います。

私が投資を始めたきっかけは、とある書籍でインデックス投資の存在を知ったことです。世界経済を丸っと買って放置して、その成長の果実を回収していくという超合理的な投資法に感銘を受けました。

幸い会計士にはなれたとは言え、監査法人勤務なんてちょっと高給なサラリーマンに過ぎません(3年で辞めたし)。家に財産もないし、自分も親と同じく働きづめの人生を送ることになるだろう。起業する野心も勇気もない。

そんな考えをもっていた中、誰でも資本家になれ、コツコツ複利で億万長者を狙える長期投資の世界は、自分でも労働者階級から脱せるかもしれない一抹の希望の光に見えました。

「希望の光」なんて言葉を使ってしまいましたが、現実は甘くはありません。誰でも手軽に参入できるが故に、S&P500を買ったところですぐにお金持ちにはなれません。

10年20年と市場に居続け、今みたいな荒波も乗り越えて、気づいたらそこそこ資産ができていた。そんな感じでしょう、きっと。

私も例に漏れず長期投資を行っています。米株投資を初めてまだ6年半。ようやく若葉マークが外れた程度です。やむを得ない事情がない限り株を売るつもりはなく、これから10年20年と運用を続けていくつもりです。

まだ資産を取り崩すフェーズではないが、すでに長期投資の「成果」を感じている

将来を見据えて株式投資を行っているのですが、これは最近感じていることですが、結果として将来のための長期投資が現在の快適な生活に繋がっている面があります。別に株を売却して散財しているとかではなく、ただ資産があるということ自体が幸福感を醸成してくれます。

6800万円のマンションはフルローン購入でしたが、それでも手付金として即500万円が必要でした。家具家電一式を揃えるのに100万円超かかっています。

そもそも結婚して基本生活費が上がりました。適当に総菜で済ますより、きちんと料理する方が意外と食費がかかります。週末はどっかしら出かけることになるので、それもなんやかんやお金がかかります。

あと、世界的なインフレで日本も電気代から食品、日用品と色んなものが値上がっていますね。

これらの出費増は確かに嫌だけど、正直そんなめちゃくちゃしんどいとは感じてないです。黒田総裁が発言された通り、値上げの許容度は高まっています。

円安で嵩上げされているとは言え米株の運用額は4千万円超あるし、預貯金もそこそこあります。総金融資産400万円の状態で100万円の家具家電を買うのと、金融資産4000万円の状態で100万円の家具家電を買うのとでは、感じる「痛み」がだいぶ違う気がします。

基本的に株を売ることはないのだけど、ただ資産がある、金があるという事実だけで支出の「痛み」を感じづらい気がします。この効果は馬鹿にできません。懐の余裕は心の余裕をもたらします。

日本では高速道路でかっ飛ばしてもせいぜい時速120キロくらいです。車のメーターは180キロまで表示がありますが、メーター振り切れるまでアクセルを踏み込むことは普通はありません。

限界まで能力を使わなくても、180キロまで出せる性能があること自体は重要です。Max120キロしか出ない車に乗っていて、高速で120キロで走るのは怖いです。車がぶっ壊れるんじゃないかと不安になります。ある程度の余裕を残したうえで120キロを出せることが重要です。

生活の豊かさというのはこの余裕度に左右される面があると思います。もっと使おうと思えば使えるけど、実際は全力では使わない。余裕を残している状態。

必要な時に必要なだけ使うという合理性がカーシェア、レンタカーの魅力である一方、それが豊かな生活かと言えばやはり微妙です。非稼働の時間が大半だとしても、いつでも乗りたい時に自由に乗れるマイカーライフの方が豊かな生活と言えるでしょう。

私は120キロで走るには、最高速300キロの車に乗りたい性分です。それくらい力を余らせた状態で日々を送りたい。

金融資産4千万、5千万も蓄え、取り崩して消費することなく今なお運用を続けている。これを理解できない人がいることも承知しています。この辺の感覚は人それぞれですね。私は十二分に余力のある状態が好きなんです。

住宅ローンの返済が年200万円以上ありますが、財政的余力があるおかげでローン返済をストレスには感じてません。

D・カーネギーの『道は開ける』は愛読書の一つですが、その中に「過去と未来を鉄の扉で閉ざせ。今日一日の区切りで生きよ」というメッセージがあります。

戻らない過去をくよくよ考え込むな。将来の不安にとらわれ過ぎるな、起こるかもしれない災いは実際には起こらないことがほとんどだ。そんなことより今日という一日を全力で楽しく生きよう。人生とは毎日毎時間の連続の中にあるのだ。

ざっくり要約するとこんなことが書いてあります。

この思想に共感する人は長期投資に向かないと思われるかもしれません。

しかし、将来のための長期投資が結果として今日の快適で楽しい日々をもたらしてくれていると感じています。

60、70でめっちゃ金持ちになれればいい、だから株式投資頑張る!
こういうモチベーションは私はほとんどないです。

将来に向けた蓄財のために長期投資をしているんだけど、一番大事なのは今。

これは一見矛盾してるように見えるかもしれませんが、私は矛盾はしてないと感じています。投資を始めた当初はここまで考えてなかったですけどね。