私は世界株式へのインデックス投資からスタートしたわけですが、今は高配当な米国株へ集中投資しています。
『株式投資の未来』を始め多くの書籍を読んで勉強させて頂いた結果、投資方針を変更するに至りました。

個人的に、最も衝撃的というか投資方針を変更する大きなきっかけになった事実があります。

それは、
長期的には、株価成長と株式リターンは連動しない
という事実です。

いやあ、今考えると当然のように思えるんですけど、当時(2015年くらい)の私にはかなりインパクトのある言葉でした。

企業の時価総額変動と株主リターンって短期的にはほぼ連動するけど、長期的には連動しない。
「ええ、、そうなの、なんでなんで??」って感じでした、最初は。

短期的に時価総額変動と株主リターンが連動するって、ピンと来ますよね。
要するに株価が上がれば、その分リターンも増えるってことです。
時価総額=株価だと思ってもらえばOKです。

でも長期的には、時価総額増加(=株価上昇)と株主リターンって連動しないんですよ。

これって意外じゃないですか!?
え、そんなの常識だろって感じですか?

いやあ、当時の私Hiroにとっては、長期投資では株価上昇と株主リターンが比例しないって、超々意外で目から鱗が落ちる感じでした。
だって、株価が右肩上がりだから長期投資は儲かるって学習してきていましたから。

配当はおまけ程度であって、右肩上がりの株価こそが長期投資のリターンだと信じてしました。
色んなインデックス投資系の本にも、「資本主義社会では株価は長期的には右肩上がりなんです、だから長期インデックス投資は儲かるんだよ!」って書いてありましたし。

資本主義社会=経済成長が社会存続のために仕組みとして内在されている=長期株式投資をすれば株価上昇の恩恵に預かって儲かる

これが最初インデックス投資を始めた時の私の頭にあるロジックでした。
とても納得していました。

でも、実際は違った!!

株価上昇は長期投資リターンの大事な要素ではあるけど、それだけ見てちゃダメ。
配当を忘れるな。
配当こそが株式投資のリターンの源泉でした。
そんな基本をわかっていなかった。

配当再投資の効果を忘れてはいけない。
配当を如何に効率よく再投資し続けて株数を増やすことができるのか、これが大事だったんです。

 

配当を効率よく再投資できる銘柄とはどういう銘柄か?
それは、指標で単純に言ってしまえば配当利回りが継続して高い銘柄。

配当利回りが高い銘柄とはどんな銘柄なのか?
それは、成長が鈍化した投資家期待が低い成熟銘柄です。

この投資家期待という点に着目することがとても大事だったんです。
長期株主リターンは、実際の成長がどれほど投資家期待を超えるかが大事だった。

長期投資でも実際のEPS成長は大事です。
それは大事なんですが、投資家期待が低いことも同じくらい、いや実際の成長以上に投資家期待が低いことは長期投資のパフォーマンスを考えるうえで大切です。

多くの人は、どのセクターどの銘柄がこれからホットかなという目線で銘柄を探しがちです。
AIの時代が来るから、グーグルとフェイスブックとアマゾンを買おうとか。

長期投資で高いリターンを上げたいなら、それだけじゃダメだと思います。
どのセクターどの銘柄が、投資家期待が低いかな~という目線も持ち合わせるべきです。

なんか逆張り推奨みたいに聞こえるかもしれませんが、投資家期待が低くて本当に倒産してしまうようなクソ銘柄を選んだらもちろんダメですよ。

きちんと投資家期待を超える実際成長が必要なわけですから。
ただ、投資家期待が低いだけではアカンです。

 

 

 

では、ここでもう少し実務的な課題に踏み込みたいと思います。

投資家期待が低いけど実際には高い成長が期待できる銘柄、そんな長期投資で高いリターンが期待できる銘柄ってどう探すべきなのでしょうか?

優良企業だけど継続的に投資家期待が低い銘柄ってどうやって探せばいいのか?

私の意見を先に言っちゃいますが、それは好調な決算発表があってもなおマーケットの悲観的ムードが消えない構造的にビジネス環境が不利な銘柄です。

なんやかんや言ってきちんと収益を上げ続ける優良企業への投資家期待が、継続的に低く留まるって実はもの凄くハードルの高いことなんです。
ちょっとの間マーケットが特定の銘柄に悲観的になることはあっても、その悲観的ムードは継続しないものです。
どこかでフワッと楽観論が出てくるものです。

なぜ投資家期待の低さ、悲観的ムードは維持されないのか?
途中で楽観論が沸き上がって、結局株価は上昇してしまうのか?

思うに、それは決算があるからです。

そう思いませんか?
決算があるがために株価が長期的に割安に放置されるなんて幸運なことはあまり期待すべきではないと思うんです。

結局ね、数字が全てを示してしまうのです。

どれだけマーケットがiphoneはもう終わった、アップルのイノベーション魂は死んだ、と叫んでもアップルの好調な決算発表でそんな悲観論は一瞬で消えてしまいました。
もし、決算発表が3年に1度しかなかったら、アップル株への悲観的ムードはまだ市場を覆っていて、アップル株価は低迷していたかもしれません。

でも、実際はアップルの株価は順調に伸びています。
それはアップル株主にとって喜ばしいことだとは思います。

でも、長期投資目的でアップル株を保有している投資家にとって、目前の株価が好調なのは一概に喜ばしいこととも言えません。
株価上昇によって配当利回りが下がって、配当再投資の効率が落ちるからです。

結局どこかで好調な決算発表、ガイダンスを発表することで株価は”それなり”の水準に落ち着いてしまうのです。
決算を通じて、株価は企業の実態を示す値に収斂されてしまいます。

米国は資本市場での情報開示のルールが徹底されています。
米国経済の要は証券市場の公正さだと理解されています。
今は決算開示も3か月に1度もありますし、客観的な数字で示された企業の業績は都度株価に織り込まれしまいます。

配当再投資が効率的に機能するには、長期的に投資家期待が低く維持される必要があります。
毎回の決算を乗り越えて、それでもなおマーケットが悲観的でいてくれる必要があります。

これは難しいですよね~。

前年比増益の決算を発表しても、マーケットがそれを信用しないような銘柄です。
「今年の決算が好調なのは偶然で、このトレンドは続かないだろう。」ってアナリストが思ってしまうような銘柄。

増益決算をCEOが笑顔で発表しても、投資家・アナリストの表情は険しい、、そんな銘柄。
そんな銘柄あるのかな?

正直あまりないと思いますが、敢えて言うなら構造的にビジネス環境が苦境に立たされると一般的世間的に解釈されている銘柄にはチャンスがあると思います。

Hiroのド素人意見で恐縮ですが、伝統的エネルギー企業(エクソンモービルなど)はその傾向にあると思います。
エクソンがどれだけ好調な決算を開示しても、原油価格の上昇が期待されても、エクソンの株価は長期的に低迷し易いかもしれません。

なぜなら、伝統的な石油エネルギーはバイオマス、太陽光などの新エネルギーにシェアを奪われるだろうという世間の見方があるからです。

 

ただし、、

配当再投資が有効に機能する銘柄ってどんな銘柄か考えてみました。

ここまで書いておいて何ですが、そんな投資リターンが優秀な銘柄を血眼になって探す必要はないのかもしれません。

なぜなら、分散投資が必要だからです。

たとえ、エクソン・モービルが長期配当再投資が最も有効である!という結論にあなたが至ったとしても、エクソンだけに投資すべきではないです。
1銘柄の割合なんて多くとも10%~20%程度に留めるべきだと思います。

実際に個別銘柄投資をしてみて思いますが、やはり市場全体が盛り上がっているのに自分の保有銘柄だけ下がっていると、精神的にちょっと辛いものです。
目前の株価は気にしない!とか言っておきながら、スマホの画面を見て落胆しローテンションのまま布団に入ることもままあります。

株式そのものに感情はありませんが、投資をしているあなたには当然感情があります。
あなたの人生と共に歩む長期投資だからこそ、そういう感情的な側面は大切にしたほうがいいと思います。

結局、投資家期待がそんなに高くなりそうにない、でもキャッシュを稼ぎ続けことができる時に裏打ちされた優良企業へ分散投資するしかありません。