数多くのユーチューバーが所属するUUUMのキャッチフレーズは「好きなことで生きていく」です。好きなことだけしてお金稼げて生きていければ、そりゃ楽しいだろうなと思います。ユートピア。

僕は任天堂スイッチのマリオカートが好きで、今でもたまにやってます。かなりやり込んでる方だと自負しています。今のゲームって総プレイ時間が記録されているんです。しかも、ネット上で出会った他人のプレイ時間まで見れます。「こいつめっちゃゲームオタクやな~」ってすぐにわかります。私のマリオカート8DXの累積総プレイ時間は約600時間です。この時間を聞いてもあまりイメージできないと思いますが、まあまあ多い方だと思います。

チャンネル登録していつも楽しませて貰っているゲーム実況ユーチューバーがいます。その方が先日動画内で、自分のマリオカート8DXの総プレイ時間を言っているのを聞いてぶったまげました。なんと15,000時間だそうです。ちょっと想像できないです。私もかなり長時間プレイしているつもりでしたけど、それでも600時間です。15,000時間って桁が二つも違う。私の20倍以上。

ちなみに、その実況ユーチューバーさんもサラリーマンです(20代後半)。普段は普通に仕事をしていて、平日の夜や休日にゲーム動画を撮影・投稿しています。見ていてすっごく楽しいです。プレイが上手いだけでなく、おしゃべりも面白い。芸人になれるのでは、とさえ思います。

15,000時間か、、なるほど、そりゃレベルが違うわけだ。スポーツでもゲームでも勉強でも、生まれ持った才能ってあるかもしれないけど、やっぱり努力に依る部分が大きいと思います。誰しも時間は1日24時間と決まっているわけですが、その有限リソースを何にどれだけ割くのか。すべての分野で一流になることはできません。一つのゲームに15,000時間も割く、これが人気ゲームYouTuberの水準なのかと思い知らされました。

「好きなことで生きていく」という主旨の言葉をここ10年くらいよく聞くようになりました。ホリエモンは『僕たちはもう働かなくていい』なんていうキャッチャーなタイトルの新書を出版しているくらいです。

仕事は苦役じゃない、好きなことを仕事にしようといった考えが広まった背景は何だろうか。それはやはりインターネットだと思います。今後はAIによってその考えがさらに深化しそうな気はしますが、今実用レベルになっているのはインターネット。

インターネットの普及によって、自分の好きな趣味をコンテンツ化できるようになりました。ブログやYouTubeで大したコストを掛けずに世の中に情報を発信できるようになりました。これが大きいと思います。コンテンツを作って人を集めることができれば、それだけで広告収入が発生します。ネットで信頼を得て、最終的には有料で教材を売ったり、オフ会を開くなんてこともできます。

インターネットにおける情報発信の手軽さの一番の理由は固定費が発生しないこと。時間を投入する必要はあるけど、お金を投入する必要はない。負債を抱える必要がないため、収入が発生しなくてもデフォルトしません。資金繰りは回ります。成果が出るまで、粘り強く続けることできます、やる気さえあれば。

ただコンテンツで稼ぐってのは簡単じゃないです。プロスポーツ選手や芸能人、俳優もそうですが、人気が出てそれなりのお金を稼げるのはごく一部です。生き残りバイアス。裏では日の目を見ることなく消えていく人が大勢います。余談ですが、私の従兄は若い頃吉本の芸人やってましたが、売れずに引退し、今はサラリーマンやってます。

このネット時代、コンテンツを読むのも観るのも無料が基本です。ネットフリックスでもせいぜい月額1,000円。先日発表されたウォルト・ディズニーの動画ストリーミングサービスは月額800円ほど。

どれも無料なら消費者はその分野でトップの情報を見ようとします。ニーズは様々だから2位、3位にも需要はあるでしょう。上位数%がパイの大半を取ることになります。そこがサラリーマンと違うところ。会社には優秀な人もいればそうじゃない人もいて玉石混交。それでもみんなそこそこ給料貰えます。特に日本企業は給料に大きな差が付かないです。

何事でも上には上がいます。どんなニッチな分野でも上位1%に入るのは容易じゃないです。難関資格と言われる会計士試験でも合格率は10%ほどはあります。

少し好き、なくらいじゃ難しい。本当に大好きでそれに自分の人生(時間)を注いできた人が、ようやくコンテンツ系でマネタイズできます。もちろん、マーケティング・センスがある人であれば、そんなに好きなことじゃないことでも市場のニーズをくみ取って上手くコンテンツを作ってマネタイズできるでしょうが、それは「好きなことで生きていく」という路線からはやや外れます。

マリオカートの総プレイ時間が15,000時間を超えているって、かなりぶっ飛んでると思います。心の底からマリカーが好きなんだな~って思いました。仕事しながらって恐ろしいです。仕事以外はほぼすべてゲームしている感じでしょうか。その好きな思いが実況からにじみ出るから、視聴者の共感を得て人気が出るんだろうな。

「好きなことで・・」っていうのは理想だけど簡単じゃない。最近グーグルのコア・アップデートなるものがあって、個人ブログはグーグルの検索に引っかかりにくくなったそうです。詳しくは知りませんが。ブログでマネタイズというのも、以前よりはハードルが上がっていくでしょうね。

好きなことを仕事にして成功できる人は稀だと思います。ここでも、やはり生き残りバイアスがあります。仕事は苦役と暗い気持ちになりたいわけじゃありませんが、仕事は金儲けの手段と割り切って淡々と働いて、アフターファイブを楽しむのだって素敵な生き方だと思います。何よりそっちの方が現実的。理想だけで飯は食えない。