この20年でハイテク企業が躍進した

20世紀は石油の時代、21世紀は情報の時代。そう言われることがあります。情報は21世紀の石油だと。

今から20年ほど前の2000年時点の世界時価総額ランキング上位はこんな顔ぶれでした。
1位:ゼネラルエレクトリック
2位:エクソンモービル
3位:ファイザー
4位:シスコシステムズ
5位:シティグループ
6位:ウォルマート
7位:ボーダフォングループ
8位:マイクロソフト
9位:AIG
10位:メルク

1位がGEとは時代を感じますね。不正会計問題もあり、2020年6月現在の順位は160位と見る影もありません。2位に石油メジャーのエクソンモービルがいます。現在は32位です。時価総額は2000年時点から2/3に落ちています。

2020年6月現在の時価総額ランキング上位はこちら。

1位:アップル
2位:マイクロソフト
3位:アマゾン・ドットコム
4位:アルファベット
5位:フェイスブック
6位:ジョンソンエンドジョンソン
7位:ウォルマート
8位:ビザ
9位:JPモルガン・チェース
10位:マスターカード

上位10社のうち実に7社がハイテク関連です。確かに石油の時代が終わり情報の時代になったと言われるのも納得です。

この客観的事実を踏まえた上で、改めて「情報は21世紀の石油である」ということの意味を考えてみました。普通に考えて石油と情報って全く違うものですから。結局、この言葉が意味するところって何だろうって思い。

物理的な移動が減りデジタル空間で過ごす時間が増える

石油の使途の約40%が動力源、つまり輸送エネルギーです。残り40%が電力、20%がその他(化学製品など)です。

この動力源というのがキーなのかなと思います。人を別の場所に運ぶにはエネルギーが必要です。車であれ船であれ飛行機であれ。より多くの人をより遠くに輸送するほど多くのエネルギー、石油が必要になります。徒歩なら石油は要らないけど、遠くには行けません。ましてや海を超えるのは不可能。

この物理的な移動というのが段々となくなっているのではと思います。人々は物理的な場所を変えなくとも、デジタル空間を移動することで仕事をこなし、娯楽を楽しんでいます。私も毎日Yutubeでゲーム実況やお笑い動画を見ています。

コロナ禍で3密のフェスやコンサートの開催が難しくなっていますが、「フォートナイト」など人気ゲーム内で開催されるケースが最近はあるそうです。参加者同士のチャットも可能。リアルでやるほどの盛り上がることはないだろうけど、これは主催者・客ともにメリットがあって持続可能な形態かもしれません。

客としては人混みをかき分けてイベント会場に移動する必要がなく、お金と時間を節約できます。主催する側としても会場費用などのコストを大幅に削減できるし、何よりも自分のパフォーマンスをより多くに人に届けることができます。拡張性が高まります。たとえば、リアルのフェスだと3日開催で計10万人を動員すれば大成功といった感じですが、ウェブでやれば100万人が参加してくれるかもしれません。少なくとも物理的な制約はありません。

デジタル空間で開催すると何かと規模の拡大にコストがかからない傾向があります。人気アーティストほど潜在的な拡張可能性が高いため、フェスやコンサートをウェブ空間で開催する経済的メリットが大きいです。

仕事においてもPC作業メインであれば自宅で可能ですね。このブログ作成だってそうです。どうせPC開いてウェブ空間に移るでのあれば、わざわざ皆が満員電車に乗ってオフィスに集まる必要性は薄いです。

デジタル空間で快適に過ごすことを可能にするテクノロジーが物理的な移動需要を浸食すること。これが「情報は21世紀の石油」という言葉の本質ではないかという考えに至りました。

福岡から東京に移動するには数万円必要ですが、サーバーAからサーバーBへの移動にはほとんどコストが発生しません。僅かな電力、通信費くらいです。

物理的な移動、リアルなイベントが完全に無くなることは考えられませんが、衰退の流れにはあると思います。ウェブでの開催は増える一方でしょう。ウイルスだから仕方なくというネガティブ要素ではなく、デジタル開催の方が事業者・客ともに経済的メリットがあるというポジティブ要素があるという点が大きいと思います。

打撃を受ける業界、恩恵を受ける業界

ということを前提に投資家として未来を考えてみると、、当然ですが石油などのエネルギー需要は落ちます。あとは、コンサートなどのイベントで消費量が増える飲料も構造的に需要が減少するかもしれません。コカ・コーラ(KO)は大丈夫だろうか。あとは、移動という意味では鉄道(旅客)、航空産業ですね。ホテルも厳しそうです。

恩恵を受けるのは通信、iPhoneなどの視聴デバイスでしょうか。移動が減ると筋力が衰えるから、室内でエクササイズするための器具やアプリも流行りそうかな。