FY19(2019年7月期)決算データ反映、コメント刷新(2019/10/6)

S&P100構成銘柄を中心に米国企業の業績、財政状態、キャッシュフロー、株主還元状況について過去10年分のデータをグラフ化しています。

データソースはMorningstarです。

今回はキャンベルスープ(CPB)をご紹介します。

基本情報

会社名キャンベルスープ
ティッカーCPB
創業1869年
上場1954年
決算7月
本社所在地ニュージャージー州
従業員数19,000
セクター生活必需品
S&P格付BBB-
監査法人PwC
ダウ30×
S&P100×
S&P500
ナスダック100×
ラッセル1000

地域別売上構成比

セグメント情報

セグメント別売上構成比

セグメント別売上高推移

セグメント利益推移

業績

キャッシュフロー

バランスシート

資産

負債純資産

株主還元

連続増配年数

0年

過去10年の配当成長

年率+3.4%

この10年で配当は1.3倍になりました。

過去の株主リターン(年率、配当込み)

過去10年(2009~2018):+3.9%
過去20年(1999~2018):+0.2%
過去30年(1989~2018):+7.7%

バリュエーション指標(2019/10/6時点)

予想PER:17.8倍 最新情報はこちら

配当利回り:3.0% 最新情報はこちら

コメント

キャンベル・スープは赤と白の缶スープでお馴染みの大手食品会社です。コーンポタージュやミネストローネ、クリームトマト、クラムチャウダー、オニオンスープ、クリームマッシュルームなどの濃縮スープが有名です。「キャンベルズ」や「スワンソン」といったブランドがあります。野菜ジュースなどの健康飲料や、パスタソースも手掛けます。

事業セグメントは以下の3つ。
・Meals and beverages(食品、飲料)
・Snacks(スナック菓子)

食品・飲料部門はスープ、野菜ジュース、パスタソース、サルサソース等を扱っています。

積極的なM&Aを行っています。2012年にボルトハウス・ファームズを15.5億ドルで買収。飲料事業を強化しました。2017年12月には、ポテトチップスの「ケトル」や「ケープコッド」などを保有するスナイダー・ランスを約50億ドルで買収。当該買収によってキャンベル・スープのビスケット・スナック菓子部門は、スープなどの食品部門と肩を並べる売上規模に成長する見込みです。

2018年に生鮮食品部門を整理すると発表しました。食品事業は縮小しスナック部門の重要性がより高まることになります。

財務データを確認しましょう。

FY17に売上高が大きく落ち込んでいるのは収益認識基準の改正のよるものです(過年度遡及修正)。この10年、売上高はほぼ横ばいで推移しているように見えますが、会計基準改正を考慮すれば増収だったと言えます。ただしM&Aの影響も大きく、オーガニックな成長率測定は難しいです。

FY19の売上高は81億ドルで前年比+23%。スナイダー・ランス等の買収が寄与しました。既存事業の成長率は緩慢です 。消費者の健康志向や、新興企業のプライベートブランドなどが既存の大手加工食品メーカーの脅威になっています。

FY19の純利益は2.1億ドル。減損損失を計上した前年FY18よりさらに悪化し、純利益率は3%です。減損や確定給付企業年金の時価調整、M&A関連の費用などががあるようですが、細かい点は理解できませんでした。

キャッシュフローは安定してプラス。営業CFマージンは15%近くあり高収益。

バランスシートを見てみましょう。FY18に総資産が大きく増加していますが、スナイダーズ買収でのれん、無形資産が増えたためです。負債純資産側を見ると橙色の固定負債が増えていることがわかります。買収のため長期借入をしているためです。加工食品企業は最近負債を抱えがちですが、CPBはとりわけ顕著です。インタレスト・カバレッジ・レシオは3倍を割っています。

2013年に配当(DPS)が大きく減少しています。ボルトハウス・ファームズの買収資金が必要で、配当に回す資金がなかったようです。翌年2014年からはDPSは回復していますが、増配率は大きくありません。事業再編コストが優先であり、今後も当面は大きな増配は期待できなさそうです。