3歳と1歳の子どもを持つ同僚がいます。同僚というか先輩か、私の2つ上なんで。その人が最近ぼやいた一言が耳に留まりました。

「はあ~、最近平日より休日の方が忙しいわww。」

この先輩は結構ストイックに働く方です。優秀な方で尊敬しています。会計の知識も豊富です。仕事ができるが故に仕事が集中して、夜遅くまで残っていることが多いパターンです。サラリーマンあるあるです。

そんな普段から忙しく働いている人が「休日の方が忙しい。」ってどんだけやねん!って思いました。もちろん、これは幸せ込みの愚痴です。子どもが可愛いくて可愛くて仕方ないと以前言っていたので。

私は今年、仕事やら研修が忙しくて「自分の時間があまり取れないなあ~」と不満に思うことがよくありました。

でも休日はほぼ全部自分の時間にできていますし、これだけブログも続けています。なんやかんやで結構、自分の時間取れてるのかもしれません。少なくとも、世間のパパよりは自分の時間があるんだと改めて思いました。

最近は結婚しない人、結婚しても子どもを作らない人が多いです。

私の周りでは後者がすっごく多いです。いわゆるDINKSです。ダブルインカムノーキッズは経済的に豊かです。たとえばお互い年収500万円あれば二人で1000万円。1000万あれば夫婦二人なら都内でもそこそこ贅沢な生活ができます。都内ではこういったパワーカップルが多い印象があります。まあ、私の周りに多いだけかもしれませんが。

一方で、子どもを持つと、たとえダブルインカムでも経済的、時間的な余裕は一気になくなります。女性側は子育てしながらフルタイムで働くのはしんどいです。育休とってそのまま退職しちゃう方も多いです。

特にうちの経理部は社内でも忙しい部署なので、「この会社の経理部で働きながら子育てとか絶対無理!!」って女性陣はよく言ってます。現に子育てしながら経理部で働いている女性は、うちの会社はゼロです。経理部全体で女性は20人ほどいますけど、子持ちはゼロです。一人もいません。先ず結婚してない人が多いし、結婚して子どもができると大体辞めちゃいます。

日本の出生率が上がらない理由は色々あるかと思いますが、一番の理由は経済面だと思います。社会が高度化し単純労働が減っています。子どもが自立して独り立ちできるまでにかかる教育コストは増える一方です。大学卒業までの養育費は一人当たり3000万~4000万円掛かるとも言われます。習い事や塾に通わせようとすれば、もっと負担が増えます。

子どもの養育費の大半が親の負担になっているのが問題です。子どもの医療費無料とか出産費用の補助とか、いくらか国や地方自治体の支援もありますけど、足りてないだろうなと感じます。

子どものいない世帯(独身やDINKS)からもうちょっとお金をとって、子育て世帯に資金を回す必要があると思います。子どもは社会全体で育てるべきではないでしょうか。

「子どもを作るのは各家庭の自由でしょ。」と突っぱねるわけにはいきません。過去60万年近くに渡って脈々と引き継がれてきた命ですから。今私たちが最先端テクノロジーに囲まれて豊かな生活ができているのは、過去の人たちの努力のお陰です。極論言えば地球が滅亡するまで、今より豊かなで安全な社会を後世に引き継いでいく責務があると思います。

そのためには次世代の育成が不可欠です。

その費用は社会全体で賄うべきであって、親の負担だけに頼るのは持続可能な良い社会とは言えません。周りのママ・パパを見ていてつくづく実感します。ちなみに、私の妹は二人娘(1歳と3歳)がいます。

ちょっと前に独身税という議論が出ましたが、まあ絶対に世間受けはしないでしょうが、発想としては賛成です。子どものいない世帯から税金を取って、子育てを支援する発想自体は賛成します。

ただ特定の人から直接税金を取るという施策はなかなか難しいです。「独身」と一言で言っても、世帯状況は様々ですし。あともっとも経済余力があると思われるDINKSを対象に含めないのは微妙です。

そこで企業が大きな役割を果たせると思います。

うちの会社は子ども一人当たり月1.5万円ほどの手当が出ます。住宅手当も増えます。合計で月5万円くらいかな。結婚して子ども一人できれば、ざっくり言って年収が60万円ほど増えます。

これに対して不満を言う人は多いです。かなり多いです。もちろん、不満を言うのは未婚者です。

「同じ仕事しているのに、結婚して子どもがいるだけで月5万円も収入が多いのは納得できない!」
という不満です。

まあ、気持ちはわかります。

わかりますが、どうせサラリーマンの収入なんて仕事の成果と連動しないもんです。

マルクスは『資本論』でサラリーマンの給与は再生産費用なんだと言いました。労働者が仕事から家に帰って、飯を食って睡眠を取って、たまには余暇を楽しんでもらって、そしてまた職場に戻って元気に働いてもらうための一連の費用を、経営者は給料として労働者に支払うんだ。マルクスはそう言いました。

この考えは特に日本の給与体系の説明としてはしっくりきます。新卒社員の月収は平均20万円ちょいです。これくらいあればまあ普通に生活していけますが、かと言って余裕で貯金できるほどではありません。再生産費用として丁度いい金額に見えます。

子ども手当も住宅手当も、生活費が増える(=再生産費用が増える)ことに伴って払われる追加給与です。職務の対価とは言いずらいです。サラリーマンはそういうもんです。

サラリーマンとして雇用される立場を選んだ時点で、厳密に成果に連動した報酬を得るのは不可能です。外資金融とかに行かないと無理です。真の成果報酬がよければ起業するしかありません。

子どもがいると労働者の再生産費用は跳ね上がります。今働いている自分を再生産するだけではなく、次の世代の労働(社会)の担い手も生産しなくてはならないからです。「次世代の労働の(社会)担い手=子ども」の養育費として、会社が追加で手当てを支給するのは合理的だと思います。

私は独身ですが、子ども手当に不満はありません。残業代込みで計算すると、既婚子持ちの人より年収で100万円くらい差が付くこともありますが、別にそのままでいいです。むしろ、子ども手当はもっと増やしてもいいくらいだと思ってます。