社内政治を馬鹿にしてはいけない

会社ではロジックとして正しいらしいことを自分勝手に主張しても物事は前に進みません。

ブレストの場ならとりあえず思ったことをドンドン発言するのは構わないものの、ある程度重要な意思決定になってくると正しいと確信があっても、事前に上司に説明して同意を得ておいた方がいいです。予め自分の味方になってもらった方が意思決定プロセスが効率的に進みます。

いわゆる根回しってやつですね。

根回しなんてくだらないと特に優秀で高学歴な新人は思いがちですが、いずれ現実を見なければならない時がきます。理想論はさておき、日本の会社はそういう場所です。ルールを守って行動した方が身のためです。

だいたい、所詮雇われの身に過ぎないのに、会社の掟を破ってまで目立ったところで何のメリットがあるのでしょうか、と私はよく思います。会社に人生捧げているわけでもないし、暗黙のルールがあるならそれを守って地味にサバイブした方が賢明ではないでしょうか。

派閥争いというのもありますね。幸い現職にはあまりそういうのはないのですが、前職の監査法人ではありました。大手クライアントAの監査チームに配属された人は出世するとか。みずほ銀行ではソフトバンクの担当になることが出世コースとかありそうですね。知らんけど。

根回し、派閥、これらはビジネスの本質とは関係ないことかもしれませんが、サラリーマン生活を順風満帆に送りたいならどちらも軽視はできません。むしろ、重要度は高いと言えるでしょう。

なぜこんな一見どうでもいいようなことが重要になるのかと言えば、ビジネス基盤がしっかりし過ぎていて本質的な議論をする意義が薄いからです。儲かっているビジネスがすでに出来上がっているから、現社員があーだこーだする余地が小さいのです。社内政治は伝統的な大企業の特権的活動と言えるかもしれません。

既得権益業界では特にそうです。たとえば、監査法人は法定の会計監査という絶対安定収入源があります。黙ってても金が降ってきます。そういう業界は真剣に顧客に向き合う必要がないため、内部抗争にリソースを割く余裕があります。

「金のなる木」を持っている大企業ほど社内政治が忙しくなります。

そういう儲かってる大企業になればなるほど、自分の正義感は胸の内にしまっておいた方がいいです。んで、きちんと上司の指示を守る。意見を積極的に言うのは求められた時で十分。最低限のおべっかいくらいやっておく。

資本家になれば労働者としての合理的な振る舞いが身につく

そういう「礼儀正しい」振る舞いを身につけるために重要なのは、会社と労働者(自分)の関係を理解することです。どれだけ優秀でも所詮駒に過ぎない、事業リスクを背負っていない、守られている存在という法的な事実を知ること。

その会社と労働者の法的関係を理解するうえで有効な方法は何か?

会社法を勉強するのも一案ですがもっとよい方法があります。資本家(株主)になることです。

資本家、株主という立場で経済を見れるようになること。そうすれば、事業の経済リスクを負担しているのは資本家であって労働者ではないと身をもってわかります。会社法を勉強しなくてもすんなり理解できます。

ちょっと冷めた意見に聞こえるかもしれませんが、自分の立ち位置を客観視することってすごく重要だと思うんです。

別に仕事を一生懸命がんばることを否定したいわけじゃないです。仕事に割く時間は長いですし、どうせやるなら頑張った方がいいと私は考えています。最近は日付が変わるまで残業している時もありますし(しっかり時間外申請はしてますが!)。

でも、追い込まれて遅くまで働いているわけではありません。いつも「所詮俺は一雇われ労働者に過ぎない」と思いながら、気楽に半分会計ゲームと思って働いています。

仕事の忙しさやプレッシャーで心を病むなんてあり得ないです。たかが労働ごときで。人間関係で病むことはあり得えますが、そん時は最悪転職すればいいと思っています。

労働者という立場を客観的に理解できれば、心穏やかに働けます。不合理であっても会社の内部ルールを逸脱する意味はない、そこで変に自分の正義感を貫く理由はないとわかります。

資本家になって労働所得以外の収入源を作ることができれば、さらに心に余裕が生まれます。仕事でイライラすることもなくなります。