福岡は東京より家賃が安いが給料も安い

福岡育ちで社会人になってから上京してきました。人は多いですが文化、エンタメ、食などのインフラが充実している東京は気に入っています。福岡も程よく都会で好きです。

福岡の良いところの一つに家賃の安さがあります。そこそこ都会に近い場所(天神まで電車で10分~15分圏内)でも都内の辺鄙な場所より安く住めます。

都内なら一人暮らしでも家賃8万~10万くらい珍しくないですが、福岡でそれだけ出せば2LDKは借りれると思います。もちろん、立地や設備に依りますけどね。まあとにかく安いですよ。てか東京が高過ぎるだけとも言えますが。

住居費って生活費の半分は占めますから、家賃が安いと生活は楽になりますよね。住居費さえかからなければいつでも余裕でリタイヤできそうですし。

東京から福岡に戻れば経済的な余裕が生まれて、もっともっと株に資金を突っ込める、、とそんな簡単な話でもありません。

東京から福岡に移住すると間違いなく生活費(家賃)は下がるのですが、それ以上に給料が下がります

今まで何度か福岡の経理系の求人を検索したりエージェントに相談したりしたことありますが、普通に100万円以上は年収落ちますね。東京の企業の経理で年収700万円として、同じくらいの企業規模、知名度の福岡の企業の経理で年収500万円、よくて550万円くらいでした。求人は水物なのでタイミングもあるかもしれませんが。

いくら家賃が数万円下がると言っても、年収が100万円以上も下がってしまうなら、むしろ生活水準は落ちちゃうくらいです。せいぜいトントンでしょうか。税金や社会保険も加味すれば。

都内できちんと正社員で働いているなら、経済的な理由で福岡などの地方に移住するのはよーく調べてからでないと後悔する可能性が高いです。所詮同じ日本なわけですし、住む場所を変えるだけで突然豊かになれるほど甘くはないってことです。

移住するならお金ではなく、その土地がどうしても好きとか、自分の求めるライフスタイルがあるとか、そういう金銭以外のモチベーションがあった方がいいのかなと思います。

私はと言うと、生まれ育った福岡は好きですが、今の東京の職場を離れるリスクを負ってまで引っ越したいと思えるほどの情熱はないので、当面は帰る予定はありません。

給料の大部分は標準生活費によって決まる

労働者の給料の大部分は標準生活費によって決まります。スキルの習熟度や希少性も影響しますが、基礎基盤は標準生活費です。

資本家はなるべく安いコストで労働者を働かせたいと思っています。原材料をなるべく安く仕入れて原価率を下げたいと考えるのと同じです。欲を言えば原価で買い叩きたいのです。

じゃあ、私たち人間の労働力の原価って何でしょうか?

それは生活費です。雨風を凌げる家を借りて(買って)しっかり寝て、1日3回は食事を取り、たまにレジャーでストレス発散して肉体的にも精神的にも回復してもらう必要があります。労働者が心身リフレッシュしてくれないと、元気に働いてもらうことはできませんから。

だから、どれだけ労働力を安く仕入れたいと思っても、資本家は最低でも衣食住の生活費は提供しないといけません。

東京から福岡に引っ越して家賃が下がれば、資本家が労働者に支給すべき標準生活費も下がります。すなわち給料が下がります。

生活費が安い場所に移住したら、それに伴って給料も下がるのは資本主義経済のルールに沿った現象です。だから、勤め人という身分のまま移住したところで経済的に豊かになるのは普通は困難です。

例外があるとしたら、東京勤務で転勤で地方に行くケースですね。家賃補助など手当が若干減ることはありますが、基本給は東京ベース、つまり東京の高い標準生活費をベースに給料が支給されるので、地方の安い(標準)生活費との差額をアービトラージできます。

コロナ禍でリモートワークが一気に普及しましたね。アメリカのIT企業勤務の人はサンフランシスコのベイエリアからより住居費の安いテキサス州オースティンや、テネシー州ナッシュビルなどに転居を希望する人がいて、彼ら彼女らの給与を巡って摩擦が起きているそうです。

平均家賃が下がる分企業は給料を下げたいけど、当然ながら社員は反発する。

実力主義のアメリカでもやはり給料の決まり方の原則は同じみたいです。家賃がべらぼうに高いベイエリアを去るなら、資本家からの生活費補填たる給料も下がるということ。少なくともその圧力はある。

金を貯めて株を買い続けるのは簡単なことではない

社会人になったらある程度は貯金するのが当然。貯金ゼロとか終わってる。世間ではこんな風に言われることも多いです。

しかし、「普通」の生活をしていたら給料は余らないもんです。労働者は貯金ゼロがデフォルト。それくらいのいい塩梅に資本家は給料を設定しているものです。

金を余らせて株を買って資本家側に回るというのはそれほど簡単なことではありません。「普通」より生活費を継続的に抑えなければなりません。移住でそれを実現するのは得策ではないと思います。