株式投資では分散投資が大切だと言われます。卵を一つの籠に盛るなっていう格言もあります。

分散投資は大事、私もそう思います。

グロース株投資ではなく長期バリュー株投資であれば、銘柄分散をしない意味はないでしょう。ましてや米国株であれば長期ホールドしたくなる優良企業がゴロゴロあるわけですし。

分散投資といえば株式の銘柄だけでなく、金融商品間でも分散すべしとしばしば言われます。

株だけでなく、債券、不動産、コモディティなど。

その中でも株と債券は良好なポートフォリオパートナーと認識されています。

「100%-年齢」の比率までを株式にして、残りは債券にすべしとか。

債券をポートフォリオに加えることでリスクを低減するとか。

10年国債をコツコツ積み立てている投資家さんも多くいます。

  債券は不要

確かに債券は株式に比べてボラティリティは低いです。

なぜなら、債券と株式とでは負っているリスクの質が全く違っており、株式の方がハイリスクだからです。

株式とは投資先のビジネスそのものを保有することであり、投資先のビジネスの成否如何によってその価値は大きく変動します。端的に言えば、期待以上の収益を獲得できれば株の価値も上がるし、逆に期待以下の収益しか稼げなければ株の価値は下がります。ビジネスに失敗して倒産すれば株は無価値になります。

債券とは投資先企業への資金貸付です。流通市場で債券を購入する場合は直接企業に資金を貸し付けるわけではありませんが、本質的には債券投資とは企業への貸付金です。

企業がどれほど利益を上げようと、あるいは赤字になろうとも、契約で定められた利息収入を得ることが目的です。

会社が倒産の危機に瀕している時、優先的にお金を回収できるのは債権者、債券保有者です。株主は最後です。

このように本質的に株式は債券よりもハイリスクです。ボラティリティも株式の方が圧倒的に高いです。

リスクが高い分、株式投資の方が期待収益も高いということです。それが経済の摂理であり、資本主義のルールであり、歴史が示す事実です。

歴史ははっきりと示しています。

1801年に米国株インデックスに1ドル(100円)を投資していれば、2001年には1270万ドル(12.7億円)になっています。

1801年に米長期債に1ドル(100円)を投資していれば、2001年には1.8万ドル(180万円)にしかなっていません。

※上記金額はインフレ考慮前の名目リターン。

その差は歴然としています。

圧倒的に株式の方が高リターンであること歴史は教えてくれます。

ハイリスク・ハイリターンという教科書的な法則通りの結果となっているわけです。

これから将来のためにグングンと資産残高を伸ばしてお金持ちになりたいと思っている多くの若い投資家は、債券なんてポートフォリオに組み込む必要はありません。

若いとは別に20代だけではなく、30代、40代でもまだまだ若いと言えるでしょう。人生80年、90年の時代となっているんだから、資産形成という意味では40代だってまだ資産形成期の範疇だと思います。

では、なぜこのように圧倒的な株式の優位性にも関わらず、巷では債券も保有すべしという主張が多いのでしょうか?

それは債券には確かにポートフォリオの変動をマイルドにする効果があるのは事実だからです。

そして日本ではまだ預金信仰が強く、株でリスクを取ることにビビりな、というか株でリスクを取ることの本質的意味を理解していない人が多いからです。

株式投資とはビジネス、社会貢献行為であるという発想はほとんどの人にはなく、株価が毎日大きく変動する危険なギャンブルだと思われてるからです。

だからチャート的には逆相関を示すことが多い債券を保有すべしとなってしまうんです。株価しか見てないんです。

でもね、債券が株式の下落をカバーしてポートフォリオの変動をマイルドにしてくれるのってあくまで短期に限った話ですよ。短期的な投機家が過大なポジションを調整するために資産の一部を債券に移すという行為は合理的だと思います。

長期投資ではどうですか?

長期投資では株式は債券のリターンを遥かに超えることは上述した通りです。

つまり、長期で見れば債券でポートフォリオの変動をマイルドにするとは、株式の長期高収益の一部を債券の低リターンで食い潰す以外の何物でもないのです。

多くの人が株を日々株価が変動するギャンブルの種としか考えておらず、かつ短期的な視点しか持ち合わせていないから、これから財産形成が必要な若い世代にも関わらず個人向け国債なんてものを毎月積み立ててしまうのです。

もう一つ言わせてもらえば、金融機関のスポンサー企業としての強さです。

金融機関は債券ファンドなど高信託報酬の商品を買って欲しいと思っています。そして金融機関は多額の広告費を雑誌広告やデジタル広告に捻出しています。

私のこのブログのグーグル広告にもしょっちゅう金融機関の広告が出ているはずです。グーグルアドワーズは入札方式なので札束をたくさん積める広告主の広告が優先的に表示されます。

そんな債券ファンドもたくさん売りつけたい金融機関が重要スポンサーとしているのだから、マネー雑誌が「債券は不要だ!」なんて言えるわけでないでしょ。スポンサーが付いているメディアの情報は疑って読む習慣を付けるべきです。

そう考えると、私のこの素人投資ブログにもちょっとは価値があるかもしれません。なぜなら、私はグーグルアドセンス広告こそ貼っているものの、勝手に表示されるだけで特定の広告主と何ら利害関係はないからです。つまり、ブログ読者さんにとって本当に有益だと思えることのみを遠慮なく書けるわけです。

専門的な知識量や文章力は圧倒的にマネー雑誌や専門ネット記事に負けるでしょうが、誰のご機嫌も気にすることなく純粋にネット上の読者のことだけを考えて記事を書けるんです。

  シーゲル流投資家には一層不要

トランプ大統領当選をきっかけにマーケットは大きく動きました。

特に注目を集めたのが債券利回りです。

10年物米国債利回りは1.8%から現在(2016年12月半ば)は2.6%弱もあります。

10年物米国債利回りが上昇するとはどういうことでしょうか?

それは米国債が売られたということですよね。米国債が売られて米国債の価格が下落したから米国債の利回りは上昇するわけです。
(このあたりのロジックが怪しい方はこちらの記事をご参照願います。)

トランプ以降の相場では、債券価格は下落したということ。債券保有者は損をしているということです。

では、株式市場はどうでしょう?

NYダウ、S&P500、ナスダックの3指数は史上最高値を更新しました。3指数が同時に最高値を更新することはそう滅多にあることではありません。それくらい株式市場は活気づいています。NYダウは2万ドルに届きそうな勢いです。

でも、この上昇相場に乗り遅れている銘柄もあります。

それが高配当なディフェンシブ銘柄です。

以下は大統領選があった11月8日から、11日までの主要な生活必需品銘柄の株価推移です。これらの銘柄は業績が景気に左右されず、常に安定高配当な所謂ディフェンシブ銘柄です。

ティッカー 11月8日終値 11月11日終値 下落率
PM 97.86 88.95 ▲9.1%
KO 42.88 41.03 ▲4.3%
PG 87.46 83.58 ▲4.4%
PEP 108.72 103.19 ▲5.3%

ご覧の通り、株価はフィリップモリスを始め大きく下落しました。これらの銘柄は現在もトランプ前の株価水準に届いていません。つまり、NYダウなどのインデックスに投資している人が史上最高値更新の祝杯を上げているなか、ディフェンシブ銘柄に投資していた人はその祝賀会には呼ばれていないわけです。

ただ、歴史を振り返ればこのようなディフェンシブ銘柄に長期投資して配当を再投資し続けることが高リターンにつながるわけですが。

さて、このディフェンシブ株投資家が債券をポートフォリオに加えていたら今頃どうなっていたでしょうか?

さっきも言いましたが、米国債の利回りが上昇しているということは、米国債は値下がりしているということですよ。

フィリップモリス株50%、10年米国債50%なんてポートフォリオを分散投資だ!なんて思って買っていたらどうなっていますか?

フィリップモリス株は小暴落だわ、米国債も暴落だわでリスク分散もクソもありませんよ!

なんでこんなことが起こるのでしょうか?

それはディフェンシブ株は債券の代替とも言われるくらい収益や配当が安定しているため、債券が売られると一緒に売られるからです。

債券は長期で株式より低リターンにも関わらず、ポートフォリオに入れる理由が(私はないと思っているけど)唯一あるとすれば、それは短期的な株価下落を債券価格上昇が相殺してくれることです。

短期的なポートフォリオ価値変動のボラティリティを抑える役割は確かに債券にはあるでしょう。

でもどうでしょう、フィリップモリスなどのディフェンシブ株を中心に買っている投資家にとっての債券は、そんな最低限の役割すら果たしてくれません。

だって、債券利回りが上昇(債券価格が下落)した時にディフェンシブ株の株価も下落してるんですから。

これから長期投資で資産形成を考えている賢明な投資家には債券は不要。

S&P500やNYダウを買っているインデックス投資家にも債券は不要。

ディフェンシブ高配当株を中心に保有しているシーゲル流米国株投資家にとって、債券はより一層不要!