子どもの頃、とても不思議に思っていたことがありました。

それは、「どうしてテレビってタダで観れるんだろう?」ということです。

小学生の頃、ドラえもんやクレヨンしんちゃん、ドラゴンボールとかのアニメ大好きでした。夜の7時からはアニメを観るのが習慣でした。今思えば、両親は他の番組を見たかったのだろうと思いますね。年末も紅白やバラエティ番組ではなく、我が家ではドラえもんでしたから。

小学生低学年のころは何も考えずに当然あるものとしてテレビを観ていたと思います。小学生高学年くらいになってからかな、「お菓子を買うときや漫画を買う時はお金がいるのに、何でこんな面白いテレビを観るのにお金を払わなくていいのかな?」と思い始めました。

中学生、高校生と段々と子どもながら社会の仕組みを知る中でようやくわかったのです、テレビ制作の裏にはスポンサー、広告業者がいるということを。スポンサーの広告を番組の合間に放送して広告料金を得ることでテレビ業界は成り立っている。だから視聴者はテレビを観る時にお金を払わなくてもいいのか。

「ご覧のスポンサーの提供でお送りします」という言葉の意味がわかった時でした。

世の中ただ飯はないんです。

価値を提供している人は相応の対価を受け取るし、価値の提供を受けた人は相応の対価を支払はなくてはならない。

くだらない番組が多いと批判されがちなテレビですが、まだまだ大衆メディアとして圧倒的な力を持っているしより良いコンテンツを作成するため各社努力しています。テレ東なんて最近人気ですよね。私もテレ東は好きです。ワールドビジネスサテライト、アド街、モヤさまとか。

テレビ局は価値あるコンテンツを作成して対価を得る。スポンサーは視聴者がたくさんいるテレビに広告を流してくれてありがとうという意味を込めて広告料という対価を支払う。

では、視聴者は?

面白いテレビ番組を提供してもらってお金を払わなくていい、ただ飯?

ただ飯と言えばそれはそうかもしれない。

ただ一つ認識すべき重要なことは、テレビ局にとっての直接の顧客は視聴者(もちろん視聴者あってのテレビだが)ではなく、スポンサー企業だということです。

だからテレビ局は、スポンサー企業にマイナスの影響を与えることは絶対に放送できません。

スポンサー企業にトヨタ自動車がいれば「プリウスとかダサいし!」なんて口が滑っても言えません。

スポンサー企業に野村不動産がいれば「新築マンション買うなんて経済的に絶対損だね!」なんて絶対に禁句です。

この点、視聴者は見えないコストを払っていると言えます。つまり、テレビで放送される情報はスポンサー企業に都合のいいように歪曲されている可能性があるということです。

テレビ局は良いコンテンツを作る努力をしていますが、スポンサー企業のご機嫌を損ねてはいけないという大きなハードルがあります。視聴者が冷静に報道内容を分析する姿勢が必要です。

一見無料に見えるテレビであっても、隠れコストを負担していると言えます。

  ネットの便利さの不思議

皆さん、このブログをスマホやPCでネット環境に繋いでご覧になっていると思います。

月にいくらお支払いですか?

だいたい1万円くらいでしょうか?

よく考えたら不思議だと思いませんか?

何が不思議かって?

安過ぎだと思いませんか!?

何かわからないことがあればググれば簡単な悩みは大方解決する、暇なときはYou tubeで動画を見る、ブログやサイトを見て株式投資の情報収集する、友人とLINEでやりとりする。

もうネットなしでは生きていけないですよね。私はネットなしでは仕事もできないし、私生活の充実度も一気に下がると思います。ネットがなければこのブログも存在しません。

インターネット環境から受けている価値と、その価値に対して私たちが支払っている対価が釣り合っていないと思いませんか?

今のネット環境を維持するためなら、月3万円でも私は払いますよ。家賃をもっと節約して外食を控えてでも何としてでも維持します。それくらいネット環境があることは生活の重要な一部となっています。

世の中うまくできいるもので、良くも悪くもフリーランチはないんです。

一見して無料ないし格安で利用できているサービスであっても、それが価値あるサービスであれば相応の対価を誰かが支払っているのです。見えないところで。テレビを無料で観れることの裏にはスポンサー企業の存在があるのと同じで。

繰り返しですが、私たちが便利なインターネット環境から受けている恩恵と、私たちがキャリアや光回線、Wifiサービスに支払っている対価とは不釣り合いです。受けている恩恵の方が遥かに大きいでしょう。

では、この世界がネット環境に繋がっている状態を作り出すためのコストを負担してくれたのは誰なのか?

それは株主です。

ITバブルに沸いていたころ、2000年前後にIT企業の株価を高値掴みしてその後の暴落で莫大な損失を被った株主です。もちろん株主は損したくて損したわけではないのですが。

あの時IT企業の株価が青天井に上昇してその株価で資金調達できたハイテク企業は膨大な資金を得ることができました。その資金があったからこそ光ケーブルをあれだけ張り巡らすことができたのです。

あの時のITバブルがあったからこそ、今の安価で快適なネット環境が存在するのです。

以下は、ハイテクセクターETF(XLK)の1999年からのチャートです。16年経った今ですら、2000年当時の最高値を回復できていません。

我々は、あの時ITバブル崩壊で散っていった株主様に深く感謝すべきです。彼らのコスト負担があるからこそ、今我々はフリーランチを食べているのです。

ITバブル崩壊で、グーグルやアップル、アマゾン、e-ベイ、シスコシステムズなどほんのごく一部の企業が生き残っただけで、多くの新興企業は破綻しました。もちろんそれら破綻企業の株券はパーになりました。

社会は毎日少しづ進歩しています。世界中で仕事をしている人みながコツコツ努力することで世界の技術は進化してきましたし、これからも同じでしょう。

ITバブル崩壊で覚えておくべきことは、時に技術は株主の思いがけない高負担で急進行することがあるということです。自分が損をしても社会の進化に役立てばいいと思っている株主はほとんど居ないでしょう。でも結果として株主のお金で技術が進歩し、その恩恵を株主が受けることができないこともあるのです。

技術進化の恩恵は株主ではなく消費者が受けることになるとは、シーゲル教授も言っていることです。

株主の負担で技術が進化し物やサービスの値段が安くなることで、消費者が恩恵を受けるのです。

本来株式会社とはたとえ無配の成長ステージある企業(今のフェイスブックやアマゾンなど)であっても、究極的には株主利益に適うという判断で、無配でガンガン投資しているわけです。別にアマゾンの経営陣は株主利益を犠牲にしようと思って無配にしているわけではありません。

でもね、事実として株主が莫大なコストを負担するだけしておいて、結局株式の価値がゼロになってしまうことが少なくとも1990年代後半から2000年まで発生したのです。

それが今後も起こり得ないとは限りません。

歴史は繰り返す。

今流行りのAI、人工知能などのネタに株主としてどう関与すべきかはよくよく考えるべきです。

もしあなたが、将来の世代のために自分の利益が犠牲になってもいいからAI銘柄に投資しまくる!と思うのであれば私は止めませんけどね。

  ハイテク銘柄選びは慎重に

ウォールストリートジャーナルがとある記事を掲載しています。

IT企業の研究開発費は1960年代は連邦政府からの支援がGDPの2%もあったのに、現在はそれが0.6%まで低下しているとのこと。

そのことをこう報道しています。

こうした状況(IT企業への政府支援が少なくなっている状況)は米国の納税者にとって恩恵だ。技術革新の果実を得るであろう株主がコストを負担しているのだから。

WSJより

太字部分は明らかな認識誤りです。

それはITバブルによって明らかになった事実です。シーゲル教授の『株式投資の未来』を読んでいる投資家には明らか誤りだとわかります。

技術革新の恩恵は確かにリーダー企業こそ初期は価格に強気に転嫁できるのである程度はコストを回収できますが、結局は競合が表れて価格競争になり価格が下落して消費者が恩恵を受けるのです。

技術革新とは資本家から消費者への所得移転です。

あなたが無償の愛を提供してくれるならハイテクセクターETFを長期ホールドしてもいいですけど、あなたが自分がお金持ちになりたいと願う普通の投資家ならばハイテクセクターETFの長期ホールドは控えましょう。

長期株式投資でのハイテク銘柄選びは、慎重を期すべきです。

私は今のところ、ハイテク銘柄への個別投資を行っていません。でもだからとってハイテク銘柄がどれも長期投資に適さないと思っているわけでは決してありません。まだまだ自分が勉強不足でどの銘柄を選択すべきかわからないでいるだけです。

また無理してハイテク銘柄を持つ必要もないかなとも考えてもいます。

私はIT企業のビジネスや将来性といった定性的な事情に精通しているわけではありません。各企業の損益計算書、キャッシュフロー計算書、株主還元指標を見ての会計的観点からのみの判断ですが、長期投資に適したハイテク銘柄は以下くらいだと思っています。

マイクロソフト(MSFT)
IBM(IBM)
インテル(INTC)
シスコシステムズ(CSCO)
アップル(AAPL)

長期投資でのハイテク銘柄選びは慎重に行ったほうがいいですよ。