無料のニュース媒体は不安を煽る悲観的な報道で溢れる宿命にある

コロナウイルスによる経済クラッシュはもはや人災だという意見を聞きますが、私もそっち派です。確かに新型で治療薬がないから用心は必要だし、楽観してはいけないと思います。しかし、にしてもメディアはあまりに世間を不安に陥れる報道を流し過ぎだと思います。買い占めする人を批判する気にはなりませんが、人々を買い占めに駆り立てるテレビなどの報道の仕方は、もうちょっと何とかならんのかとちょっと怒りを覚えます。

でも、ニュース報道もすべてビジネスだから仕方ないんです。客観的な正しいデータを提示することよりも、いかにたくさんクリックされるか、いかに視聴率を稼げるかの方が優先されます。不安を煽る報道が結果として社会的にニーズのある情報なら、それも仕方ないか、、と諦めています。

私たちは悲観的なニュースに注目しがちです。それは遺伝子の問題です。直立2足歩行のアウストラロピテクス(猿人)が生きていたのは約400万年前。我々の直接の祖先と言われるホモ属が台頭したのが約200万年前。

とにもかくにも、それだけ長い歴史を生き延びたDNAが私たちの脳、体には組み込まれています。あなたもあなたの同僚も私も、何万年にも及ぶ遺伝子の選抜競争を勝ち抜いた超エリートです。

なぜ、生き残ることができたのか?

様々な要因があるでしょうが、その一つに不安を感じやすいという性質があると思います。不安性、心配性で保守的な人はなかなか死なないです。慎重に行動するからです。今で言うとすぐに買い占めするような人です。たくさんの水と食糧を持っていれば生命は維持できます。現代の日本は餓死することはあり得ませんが、ほんの数百年前までは餓死の危機と常に隣り合わせでした。

森の茂みからカサカサ!っと音が聞こえた時、
「ん、もしかしたら虎からもしれないぞ!気を付けろ、、」
と思う人もいれば
「どうせウサギかなんかやろ。寝よーっと。」
と思う人もいます。

前者は生き残って後世に遺伝子を残しますが、後者は虎に食われて命を落として遺伝子がそこで途絶えます。

果敢にリスクを取る人はカッコイイと思われがちですが、多分それはそういうリスクテイカーの遺伝子が現代では稀だからだと思います。生き残ったのはほとんどがビビりで慎重な遺伝子です。ホリエモンや孫さんみたいな人はレアキャラです。ご先祖様は戦国時代の戦で殿(しんがり)を買って出るような侍だったのかもしれません。現代ではリスクを取って失敗しても金を失うだけですが、戦でリスクを取って失敗すれば死に直結します。

私たちは不安が大嫌いです。そういうDNAを持っているはずです。いや、私たちはリスク資産たる株式に投資をしているくらいだから、まだリスクテイカーの素質がある方かもしれません。不安に耐えられる能力を持っているのかも。でも、基本はリスク回避的です。コロナ暴落相場ビビりますよね。

不安を煽るニュースがトラフィックを稼げるのは、私たちが不安が好きだからではなく、不安が嫌いだからです。不安要素を排除したいから、どんなヤバいことが起こっているのか知りたいと本能的に思うんです。茂みの裏にいる動物が虎だということを認知したがります。

んで、虎だとわかると、その虎を退治したという情報を求めます。脳内に取り込んだ不安を解消しないと怖くて先に進めません。つまり、メディアは「コロナウイルスが終息してきたぞ!」という人々を不安から救う情報で、再び大量のトラフィックを獲得できるということです。

メディアはそれを理解しています。無料メディアは広告収入で成り立っています。クリックされてなんぼ。だから、なるべくPV数が集まる報道を垂れ流します。ヤフーニュースなどがフェイクニュースだなんて思いませんが、そういうバイアスがかかっていることは理解しておいた方がいいです。タダほど怖いものはない。

無料の投資アプリは楽観的、ポジティブな記事が多い

私はよく投資アプリSeeking Alphaのニュースを読みます。プレミアム有料プランもあるみたいですが、無課金で無料ニュースだけ読んでいます。それだけでも十分楽しめます。

こういう無料の投資系の記事は、ヤフーニュースとは打って変わって、楽観的な記事が多く見られます。「コロナショックでアップルは絶好の買い場だ!」とか、「投資家はタバコ株の暴落を気に留める必要はない。配当は維持される可能性が高い」とか。こんな感じで、投資家をほっと安心させるコンテンツの方が圧倒的に多いです。

これには理由があると思っています。

SeekingAlphaの読者は大抵、株を持っています。株を持っている人はすでに不安心理が出来上がっています。不安ですよね。特に今みたいな相場では自分の保有銘柄の業績がどうなるか、減配にならないか心配になりますよね。投資とは不確実な未来に賭けることですから、程度の差はあれ誰だって不安はあります。バフェットにもあるでしょう。

だから、メディアはわざわざ読み手を不安に陥れる必要はないんです。すでに不安な投資家をこれ以上不安にさせるようなコンテンツを発信しても、むしろクリックされない可能性が高いです。

IBM株主は「IBMのレッドハット買収はリスクに見合わない投資だ!」という記事よりも、「IBMはレッドハット買収で成長路線に復活するだろう!」という記事を読みたがるはずです。私はそうです。自分の投資に都合の良い記事をついつい見ちゃいます。こういうのを確証バイアスなんて呼びます。

人は不安が好きで悲観的な記事をクリックするわけではなく、その不安を最終的に取り除いて安心を得たいからクリックするわけです。株式投資家はすでに不安な状態にあるので、メディアがやれることは「心配しなくて大丈夫だよ。」と優しく励ますことです。そういう記事がトラフィックを集める可能性が高いです。もちろん、バシバシ厳しい指摘をする記事も人気ですけどね。あくまで一般論としてそう思うってだけです。

Seeking Alphaの記事は面白いので毎日のように見ちゃいます。面白いというか、やはり自分の不安を取り除いてくれるからです。昨日もですね、「コロナ暴悪の中、ユニオンパシフィックは近年に稀に見るほど魅力的な株価に落ちている。今はBuyだ!」というニュースを読んで、幸福感に包まれながら布団に入りました(笑)。今のところ株価は好調です!

でも、馬鹿正直には信用していません。無料で読める記事なんだから、読者が離れないように、読んでて気持ちよくなる内容になってるだろうなって割り引いて見ています。

正しい情報が欲しければ金を払うべし

客観的な視点で書かれた正しい情報が欲しければ、お金を払いましょう。無料であらゆる情報がググれる便利な時代ですが、やはりタダほど怖いものはないと思います。無料のサービスはなぜ無料でも経営が成り立っているのか思考を巡らすべきです。

無料ニュースはPV数を集めて広告をたくさん見てもらってなんぼの世界です。統計データに基づく客観的な記事というのは、読み手にそれなりのリテラシーを求めるし、感情が揺さぶられることも少ないので、PV数を集めづらいです。だから、そういうコンテンツは無料ではあまり出てこないです。

たとえば、私が信頼しているアプリの一つにNewsPicksがあります。月1500円払っています。NewsPicksのオリジナルコンテンツでのコロナウイルス特集は素晴らしかったです。過度に悲観的でもない、かといって楽観的でもない。中立的な立場で、データと専門家の意見だけで構成された信頼できる良記事でした。NewsPicksはいいですよ。ビジネス、投資に興味があるならたぶん月1500円の価値は感じられると思います。

情報が無料で溢れているからこそ、金を払って情報を買った方がいいと私は考えています。有益な情報だけで自分を囲む感じです。お金をかけて城壁を作って、くだらない雑音が脳みそに入ってこないようにするんです。自分の可処分時間のすべてを価値ある情報で埋め尽くした方がいいです。

とかドヤッておきがら、無料のヤフーニュースもしょっちゅう覗いてますけどね・・笑