高配当より配当成長

昔は高配当に着目したETFに興味がありましたが、今は配当成長系のETFへの興味が強いです。配当利回りは多少低くてもいいから、長期的に利益成長でき結果として配当も増やせる企業の投資リターンが高くなるだろうと思うからです。個別株は高配当に寄りがちなので、せめてETFでは目先の利回りに惑わされずに銘柄を選定したいです。

配当成長系のETFとして以下の3つに注目しています。
バンガード・米国増配株式ETF(VIG)
ウィズダムツリー米国株クオリティ配当成長ファンド(DGRW)
iシェアーズ・コア配当グロースETF(DGRO)

実際にいま投資しているのはVIGです。2019年のNISA枠120万円はすべてVIGにしました。NISA枠で高配当個別株を買ったのに、やっぱり気が変わって売却したことがこれまでに何度かあります。その反省を生かして、NISAではなるべくETFを買うようにしています。NISAは途中で売却するともったいないですから。

2019年S&P500指数は好調ですが、VIGの株価も好調です。YTDパフォーマンスはS&P500とほぼ互角ですかね。

アップル不在でVIGのパフォーマンスは劣るが、僕はVIGが好み

さて、投資アプリSeekingAlphaで”Here’s Why We Don’t Recommend This Fund(VIG)”という記事を見かけました。VIGに否定的な記事はあまり見かけないので目を引きました。

当記事によるとVIGは競合ETFであるDGRW、DGROにリターンで劣っているとのこと。過去5年の累積リターン(配当込み)は以下の通り。
VIG:68.5%
DGRW:73.0%
DGRO:77.1%

この差は何によって生じたのかを記事は分析しており、結論としてはアップル(AAPL)を構成銘柄に含めているか否かが命運を分けたとのこと。

なるほど、確かにそれはあるだろうな。

以下はそれぞれのETFの上位5銘柄です。

VIG DGRW DGRO
MSFT AAPL AAPL
PG MSFT MSFT
V VZ JPM
WMT XOM JNJ
JNJ PG VZ

DGRWとDGROはトップ銘柄がアップルです。アップルの過去5年の累積リターンは176%で、S&P500指数の72%を大きく上回っています。アップル不在がVIGのリターンの相対的な低迷をもたらしたというのはその通りでしょう。

VIGは連続して10年以上増配を続けている企業のみを対象に銘柄を選別しています。アップルは2013年に配当を出し始めてから増配を続けていますが、まだ10年には達していません。なのでVIGには含まれていません。2023年になったらVIGに仲間入りする可能性が高いと思います。今年増配年数が10年に達してVIGに加わったビザ(V)のように。

DGRWとDGROは連続10年という縛りはありません。DGROは確か連続5年という縛りはあったかと思います。DGRWは増配年数という制約はなかったはず。

まあ、アップル不在でVIGのリターンが劣ったというのは結果論であって、増配年数10年でスクリーニングする手法は悪くないと思います。上場してから配当を出すまで存続でき、かつ配当を10年も継続して増やし続けることができたという実績があれば、長期保有できる銘柄だなと安心できます。10年で安心できないなら、連続増配25年以上の配当貴族に投資するNOBLというETFもあります。

私は個別株でアップルに投資しています。2018年末に買いましたが、すでに同株の含み益は80%を超えています。てか、アップルの株価はどこまで上がるんでしょうかね。今日(12月26日深夜)も1%以上上げていて、300ドルが視界に入ってきました。

リスク・リターンは1銘柄だけ見ても意味はなく、ポートフォリオ全体で見る必要があります。それはETFの場合も同じですね。個別株で投資している銘柄とETFを構成する銘柄とはなるべく分散した方が良いでしょう。

この点、VIGの上位5銘柄はJNJ以外は個別株と重複していません。マイクロソフト、プロクター&ギャンブル、ビザ、ウォルマート。これらは財務超優秀なものの、利回りが低くなかなか食指が動かなかった銘柄です。特にマイクロソフト。こういう買い逃した優良企業にアクセスできることもVIGを好感している点の一つです。

この3つのETFの中でVIGの株価上昇率がもっとも低いですが、PERはもっとも高いです。それぞれの実績PERは、
VIG(25.1倍)
DGRW(16.9倍)
DGRO(18.1倍)
です。

かなり違いますよね。S&P500指数の実績PER21.0倍より高いのはVIGだけです。VIGは配当利回りも1.7%と低いです。他2つは2%台です。表面的なバリュエーション指標を見るとVIGがもっとも割高です。

過去の実績は悪い上にバリュエーションも高い。そんなVIGですが、個人的に推しなETFです。2020年少なくとも50万円、多ければ100万円ほどVIGに投資するつもりです。

VIGのPERが高いのはビザなど成長力のある企業が多いからです。PERは市場平均より高いけど、長期的に高いEPS成長を維持できる優良企業。『株式投資の未来』を読む限り、高パフォーマンスを上げる企業の特徴はこれです。VIGはそれを体現しているETFだと思います。

VIGの上位構成銘柄

最後に現在のVIGの構成銘柄トップ20を紹介しておきます。

ティッカー 銘柄名
MSFT マイクロソフト
PG プロクター&ギャンブル
V ビザ
WMT ウォルマート
JNJ ジョンソンエンドジョンソン
CMCSA コムキャスト
ABT アボット・ラボラトリーズ
MDT メドトロニック
MCD マクドナルド
ACN アクセンチュア
UNP ユニオンパシフィック
COST コストコホールセール
UTX ユナイテッド・テクノロジーズ
NKE ナイキ
NEE ネクステラ・エナジー
LMT ロッキード・マーチン
MMM スリーエム
LOW ロウズ・カンパニーズ
CAT キャタピラー
SYK ストライカー

なかなか強靭な布陣ですよね。ビザ、ナイキとかグロース株にカテゴライズされる企業も多くあります。個別ではどうしてもバリュー系を買っちゃうので助かります。