マーケットは大体合理的
2016年に米国株を始め、この投資ブログの運営も始めました。以来、数百の米国企業の財務データ、過去の投資リターンを調べてきました。中小型株までカバーし切れていませんが、大型株であれば事業内容や業績推移、バリュエーションはざっくりですが頭に入っています。
色々調べてきて思うことはマーケットはかなり合理的ということです。「FRBには逆らうな」という言葉があります。それも大事ですが「マーケットに逆らうな」という言葉の方が投資家には大事かもしれません。
PERが低いということはそれなりの理由があると思うべきで、自分だけが割安株を掴むことができたなんて思わない方がいいです。ましてや多くの専門家がウォッチしている大型株ならなおさら。
PERが高い銘柄は将来の成長見通しがはっきり描けていることが多く、また直近の決算も良い結果であるケースが大半です。高い値段を払う価値があるから利益に対して株価が高いわけです。
「割安」な株にはそれなりの理由があるし、同じく「割高」な株には相応の理由があります。リスクに見合ったリターンが得られるくらいに株価は落ち着いているものです。
マーケット評価が合理的でないと感じる銘柄もある
というのは大前提ではあるのですが、なんか質の割にいつも割安に放置されてるなあと感じる銘柄がちょくちょく見つかります。以下の2銘柄なんか特にそうです。
ユナイテッドヘルス・グループ(UNH)
ロッキード・マーチン(LMT)
UNHについて
UNHは医療保険の最大手企業です。FY10~FY19の売上成長率(CAGR)は年率+11.1%、EPSは+14.9%、DPS(一株当たり配当)は+29.3%です。立派ですよね。
PLを見れば同社はグロース株にカテゴライズしたいところ。しかし、マーケットはいつもUNHをバリュー株かのように評価していると感じます。
最近株価は最高付近にあり、お値段もそこそこです。それでも2021年予想利益ベースのPERは17倍台。数年前から定期的にウォッチしてますが、PERが20倍を超えてるのはあまり見ません。10倍台半ばが多い気がします。
S&P500平均より低く評価されている割に利益成長率は高い。よって株主リターンはすこぶる良い。2010年代のUNHの株主リターンは配当込みで年率+27.3%です。10年で資産が10倍になる計算です。
UNHはもっと高く評価されていいと感じるのは私だけでしょうか。
事業環境が悪いわけでもないです。医療保険制度が大きく変わる事に対するリスクが株価が織り込まれているのかもしれませんが、米医療保険は関連市場があまりにデカすぎて、抜本的な改革はほぼ無理だと思うのですがどうでしょうか。
LMTについて
ロッキード・マーチン(LMT)は米最大手の軍需企業。日本も同社からF-35戦闘機を大量に購入しています。
LMTの過去10年の売上成長率(CAGR)は年率+3.6%、EPSは+12.2%、DPSは+14.4%です。UNHほどではないですが、これも立派な数字です。
これだけ成長を続けているにもかかわらず、LMTのPERはUNH同じく10倍台半ばであることが多いです。現在はと言うと、2021年の予想EPSに基づくとPER14倍弱です。
事業環境は悪くない。むしろ良いと言えます。
経済力の源泉が石油から知識、データに変わったため、土地を侵略する大きな戦争は少なくなりました。しかし、米中対立からわかる通り、今はグローバル化が逆回転し保護主義に進んでいます。
冷戦みたいな雰囲気になりつつあります。相手国に対する威圧感を維持するためにも軍事予算は簡単には削れないでしょう。財政政策が経済を主導していく中で、軍事予算も増額されていくと思います。
過去の業績、将来の展望どちらを考えても、LMTはなぜかマーケットからの評価が低いなあと感じます。今だけではなくいつも気持ち安めに見えることが多いです。
とは言え、マーケットは合理的なはずという警戒心は捨ててない
そんな個人的な考えもあって、先日ロッキード・マーチンをポートフォリオに加えました。UNHも大変有望だと思っているのですが、諸々考えて今のところ買う予定はなし。
最初に言った通り、たとえ割安に見えていたとしても、自分には見えていない要素が必ずあるはずで、みっちりリサーチしている機関投資家の評価(=マーケットの評価)より自分が正しいという考えは持っていません。
なので、LMTに対して過度に楽観視して投資したわけではありません。きちんと決算をウォッチしていきます。