自慢じゃないですが、私は会計士試験を1年ちょいでかなりトップクラスの成績で合格しました。
いや、お前それはただの自慢だろって?
・・・いや、やはり何の自慢にもならないと断言できます。
なぜなら、会計士試験も大学入試と一緒で、単なるペーパーテストに過ぎないからです。
こんな言い方したら受験生に失礼かもしれませんが、会計士試験なんてただのゲームです。
私、、ペーパーテストだけは超得意なんですよね、昔から。
で、学生時代はペーパーテストが得意なこと=社会的にもきっと優秀だろう
と勘違いしていました。
ホンマに壮大な勘違いでした。
社会に出て監査法人で働いて、自分の無能さアホさ加減に気付きました。全然仕事できないし、監査調書ボロボロで突っ込みどころだらけだし。上司にはしょっちゅう怒られたし。大事な書類無くしたことあるし。
私は転職していますが、なんかリクルートとが言ってそうなポータブルスキルでキャリアアップ!みたいなカッコイイもんじゃないですよ。単純に監査法人で仕事ダメダメ過ぎて、このままここに残っても自分なんかの居場所はないなって半分絶望して転職した口です。私は負け組会計士です。
昔よく「Hiroさんは会計士の先生ですか~、いやお若いのにご立派ですね~」とか言わることがあって、その時は本当に申し訳ない気持ちで一杯になりました。ああ、これはただ昔ちょっと難しいペーパーテストに合格しただけですけど・・って思い恐縮しちゃいましたね。
とまあ、そんなクソダサい会計士の私ではありますが、一応会計の勉強はそれなりにしてきました。会計のお勉強だけは全国トップクラスでした。
実務は置いておくとして・・(汗)。
そこで、会計のお勉強をするコツをお伝えしたいと思います。
会計のお勉強というか、会計を考える時のコツみたいな感じでしょうか。
これは簿記や会計士試験といったペーパーテストだけでなく、経理実務にも通用すると思います。
会計を考えるコツは、仕訳を考える前に会計上のあるべき姿・結論を先に考えておくということです。
PLではなくBSを先に固めるとも言えます。
仕訳の積み上げで考えないこと。
仕訳を積み上げて、結果としてこういう勘定残高になりましたって言わないことです。
論点となっている対象のあるべき会計的評価を先に考えておく。
PLは無視して、先ずはBSを固めると言ってもいいかもしれません。
機械的に、前期の引当金を戻し入れて当期の引当金を繰り入れるということをしない。
機械的に、前期の在庫の未実現利益を戻し入れて、当期の未実現利益の控除をしないこと。
そういう個々の仕訳を機械的に積み上げるんじゃんなくて(それも大事だけど)、先に正しいBS評価を考えておくことです。先回りで。
トンネルを前から掘るのではなく、後ろから掘る感じです。
前からも掘るんだけど、先ずは後ろから掘る。
前から普通にトンネルを掘り始めて、「とりあえず掘り終わって、どこかわからないけど出口に到達しました!」って言わないことです。先ず正しい出口を先に特定したほうが良いです。
在庫引当の仕訳をごちゃごちゃ考える前に、当期末時点の「あるべき在庫評価」はどうなのかということを先に考えた方がいいです。
そのあるべき在庫金額に行き着くまでの仕訳なんて最悪どうでもいいです。特別な事象がなければ、在庫なら差額は売上原価なのですから。
このあるべきBS残高を先に考えるという思考法は、連結会計で特に有益です。
個々の資本連結や、会社間取引相殺の仕訳を積み上げて考えないことです。
(個々の仕訳を理解することも大事ですがね。)
結局あるべき連結上のBS残高はどうなるのか、という結論を先に算出しておく方が遥かに効率的です。
しかも間違いもなくなります。
あるべきのれん残高はいくら?
あるべき利益剰余金残高はいくら?
あるべき資本剰余金残高はいくら?
ということを先に抑えた方がいいです。
最終的には個々の仕訳を積み上げる必要があるのはわかりますが、その時にあるべきBS残高を自分の中で持っておけば、仕訳を積み上げた結果が正しいか否かの答え合わせをすることができます。
それがミスを防ぐという副次的な効果もあります。
あるべきBS評価を先に固めるには、背景にある会計理論をきちんと抑えておく必要があります。
トンネルを後ろから掘るのは決してズルではありません。
テクニックっぽく聞こえるかもしれませんが、テクニックというわけでもありません。
特にペーパーテストでこの方法を徹底すれば、圧倒的な成果が出ると思います。
BSから考える方法は簿記検定でいえば精算表を作成する際にBSの貸倒引当金を先に書いてから修正記入欄を書くとか消耗品を先に書いてから消耗品費を書くといったときに使っています。
連結会計はまだ勉強不足なのか好きにはなれません。決まりきった仕訳を覚えているだけなのですぐに忘れてしまいます。今回の記事はBSから考えるというざっくりとしたイメージなので理解できているところはその通りだとわかるのですが、苦手なところは考え方がわかりません。
もし可能でしたら簿記2級程度の連結会計の問題の一連の解法の考え方の記事を論点ごとに何回かにわけて書いてもらえると嬉しいです。
みもんさん、こんばんは。
そうですね!
精算表を埋める時は、BS情報でわかるものがれば先にそのBS残高を埋めた方が早く問題を解けますよね。
私が「Hiro流」とか偉そうに言う前に、すでに実践されているのですね。
さすがです。
ちなみに、精算表は実務でも重宝しますよ。
簿記検定の精算表とはちょっと違って、本社と子会社の各勘定残高と連結相殺金額が横並びで一覧になっているものです。
決算のときにこの精算表を見ない時はありませんよ。
連結会計は機械的に仕訳を切っていると、何をやっているのかわからなくなりますよね。
それは最初は仕方ないことだと思います。
記事の中で連結上のBS残高を先に固めるべきと申し上げましたが、いきなりこれを実践するのは無理があります。
何度も何度も問題集を解いていく中で段々出来てくるものだと思います。
「連結の視点で結局どうなるのか?」ということを考えることが大事かなと思っています。
>簿記2級程度の連結会計の問題の一連の解法の考え方の記事を論点ごとに何回かにわけて書いてもらえると嬉しいです。
ここまで記事にするとちょっとブログ趣旨とずれちゃうのでこのブログでは厳しいですかね、ごめんなさい。
ただ会計関連のブログも作ろうかなと考え中なので、そこで記事にできれば幸いです。
あと、個別に連絡頂ければ可能な範囲でアドバイスしますよ!
よろしくお願いします。
はじめまして、最近、このブログに出会いましたが、面白いですね。私は、某大企業を早期退職し、不労所得で食っています。不労所得、多少、後ろめたかったですが、このブログであながちそうでもないのかな、と思いました。投信の99%がぼったくり、など、本当そうですね。自分で考えていることとかなり近くて共感します。これからも読ませていただきます。
はじめまして、こんばんは。
コメントありがとうございます。
>面白いですね。
コンテンツ制作側として「おもしろい」と言われる以上の褒め言葉はございません。
ブログ運営の励みになります、ありがとうございます。
貴重なお時間を割いて読んで下さっていると思うので、なるべく面白い記事を書けるよう努力していきたいです。
不労所得が後ろめたいと思うそのお気持ち、私は理解できます。
不労所得とは主に金融投資でしょうか?
やはり金融投資での不労所得って、正真正銘「不労」ですものね。
でも、株式の配当収入などは全く後ろめたいものではありません。
株を保有することも、債券を保有することも社会での一定の役割を果たすことだと思います。
ただ、普段は体を動かす必要がない役割なので、社会に接触してる感覚は薄く「後ろめたい」と感じてしまうのだと思います。
>自分で考えていることとかなり近くて共感します。
これも大変嬉しいお言葉です。
色んな価値観の人がいて普通だし、いろんな方がこのブログを訪問されるとは思います。
ネットに情報を上げた時点で、訪問者は操作できませんので。
ただやはり、ブログ運営側として自分の価値観と共感できる人をなるべく多く集めたいと思うところですので。
何卒今後ともよろしくお願いします。
ご丁寧な、しかも、コメントを入れた私よりも長いお返事を下さってありがとうございました。
面白いと感じたのは、普通の投資ブログでは金銭の単なる損得だけしか扱わないところ、こちらでは、社会的なつながり、社会・周囲の方への感謝までを含んで語られている点が素晴らしいです。
こちらのブログは1557で検索してたどり着きました。巷では超マイナーなこのETF(こちらではメジャーですね)、私も多少持っています。
私は、4年前、53で大企業を早期退職しました。技術者として会社に入った最初の20年は、良いもの、良い技術を作ることでけっこう生きがいを持てたんですが、40で管理職になり技術だけではない泥沼の世界に入るのと同じころ、会社が外資に買われ、金儲けだけの世界に代わり、自分が役に立っている感が持てず、不動産収入でやっていけるめどがたっていたので、早期退職を決断しました。
辞めた後、不動産所得以外にも、退職金や今まで貯めた金でインカムゲインを生む体制を作ろうとこの4年間、いろいろ試行錯誤して、米株インデックスが本命では無いか、と思いはじめた時に出会ったのが、このブログです。このブログを見て(あっちこっち、ブログ記事、コメントのやりとりを面白く拝見しました)、その感覚が確信に変わりました。最初、日本株の個別高配当株、REITから入りましたが、米株インデックスに本命が変化してきました。今は、日本個別株(配当利回りが4%くらい)、日本個別REIT(4.5%)、先進国と米のインデックス株(ETFだけだと2%ですが、無配の投信が半分あるので全体では1%)、バランスファンド(SMTバランス、0%)のハイブリッドです。これから、徐々に、米株にシフトしていこうと思います。
もし、自分が20代や30代なら、迷わず、全部米株インデックスの定期積立なんですが、50代なんですよね。20代の会社員の息子と娘に、ただ貯金するだけじゃだめだよ、今から積立やっとくと、将来2~3倍になるよ、と言って、たわらノーロード先進国(米国onlyにしようかと思ったのですが、ちょっとひよって先進国)の自動積み立てを彼らの口座でネットで設定してしまいました(この手の判断・操作は全部、私におまかせなもんで)。
米株、日本で個別に株は買えないですし、インデックスのETFや配当が少ないし、出来高も少ないです。投信は無配です。毎月配当アクティブファンドは信託報酬が高くて論外です。NYSEで直接、個別高配当株買えばよいんでしょうが、もし、自分が万一のときは、家族が途方にくれそうなので、日本の証券会社だけにしてます。もっと、米株への環境が整ってくれるといいなあ、と思います。
このブログ、単に冷静な数字上の損得だけではなくて、Hiroさんの暖かいお人柄が伝わってきて、いいですね。これからも、面白い論点を楽しみにしております。
こんばんは。
ご丁寧に返信下さりありがとうございます。
やはりいつも思っていることですが、ブログを読んで下さっている方は心ある人間です(当たり前ですが。)
ブログを書いている私も感情ある人間ですし、読んで下さる方も同じく感情ある人間です。
ネット上の文字になると、急に人対人というコミュニケーションであることを忘れがちかもしれません。
会社や飲み会で初めて会って会話するのも、ブログを通じて初めて出会って会話するのも同じだと思っています。
ということもあって、株式投資をメインのトピックとしながらも、投資と直接関係ない話題もドンドン発信していきたいと思っています。
オフラインの世界でも、同じ話題ばかりでは飽きると思います。
とは言え、ブログは同僚との飲み屋での雑談とも違うとは思っています。
やはり、読んで全く意味のない、時間の無駄だったと思われると嫌なので、それなりに読んで良かったと思って頂ける記事にできるよう努力したいと思います。
ブログを読むにも時間という貴重資源を消費しますので。
巷では1557どころか、ETF自体が超マイナーですよね。
ETFは個人の長期投資に持って来いの商品だと思うので、もっと普及して欲しいなと思います。
証券会社は利益にならないので、そんなに積極的には売り出さないと思います。
ですが、特に最近の若い世代は自分でネットで調べて勝手に低コストな商品を選んでいく傾向になります。
ネットを通じて消費者が賢くなることが、悪しき金融商品を排除する最も有効な方法です。
金融庁森長官が金融機関の高コスト商品を批判するのは大賛成ですが、結局消費者側が勉強して自衛しないと変わらないと思っています。
>4年前、53で大企業を早期退職しました。
そうなのですね。
早期退職できるだけの不動産所得をお持ちなのは、大変素晴らしいことですね!
不動産はレバレッジを利かすことで、効率的にキャッシュインを増やせる投資対象だと考えています。
あれほどの低利なレバレッジ長期投資ができるのは、不動産くらいです。
一方で、おっしゃる通り米国株インデックスも大変有望な投資対象です。
株式での長期投資対象なら、米国株インデックスが最も有望でかつ安心して保有できます。
ご退職されているとのことで、やはり「安心して保有できる」という点は大事ですよね。
資本主義が崩壊しない限り、米株インデックスは「安心して保有できる」と断言できます。
ところで、日本の雇用制度ではどうしても、現場仕事から管理仕事に移行していきますよね。
年功序列で年々給料が上がるから、より生産性の高い管理側に配置したいという会社の思惑がありますよね。
それは合理的な面もありますが、本人が望まない出世になることも往々にしてあると思います。
日本と欧米、雇用制度は一長一短だとは思いますが、現代では職能がはっきりしている欧米型の方が時代に合っているように思います。
特にヨーロッパでは、年長者の方でも現場での仕事を続けている人はたくさんいます。
>もし、自分が20代や30代なら、迷わず、全部米株インデックスの定期積立なんですが、
はい、そのお気持ち大変よくわかります。
投資の常ですが、「もっと早く始めておけばよかった」という思いに駆られることはありますよね。
私もあります。
ただ、ネット証券で手軽に米国株投資ができるようになったのは21世紀になってから、いや2010年前後からですよ。
まだまだ個人投資黎明期です。
サラリーマンばりばり続けるだけでは食っていけない時代に移行していることを背景として、現代の投資環境の整備は進んでいると思います。
NISAまであるくらいです。
あとは猛烈サラリーマンを続けるだけでは旨味は少ない時代だと、若い人が気付くか気付かないかの一点に掛かっていると思います。
(株式投資=必ず正解、と言いたいわけではありませんが。)
人が社会に価値貢献できる分野がここ数年で急激に変化しているように思えてなりません。
鈍感な私が気付くくらいですから、相当な変化です。
そういう意味でO.N.様はお子様にインデックス投資を勧められたのは、大変ご賢明なことと存じます。
株式投資、続けてくれるといいですね!
ネット証券の自動積立設定まで代わりにやってあげるとは、お子様が大変羨ましいです!
私の父親とは大違いです笑。
コメントありがとうございました。
こちらこそ、今後ともよろしくお願いいたします。
すみません、日本では米株買えないと書いてしまいましたが、買えますね。私も、米株が買えるマネックス証券の口座作ったものの、ハードルが高そうで、何もやってません。いつか、やろうとは思ってますが...連投、失礼しました。
財務諸表の見方や財務分析の勉強なら、ビジネス会計検定ってのもありますよね。
3級でも株式投資には十分な気がしますが、2級だと連結財務諸表の財務分析も出題されるますし、1級は論述形式なのでかなりオタク的ですw
優良株のバイ&ホールドなら、簿記3級レベルで十分だと私も思います。
今、上場企業で経理やってて連結会計も見ていますが、ここでは2級レベルは欲しいところです。
最近は2級でも連結会計が出題されるようですね。私が大学生だった頃は連結会計は1級だけでした。
実務では連結ベースで議論することが多いので、2級に連結を含めるのは賛成です。
1級は確かにマニアックなところありますね。
会計士受かるレベルの人でも簿記1級に落ちることは珍しくありません。