私は結構疑い深く、慎重な性格です。

というか、騙されて損するのが嫌いな性格と言った方が正確でしょうか。まあ誰しも騙されるのは嫌いなはずですが、私はそこの警戒感が人一倍強いです。面識ない他人を安易に信用しないです。

歌舞伎町でキャッチの兄ちゃんに付いていくとか絶対しません。家電などの高額商品を買う時は、営業マンのアドバイスを鵜吞みにはせず、ググったりしてリサーチして自分が納得しないと買わないです。

投資でもネットや書籍に書いてあることも丸っと信じることはせず、あくまで参考にさせてもらうだけです。最後は自分で考えて決めます。

私はそういう人間なのですが、つい半年前まで35年間ずっと騙されていたことがあります。

それは「新築マンションは販売業者の利益が乗っているから、購入後即20%は価値が下落する。」というものです。

20代の頃、何かのマネー本でこれを読んでふむふむなるほどね、と信じ込んだままつい最近まで生きてきました。今でもよくこういうこと言ってる人を見かけます。しかもそこそこ知識のありそうな方が。

これ間違ってます。事実無根です。

少なくともこの10年の都内のマンションという意味では完全に虚偽情報です。下落するどころか、契約してから引き渡しまでの間に値上がりしていることすら珍しくないくらいです。

値下がりして損するのが心配だからと新築マンションを避けるのは得策ではありません。むしろ税制優遇が大きいメリットもあります。新築が中古よりも坪単価が高いのは事実ではありますが、新築だからって常に特別割高というわけではありません。

もちろん、明らかに割高で中古市場に放り出されたら値下がり確実と思われる出物もあります。でもそれはそういうケースもあるというだけで、新築マンション一般論ではありません。

なぜ私は「新築マンションは購入後即価値が下落する」という情報を疑わずに鵜吞みにしてしまっていたのか?

それは数字で客観的に確認できることで嘘を書くはずはないだろう、という先入観、安心感を持っていたからだと思います。

5000万円のマンションを買って即転売しようとしたら4000万円になるというのは、それが真実か嘘かは過去の取引データを確認すれば容易にわかることです。

それなりの識者が、そんな客観的なデータで間違ったことを言うはずはないだろう。ちょっと調べれば誤りとわかるような嘘を本に書くはずはないだろう。こういう心理が自分の中にあったと感じます。

「トヨタ自動車の時価総額は30兆円あり・・」と日経に書いてあったらその数字は普通は疑わないですよね。

さらに言えば、車など他の高額消費財は買値と同額で中古市場で売るなんて普通は無理ですし、マンションも同じく購入時点である程度価値が下がるのは合理的だな、という考えを持っていたことも疑いの目を持たなかった理由の一つです。

「新築マンションは即20%値下がりする」という情報を仕入れたのは新聞ではなく、(覚えてないけど)何かのマネー本だったと思います。

本の情報の信頼性は日経新聞のそれよりは劣るでしょうが、それなりにお堅いタイトルの本だったら、そこに書いてある事実は大抵は自分の知識として仕入れてしまうのが正直なところです。客観的な数字の情報は特にそうです。

意見は参考にさせてもらうだけですが、事実は知識として吸収しちゃいます。

事実が本当に正しいのか、自分で一次データを調べて確認すべきというのはその通りと思うものの、何でもかんでもそうできるわけではありません。そんな時間ないし、一次データの取得方法がわからないことも多いです。

ただ、自分の人生選択、経済判断にクリティカルな影響を及ぼす事項は、時間をかけてでも調べる姿勢が必要だったのかなとは思います。