日本の飲料メーカーと言えば、サントリー、アサヒ、キリン、サッポロです。

サントリーと言えばやっぱりプレミアムモルツです。個人的No.1ビールはプレモルとスーパードライです。サントリーの米ビーム社の買収は記憶に新しいところ。アサヒはスーパードライや三ツ矢サイダーが有名ですね。キリンは一番搾り、氷結、午後の紅茶あたりかな。サッポロはエビスビールと黒ラベルがあります。

どのメーカーも高品質な製品を出しており国内飲料業界は激戦区です。特にアルコール飲料は市場が縮小していると言われます。私もお酒は好きですが、そんな頻繁には飲まないです。飲むとしても家でビール1缶くらいですかね。ペースは週一くらいでしょうか。仕事が忙しいと毎日飲んでしまう時もありますがw。

各社製品それぞれ特色は異なるわけですが、異なるのは製品だけじゃありません。財務諸表にも各社の特徴が表れています。

今回注目したいのが棚卸資産(在庫)です。飲料メーカーの棚卸資産ってそのままですけど、お酒やジュース、お茶などの製品です。製造途中にあるものも仕掛品として棚卸資産にカウントされます。原材料もです。

で、4メーカーの中で異質なのがサントリーです。サントリーの棚卸資産って競合3社に比べてめっちゃ多いんです。絶対額だけ比べても意味ないので、売上原価と比較して掲載します。データは直近決算の有価証券報告書から取得しました。

(単位:百万円、日)

会社名 売上原価 棚卸資産 回転日数
サントリー 1,095,535 408,822 136
アサヒ 1,295,399 155,938 44
キリン 1,051,196 194,837 68
サッポロ 358,572 38,319 39

何日分の在庫を保有しているかを示す指標を棚卸資産回転日数と言います。棚卸資産÷売上原価×365で算出できます。表を見てもらえれば明らかですが、サントリーだけ他社より回転日数が長いですよね。136日もあります。136日ってことは5カ月弱です。

あなたの会社はどれくらいの在庫を持っていますか?
経理や生産でなければ具体的な数字はわからないでしょうけど、5か月分の在庫はさすがに多過ぎという印象を持つのではないでしょうか?

バックオーダー(商品不足、欠品)を防ぐために在庫を多めに持って備蓄する時もありますが、にしても5か月分は多いです。在庫の持ち過ぎはROEの低下に繋がるし、資金繰り的にも×です。

ただサントリーは別に在庫管理を怠っているわけじゃありません。5か月分もの在庫を抱える必要性があるんです。ビジネス的に必要だから5か月分という大量の在庫を抱えています。

なぜでしょう。
なぜ、サントリーだけこんなに在庫が多いのでしょうか?

どうでしょ、わかりますか?
お酒好きの人はすぐにわかるかも。

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(ヒント)サントリーが得意とする商品は何でしょうか?その商品の特徴は?

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答え:ウイスキーの醸造に時間が掛かるから(Hiro推測)

サントリーは「響」や「山崎」、「白州」などのウイスキーブランドで有名です。ウイスキーを作るには、木製の樽の中で長い期間貯蔵熟成させる必要があります。なので、どうしても製造に時間が掛かってしまうため、棚卸資産としてBSに計上される金額も大きくなってしまうと思われます。

こんな記事を書いたのは「日本産ウイスキーの危機」というニュースを偶然読んだからです。ハイボール人気などを背景にウイスキー需要は高まっているけど、供給が追いついていないと。在庫を復活させるには10年掛かると新浪社長は語っています。そりゃそうですよね、熟成に長期間必要なんだから短期間で生産できるはずがありません。

サントリーはウイスキーの生産を拡大させているということで、それはきっと財務諸表にも表れているだろうな。長期熟成が必要なウイスキーだから在庫金額はどうしても大きくなるだろうなと思って、サントリーの財務諸表を見てみたら案の定でした。財務諸表には企業のビジネスの特徴が如実に表れますね。

 

ウイスキーって飲みますか?ハイボールをウイスキーと呼んでいいのかわかりませんが、私がウイスキーを飲むのはハイボールくらいです。ストレートやオン・ザ・ロックスで飲んだことなんて数えるくらいしかありません。お洒落な大人のお酒って感じです。