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ディフェンシブ株のリターンが高いってなんかおかしくない??

   

なんかおかしいな~って思っていたことがありました。

それは歴史的にコカ・コーラやフィリップモリスなど高配当ディフェンシブ株の株主リターンが高いことです。

これはシーゲル教授の『株式投資の未来』に記載されている20世紀後半高いリターンだった銘柄たちです。

ティッカー 会社名 年率リターン
PM フィリップ・モリス 19.75%
ABT アボット・ラボラトリーズ 16.51%
BMY ブリストル・マイヤーズ 16.36%
??? トゥーツィー・ロール 16.11%
PFE ファイザー 16.03%
KO コカ・コーラ 16.02%
MRK メルク 15.90%
PEP ペプシコ 15.54%
CL コルゲート・パルモリーブ 15.22%
CR クレーン 15.14%

おかしいと思いませんか?、ディフェンシブ株のリターンが高いって。

昨年11月にトランプ大統領が当選してから米国債利回りは急上昇しました。1.7%ほどだった利回りは2.5%あたりまで上昇しました。この債券利回り上昇を嫌気してフィリップモリスなどの高配当ディフェンシブ株が売られました。

なぜ高配当ディフェンシブ株は売られたのか?

それはディフェンシブ株は債券と競合するからです。確定利付きの債券は将来キャッシュフローが固定されています。もちろん市中金利の変動で債券価格自体は増減しますが、将来のクーポン収入は固定です。

だから一般的に債券は安定リターンでローリスク・ローリターンです。

そのローリスク・ローリターンの債券とディフェンシブ株は競合してるんです、似た者同士なんです。じゃあ普通に考えれば、ディフェンシブ株もローリスク・ローリターンであるべきだと思いませんか?

でも実際は違いますよね。コカ・コーラやペプシコなどのディフェンシブ銘柄は歴史的に卓越した高リターンだったことがわかっています。つまり債券と競合するくらいリスクは低いのに(収益の変動は小さいのに)、リターンだけ高いのです。

これって経済の原則に反すると思いませんか!?

フリーランチだと思いませんか!?

まあ、でも世の中うまくできているからどこかにカラクリがあるはずなんですね。相対的にリスクが低いディフェンシブ株のリターンが高いカラクリが。

私はそのカラクリは人間心理にあると思っています。

 

 

人間誰しも目先の利益に飛びつきたくなるものです。今の100万円と1年後の120万円、今の100万円を選ぶ人はたくさんいると思います。頭のいい人は「いやいや年率20%もあるんだから1年後の120万円の方が得だよ、馬鹿だなあいつら~」と思うかもしれません。

でもこういう判断って何が正しいとかないと思いますね。今を楽しむために目の前の100万円を掴み取る判断も十分合理的だと思います。

どっちが正しいか論争は置いておくとして、やはり相当数の投資家は短期的に利益を確定してしまいがちで、長期的に株式を保有してリターンを蓄積させていくということができません。いやできないという表現はおかしくて、しないのですね。もちろん長期保有のつもりだったけど、家の購入とか結婚とか病気とか色んな事情で売らざるを得ない人もいるでしょうけど。

賢明な米国株投資家のあなたにとって、株式とは長期で保有して配当再投資を繰り返すべきものということを常識だと思っているかもしれません。でも、それはあくまであなたにとって常識なだけです。多くの人はそんな気長にリターンを待つなんて非常識なわけです。もっと早く儲けたいと思っています。

人生の時間は限りあるし、なるべく若いうちに人生を楽しみたいと思う発想は自然です。だから早く儲けたいと思う人の感情は別に批難されるようなものではなく、むしろとても人間的だと思います。まあ難しいんですけどね。

誰だってさっさと手軽に儲けたいんです。

30年かけて長期でゆっくり資産を積み上げるなんてアホちゃうの?、そんなに待てるかよ!、って考える人の方が多いはずです。

だからボラティリティが比較的高い景気敏感株を買いたがります。そして景気循環を予測しながら短期的、中期的に売ってしまいます。

三菱UFJ国際投信の調査によれば、日本、英国、米国の投信平均保有年数は以下の通りです。

日本 2.6年
英国 4.5年
米国 4.6年

日本は圧倒的に短い!なんとかせねばという主張のサポート資料なのですが、正直どっこいどっこいでしょw。

2.6年も4.6年もどちらも短いよって思います。長期投資を考えてる投資家から見れば米国の4.6年保有でも短すぎると感じるでしょう。最低でも10年くらいは保有し続けないと投資の成果なんて測れないです。株式とはビジネスそのものですから、ビジネスで成果を上げる期間としては10年くらいは気長に待つ必要があると思います。

資本主義先進国のアメリカでもこの程度だということです。

ほとんどの人は5年以内に売ってしまうんですね。

 

だからディフェンシブ株のリターンが高くなるんですね。

みんな値動きの緩慢なディフェンシブ株なんてすぐには儲からないから買わないんです。それほど積極的に買わない。せっかく株式投資にチャレンジするんだから、短期的に儲かるチャンスのある値動きの激しい株を追ってしまうんですね。

高配当ディフェンシブ株は長期で保有して配当再投資を繰り返して初めて卓越したリターンに繋がります。

それは言うは易く行うは難し、ということです。

みんなそんな気長に待てない。

だから、「気長に待つ、持ち続ける」というのは人にはできない価値ある行為なんです。ただ持ち続けるだけって簡単に見えますけど、それは難しいことです。しかも配当を再投資し続けるとなるとさらにハードルが上がります。

投信平均保有年数がアメリカでも5年弱ですよ。30年超保有し続けて配当を再投資し続けるって、、もはや神業なんじゃないの?(笑)

人間そんなに我慢強くないです。安きに流れるのが人間です。それは生物としての本能だと思います。そんな敢えて自分を酷使してもDNAには何の得もないですからね。生物ってDNAを将来世代に繋げ続けることがその唯一の存在意義ですから、あくまで生物としては。

私は最近あまり運動しないから、せめてサウナくらいでは汗を流そうと思い「今日は時計一周分12分頑張るぞ!」って思いサウナに入るのですがだいたい8分くらいで「あ、もう無理」ってなります。

やっぱり辛抱強く一つのことを待ち続ける、やり続けるって難しいことだと思います。長期的に株を持ち続けるって簡単・単純なように見えて、実は常人にはできない難しいことなんじゃないかって思います。

ディフェンシブ株の高いリターンは、長期間ゆっくり待ち続けたご褒美だということです。ディフェンシブ株に投資していれば、相対的に小さい値動きにも関わらず高い収益をゲットできるでしょう。その利益の源泉はあなたの忍耐力です。

じっくりコトコト丸一日煮込んだビーフシチューがトロトロで美味しいのと似ているかも。途中でいい匂いが漂ってくるけどつまみ食いしたらダメなんですね。

結構有名な話かと思いますが、伊丹十三監督の『マルサの女』にこんな場面が出てきますね。

あんた、今、ポタポタ落ちてくる水の下にコップ置いて、水、貯めてるとするわね。
あんた、喉が渇いたからってまだ半分しかたまってないのに飲んじゃうだろ?
これ最低だね。
なみなみいっぱいになるのを待って、それでも飲んじゃダメだよ。
いっぱいになって、溢れて、たれてくるやつ・・・。これを舐めて我慢するの。
そうすりゃコップいっぱいの水は・・・

長期株式投資とは自分との闘いです。

値動きの小さい地味株を保有し続けて配当を再投資し続けるという一見単純な行為は、普通の人にはできないすごいことです。リスクの低いディフェンシブ株のリターンが高いのは決してフリーランチではありません。リスクが低い代わりに強い精神力が求められるということです。

 

バフェットは「なんでみんなあなたの投資戦略を真似しないんですか?」と質問されてこう答えました。

ゆっくり金持ちになりたい人なんていないよ。

 - 投資理論・哲学