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「誰がFRB議長になっても長期投資リターンには関係ない」って話をちょい理屈っぽく語ってみた

   

トランプ大統領は11月3日までに、現FRB議長であるイエレン氏の後任を発表するらしいです。

現在の有力候補は以下の3名です。
ジャネット・イエレン現FRB議長
ジェローム・パウエルFRB理事
ジョン・テイラー教授(スタンフォード大学)

目先の株価という意味で、株式投資家にとって嬉しいのはイエレン氏かパウエル氏でしょう。どちらもハト派で急激な金利引き上げは考えていません。イエレン氏かパウエル氏が選ばれた場合、マーケットはそれほど反応しないと推測します。

テイラー教授がFRB議長に選ばれたら、恐らく株価は短期的には下落するでしょう。というのも、テイラー氏はテイラールールなる独自の理論で政策金利を決めるべきという考えをお持ちですが、そのテイラールールによれば現在の米国の適正政策金利は2.5%~3.0%だそうです。

テイラー氏がFRB議長になれば、今より利上げペースが早くなるとマーケットは考えるでしょう。そうなると、株価は下がるでしょうね。金利が上がるってことは債券の利回りが上がるということですから、株式の魅力が相対的に下落します。

株式と債券は常に競合しています。債券の魅力度が上がれば、マネーは株から債券に移行します。

とまあこんな感じで、誰がFRB議長になるかで目先の株価は大きく変動する可能性があります。可能性はやや低いようですが、テイラー氏が議長になれば株価下落リスクありです。

ただ、誰がFRB議長になるかという問題が株価に与える影響はあくまで短期的なものであって、長期的に見れば誰が議長になろうとほぼ関係ありません。金融政策は株式マーケットに多大な影響を与えるのは間違いないですが、長期的に見れば(実質)株式リターンに与える影響は軽微です。

誰がFRB議長になろうと、長期投資家は冷静にホールドを続けるべきです。

連邦準備制度理事会(FRB)のアラン・グリーンスパン議長が私のところにやってきて、向こう二年間どのような金融政策をとるつもりか教えてくれたとしても、私の行動に何ら影響することはありません

ウォーレン・バフェット


このバフェットの言葉は強がりではなく、理論的に正しい言葉であることを理解しましょう。そして、FRB議長問題なんて華麗にスルーしてやりましょう!

 

金融政策は株式の実質リターンには中立

なぜ、誰がFRB議長になろうとも株式の長期リターンに影響しないのか?
なぜ、どんな金融政策を取ろうとも株式の長期リターンに影響しないのか?

その理由を端的に言えば、金融政策(金利や資金量)は株式の名目リターンには影響を与えるけど、物価変動考慮後の実質リターンには影響を与えないからです。

なぜ金融政策は実質リターンに影響しないのか話そうと思います。

 

仮にテイラー氏がFRB議長に就任したとしましょう。政策金利が今より上がるかもしれないとマーケットは判断して、米株価は下落する可能性が高いです。イエレン氏留任になれば株価は横ばいかなと推測します。

「な~んだ、やっぱり誰がFRB議長になるかによって株価の反応が違うんだから、投資リターンも変わってくるに決まってんじゃん!、この嘘つき!」
って思うかもしれません。

いやいやちょっと待ってください。これはあくまでも”短期的な”株価の反応に過ぎません。長期的に見れば、テイラー氏でもイエレン氏でも(実質)株式リターンに大きな違いはないと考えています。

金利操作であれ、QEのような資金量の操作であれ、金融政策でやっていることの本質は変わりません。それは通貨価値の調整です。FRBは米ドルという通貨の価値をうまい具合にコントロールしようと努力しています。

うまい具合にコントロールとは具体的にどういう事か?
それは「雇用の最大化(maximum employment)」と「物価の安定(stable prices)」です。これがFRBに課せられた2つのミッションです。

雇用促進を伴った2%前後のマイルドなインフレ経済を作り出すことがFRBの目的です。

そのためのあるべき金利水準を喧々諤々議論しているわけです。どこが適正金利なのか誰も分からないのです。イエレン氏は金融緩和的な環境で失業率も下がっているのに、物価が上昇しない現状を「謎」だと言っています。

テイラー氏はいずれインフレ率は急上昇してしまうだろうから、現時点で政策金利をもう1%ほど上げても問題ないと考えています。

イエレン氏とテイラー氏のどちらが「正解」かなんて、素人の私に分かるはずないです。
(ここで言う「正解」とは、「雇用の最大化」と「物価の安定」を達成できる金利水準ということ)

ただ、投資家の観点から一つだけ言えることがあります。

それは、金利が(金融政策が)正解であろうと誤りであろうと長期での(実質)株式リターンにはほぼ影響しないということです。

なぜなら、繰り返しですが金利(金融政策)は実質ベースの株式リターンにはほぼ影響を与えないからです。

実質リターン=名目リターン-インフレ率

仮にテイラー氏の考えが正しいとして、イエレン氏が続投して緩和的な金融政策を続ければインフレ率は急伸してしまうでしょう。FRBが目標とするインフレ率2%を遥かに超える水準、たとえば3%までインフレ率が上昇してしまうかもしれません。

物価上昇は株式の実質リターンを押し下げます。

しかし、インフレ率が上昇しても、インフレを企業が販売価格に転嫁することができれば企業の収益も上昇します。企業の収益が上がれば株価が上昇して、株式の名目リターンは上昇します。

つまり、想定以上にインフレが進んでしまったとしても、株式の実質リターンにはニュートラルなのです。物価は上昇するけど、その分企業の利益も増加するからです。

テイラー氏の考えが正しいとして、実際にテイラー氏が議長になれば、インフレ率は2%前後での安定推移が実現することになります。インフレ率が上昇しないということは、物価が上昇がマイルドな分、企業収益の上昇もマイルドです。

イエレン氏シナリオ、テイラー氏シナリオ、それぞれのパターンにおける株式の実質リターンのイメージはこうなります。

イエレン氏シナリオの実質リターン:7%(10%-3%)
テイラー氏シナリオの実質リターン:7%(9%-2%)

カッコ内の計算は、名目リターンからインフレ率を差し引いている計算過程です。どちらのケースも株式の実質リターンは同じになります。

金融緩和的なイエレン氏シナリオの方が、企業の利益は伸びて株式投資家にとってポジティブな印象を受けるかもしれませんが、物価も上昇するので購買力は改善しません。むしろ、名目リターンが上昇する分税務負担が増加するくらいです。

 

「緩和的な金融政策で株式投資家には嬉しい上昇相場が続いている」

こんな感じのニュース報道はよくありますよね。でもこれって、あくまで名目リターンの話ですから。金融政策を緩和的にするってことは、インフレが進行することを意味するので実質リターンには影響しないはずです。ただ株価上昇と物価上昇にはタイムラグがあるから、投資家は儲かっていると錯覚しているだけです。

株価は様々な要因で変動するので、株価変動の内金融政策起因だけを取り出すことは不可能です。しかし、金融政策によって株価が押し上げられても、その利益は米国物価上昇(日本人投資家としては円高ドル安)によって将来的には相殺されるものと心得ておくべきです。

FRBの金融緩和で株価上昇だ!、わ~いわ~い!」って調子に乗ってたくさんお買い物していたら、数年後に痛い目を見るかもしれません。まあでも、そうやって資産効果で消費が増えるのは良いことですが。

金利やマネー量の操作(金融政策)は株式の名目リターンを変動させるとしても、実質リターンには中立です。

 

 

過去200年、株式の実質リターンは7%で安定している。

冒頭のバフェットの言葉を再掲しますね。

連邦準備制度理事会(FRB)のアラン・グリーンスパン議長が私のところにやってきて、向こう二年間どのような金融政策をとるつもりか教えてくれたとしても、私の行動に何ら影響することはありません

ウォーレン・バフェット


いかがでしょうか?
今はこのバフェットの言葉が理論的に理解できますでしょうか?

誰がFRB議長になろうと慌てる必要はありません。

特にテイラー氏が議長になれば一時的に株価が下落する可能性大です。でも、それは気にする必要ありません。長期的に見れば、金融政策は株式実質リターンに影響を与えませんから。安心して下さい。

過去200年、平均すると株式は実質ベースで年率7%のリターンを上げてきました。なぜ7%に落ち着くのか、その理由はよく分かっていないそうです。とにかく事実はそうだったのです。過去、政策金利は高い時も低い時もあったし、インフレ率が高い時も低い時もあったけども、株の実質リターンは常に7%で収まってきたのです。

その200年の歴史で明らかになっている法則が、これからの50年変わる理由はありません。

FRB議長人事、金融政策に踊らされることなく、これからもしっかり優良株をホールドしていきましょう。

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