最近、銀行株を買おうか迷っていますが、仮に買うとしたらいつが良いだろうか?

やはりタイミングは分からないから、買うなら今すぐという結論に至ります。銀行株は今後さらに売られる可能性も当然ありますが、ファンダメンタルズから見て長期では十分なリターンを得られる水準まで株価は落ちていると思います。

以下は金融セクターETFのXLFの過去1年の株価チャートです。S&P500指数と比較しています。

XLFの主要構成銘柄はバークシャー・ハザウェイ(BRK.B)、JPモルガンチェース(JPM)、バンクオブアメリカ(BAC)、ウェルズ・ファーゴ(WFC)、シティ・グループ(C)、アメリカン・エキスプレス(AXP)、USバンコープ(USB)などです。

この1年、XLFはS&P500指数を6%近くアンダーパフォームしています。その原因は下げ止まらない金利にあります。以下は直近1年間の米10年債利回りの推移です。

昨年後半には一時3%を超えてそのまま4%、6%と切り上がっていくかもなと思いましたが、債券の強気相場はまだ終わっていませんでした。現在の利回りは1.56%。マーケットはわからんなと痛感。

世界的な低金利の要因として高齢化を挙げる意見を最近よく見ます。寿命が延びて将来のためにお金を貯める人が以前より増えたという主張です。はっきりしたことはわかりませんが、もしそれが原因なら金利はさらに下がる可能性があります。もし投機筋が債券買いの主な資金源ならば短期的な反対売買が想定されますが、老後のお金を貯め込みたい人が預金・債券の主な資金源ならば反対売買(つまり預金を解約して消費する)までにはかなりの時間を要するからです。

高齢者が預金しているだけでなく、将来が不安な若者が預金を増やしていて、それが低金利の主な理由だとしたら、彼ら彼女らが預金を取り崩すまで数十年の歳月があります。

まあ、答えはわからない。これに尽きます。いつか金利は上がるだろうと私は思っていますが、それがいつになるかはわかりません。ただ一つ言えることは、ファンダメンタルズの視点から見て債券価格は異常値ということです。ブログで何度か同じこと言ってて恐縮ですが、利回り1.5%ってことは2%のインフレ差し引いたら実質リターンはマイナスですよ。

リスク資産が怖いけど将来のために資金を蓄えたい主体は、株式ではなく預金・債券を買う人が多いのは何となくわかります。それが不当なまでに金利を低下させているのかもしれません。インフレ率とか考えない人は多いでしょう。とりあえず名目金利がプラスなら貯金しておけばいいやって考える人はそこそこいそうです。周りを見てもそう思います。今の低金利を当然のものとして受け入れて、投資を考えない人は多いです。

日欧の債券利回りがマイナスであることを考えたら、米国の債券市場にさらなる資金の波が押し寄せても不思議ではありません。もうファンダメンタルズは完全無視の世界ですね。そうは言っても、それが社会の需要なのだから投資家として眼前のマーケットを受け入れるしかありません。理論価値どうこう言っても、価格は需要と供給の一致点で決まるのですから。

金利がさらに下がれば銀行株も連動して売られる可能性が高いです。債券価格の天井を見極めることができれば、そのタイミングで銀行株を買うのがベストです。でもそれは無理。すでに金利は異常事態と言えるまでに低下しており、銀行株のバリュエーションも冷え込んでいます。

堀古英司氏はブログでこのようにおっしゃっています。

とりわけ大手銀行に至っては、6月末に発表されたストレステストでも明らかになったように、史上最も健全と言える財務状態にもかかわらず、配当利回りで約3%、自社株買いで約8%、合計11%近くの利回りが取れる状況です。

堀古英司の「米国株の魅力」より抜粋

銀行預金と銀行株で迷う余地はないように思います。もちろん、株式の方が魅力的です。しかし、世間は前者の銀行預金を選ぶようです。なぜなら、リスクが嫌いだから。あるいはリスク資産にアクセスする方法を知らないからか。価格変動リスクは確かに嫌ですが、利回りに10%近い格差(プレミアム)があれば、そのリスクを背負う価値はあると思います。

銀行株を買うと決めたら、今すぐ資金を投じるのがベストかな。債券価格はすでに説明不能なまでに高騰していて、結果として銀行株もかなり割安になっていると思います。金利が反発するタイミングなんて読めないから、短期的な更なる値下がりリスクを受け入れた上で今買うしかないかな。ま、慌てる必要なんてないですけどね~。低金利はまだしばらく続きそうですし。